「マーケティングをやりたい」——面談でこう聞いたとき、プロのエージェントは必ず問い返します。「マーケの、どの仕事ですか?」。ブランドを作る人、広告を運用する人、記事で検索流入を作る人、BtoBのリードを商談に変える人、既存顧客のLTVを伸ばす人——全部「マーケター」ですが、仕事も、求められるスキルも、年収も、入りやすさも全く別物です。
この記事は、その解像度を一気に引き上げる「職種図鑑」です。主要9職種の仕事内容・KPI・年収・未経験からの入りやすさを1枚の地図と一覧表に整理しました。営業からの転身戦略と併せて、狙いを定める道具として使ってください。
出典: 各種職種別年収調査・求人動向を基に編集部整理
マーケの仕事は「顧客の旅のどの区間を担当するか」で決まります。地図を頭に入れれば、求人票の解像度が一変します。
ポイントは2つ。第一に、会社の規模で「マスの兼務度」が変わること。スタートアップでは1人が3〜4マスを兼務し、大企業では1マスをチームで分担します。幅広く経験したいなら小さめの組織、専門を深めたいなら大きめの組織が向きます。第二に、BtoBかBtoCかで主戦場が違うこと。BtoBはデマンドジェン・ABM・PMMが中心、BtoCは広告・SNS・CRMの比重が高くなります。
求人票を読むときは「KPIに何が書いてあるか」を見てください。KPIこそ、その職種の正体です。
| 職種 | 仕事とKPI | 年収目安 | 親和性の高い前職 |
|---|---|---|---|
| BtoBデマンドジェネレーション | リード獲得〜育成〜商談化。KPI: MQL数・商談化率・CPA | 450〜800万 | 法人営業・インサイドセールス |
| SEO・コンテンツマーケ | 検索流入と信頼の獲得。KPI: 流入数・CV数・検索順位 | 400〜750万 | 編集・ライター・営業(顧客理解) |
| 広告運用(パフォーマンス) | 運用型広告の獲得最適化。KPI: CPA・ROAS | 400〜800万 | 代理店運用・数字に強い若手全般 |
| SNSマーケティング | アカウント運用・UGC創出。KPI: フォロワー・エンゲージ・指名検索 | 400〜700万 | 個人発信の実績者・PR・販売職 |
| CRM・リテンション | 既存顧客のLTV最大化。KPI: 継続率・LTV・アップセル率 | 450〜800万 | CS・販売・データ分析 |
| ABM・フィールドマーケ | ターゲット企業攻略・イベント。KPI: ターゲット社数の商談化 | 500〜850万 | エンタープライズ営業 |
| PMM(プロダクトマーケ) | 訴求設計・価格・営業支援。KPI: 勝率・立ち上がり速度 | 600〜1,000万 | 営業企画・コンサル・PdM |
| MOps(マーケオペレーション) | MA/CRM基盤の設計運用。KPI: データ整備率・リード処理SLA | 500〜900万 | SFA経験者・情シス・営業企画 |
| ブランド / PR・広報 | ブランド戦略・メディア関係。KPI: 想起率・露出・指名検索 | 500〜900万 | 代理店・メディア・広報(経験者市場) |
入りやすさ=求人の多さ×前職スキルの流用度。憧れ(ブランド)から入ると詰まり、実利(BtoB・運用系)から入ると開けます。
| 順位 | 職種 | 入りやすい理由 |
|---|---|---|
| 1位 | BtoBデマンドジェネレーション | 内製化で求人が急増中。営業・IS出身の「顧客理解」が最大の武器になり、ポテンシャル枠も多い |
| 2位 | 広告運用 | 代理店側の求人が多く、若手なら未経験可も豊富。事業会社へは代理店経由の2段構えが定石 |
| 3位 | SEO・コンテンツ | 実績(自分のブログ・note)を独力で作って持ち込める、数少ない職種 |
| 4位 | CRM / MOps | SFA・CS経験があれば話が早い。地味だが市場価値は高騰中 |
| 5位以下 | PMM・ABM → ブランド・PR | PMMは営業企画等を挟むと届く。ブランド・PRは経験者採用が基本で、入口としては最難 |
王道の戦略は「入りやすいマスから入り、隣のマスへ広げる」。デマンドジェンで入ってコンテンツとMOpsを覚えれば、3年でBtoBマーケの中核人材です。
職種間の差は±100万程度。本当の差はレイヤー(役割の大きさ)で生まれます。狙うべきは高年収「職種」ではなく高レイヤー「への道」です。
付け加えるなら、同じレイヤーでも「数字への近さ」で市場価値が変わります。売上・商談・LTVに直結するKPIを持つ職種(デマンドジェン・CRM・PMM)は、成果を数字で証明しやすく、転職市場でも強い。逆に成果測定が難しい職種は、実績の言語化に工夫が要ります。
王道は「T字型」——1つの専門で突き抜けてから、隣接領域へ広げてマネジメントに向かう道です。
マーケターのキャリアは大きく3方向に分かれます。①スペシャリスト——広告・SEO・CRMなどの専門を極め、フリーランス・コンサルにも展開できる道。②ゼネラリスト→マーケマネージャー→CMO——複数マスを束ね、事業の売上に責任を持つ道。年収の天井が最も高い。③越境——PMM経由でPdM・事業開発へ、あるいはマーケ経験を持つ営業責任者(CRO型)へ。デジタルとデータの素養があるマーケターは、事業サイドのどこへでも越境できます。
いずれの道でも、最初の3年で「これは私の専門です」と言える1マスを作ることが出発点。専門なきゼネラリストは、市場で最も評価されにくい存在です。
営業職からこの地図のどこへ、どうやって入るか——具体的な戦略は営業からマーケターへの転職 完全戦略で解説しています。セットでどうぞ。