候補者が喜んでPlanAに承諾し、退職交渉・内定ブルーを乗り越えて入社日を迎える状態を作る。承諾はゴールではなく、入社までがクロージング。
内定承諾のタイミングになってから意向上げをしようとしても、大半は手遅れです。承諾の確度は、それまでの選考体験の積み重ねの中ですでに決まっています。一次選考を通過した時点から承諾ストーリーを考え始めてください。
懸念に対してエージェントが説得すると、どれだけ正しくても候補者には「丸め込まれた」という感覚が残り得ます。一方、企業側から自然に語られた懸念払拭は「自分で確かめて納得した」体験になり、承諾後の迷いや辞退リスクが大きく下がります。選考対策の「人事に言わせる」と対になる技術です。エージェントの仕事は説得ではなく、双方が自然にそれを語る状況の設計です。
応募〜最終面接の間に、年収の防衛ラインを4段階で握っておきます。
「企業側と年収交渉をする際に、『この年収なら行かない/行く』の条件を把握させてください。高い年収で入社していただきたいと強く思っていますが、強気に交渉しすぎると『その年収は出せない』とお見送りになるケースもあります。なので防衛ラインを理解させてほしいのです。」
| 段階 | 例(現年収650万円の場合) |
|---|---|
| 行かない | 600万円 |
| 悩むけど行く | 650万円 |
| 行く | 700万円(本人の期待値) |
| 即決 | 750万円(想定オファー額) |
この4段階を事前に握り、想定オファー額が「即決」ラインに届くよう企業と調整できれば、内定通知と同時に気持ちよく承諾が決まります。
承諾率の高いクロージングは、内定後の説得ではありません。初回面談〜キャリア軸の構築で言語化した意思決定の軸に立ち返らせることです。複数内定で迷う場合は、軸ごとの比較表を本人に埋めてもらい、不安(未知への恐れ=情報で解消できる)と懸念(具体的な問題=軸と照らして判断する)を分離して扱います。
候補者|A社とB社で迷っていて、決めきれません…。
AG|一緒に整理しましょう。最初の面談で、譲れない条件は「評価の納得感」「裁量」「年収」の順とおっしゃっていましたよね。この3つの軸で2社を並べると、どう見えますか?
候補者|…そう並べると、A社なんですよね。ただ、環境が変わるのが怖くて。
AG|つまり判断は出ていて、残っているのは変化への不安なんですね。その不安、具体的にどの部分か一つずつ見ていきましょう。
エージェントは退職の進め方まで具体的に指導します。要点は3つ——①直属の上司に最初に伝える ②「相談」ではなく「報告」として伝える ③退職日は入社日から逆算(就業規則の申告期限を確認)。
OK「お時間ありがとうございます。結論からお伝えします。◯月末をもって退職することを決めました。次の入社日も決まっております。引き継ぎは責任を持って行いますので、進め方をご相談させてください。」
NG「実は、転職を考えていまして…ご相談したいことがあるのですが…。」— 引き止めの余地を与える
優秀な人ほど強い引き止め(昇給・昇進・異動の提示)に遭います。鉄則は起きてから対処するのではなく、承諾のタイミングで事前に予告しておくことです。
「〇〇さんのような方は、ほぼ確実に強い引き止めに遭います。昇給や昇進の提示があるかもしれません。ただ思い出してほしいのですが、今回の転職理由は年収だけでしたか? △△という本質的な理由は、カウンターオファーで解決しますか?」
承諾から入社までの1〜2ヶ月は「本当にこの選択でよかったのか」という内定ブルーが起きやすい期間です。①承諾後も1〜2週間に一度は連絡し退職交渉の進捗と不安をケアする、②入社前面談・食事会・オンボーディング資料の共有を企業に依頼して所属感を先に作る、③迷いが出たら軸照合を再度行う——家族の反対が想定される場合は説明材料を一緒に準備します。
入社後フォロー(1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後)まで行って初めて案件は完了です。そしてこのフォローこそが、次のリファラルを生む最高の集客活動であり、ファネルは循環します。「この人に任せてよかった」の積み重ねが、「親身さと実力」というエージェントのブランドを作ります。