最新の有価証券報告書ベースの平均年収ランキングの有報生データで、ヒューリックもキーエンスも上回る最高額を記録したのが光通信(3,518万円)です。ただし東洋経済などの主要ランキングにこの名前は載りません。しかし口コミサイトを開くと、社員回答ベースの平均は500万円前後。7倍の乖離はなぜ生まれるのか。
結論から言えば、この乖離こそが光通信という会社の構造そのものです。有報の数字の作られ方、営業会社からストック経営集団への転換、そしてエージェントが候補者にどう説明すべきかまで、一枚で分解します。
出典: 同社有価証券報告書(EDINET)、OpenWork・エン カイシャの評判の公開データ、各種決算公表資料
光通信の有報平均年収が突出するのは、集計対象の「単体」に本社機能の少数幹部しか在籍していないから。会社としての実像は、数千人のグループ営業網が継続課金型サービスを売り続けるストック経営企業です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社 | 株式会社光通信(証券コード9435・東証プライム)。1988年設立、創業者は重田康光氏。本社は東京・池袋(豊島区西池袋) |
| 事業 | 法人向け通信回線・OA機器・オフィスサプライ、電力(ハルエネでんき等)、保険代理、宅配水など。継続課金型(ストック)収益が利益の柱 |
| 規模 | 2025年3月期 売上6,019億円・純利益1,222億円。過去5年赤字なしの安定高収益 |
| 組織 | 連結従業員約4,000人。事業は多数の子会社・関連会社に分かれ、営業の実働はグループ各社が担う |
| 歴史的立ち位置 | 1990年代の携帯販売網で急成長し、ITバブルの象徴銘柄に。バブル崩壊後にストック型へ事業転換し、現在は投資会社としての側面も持つ |
有価証券報告書の平均年間給与は提出会社(単体)の在籍者だけを集計します。光通信の単体は持株会社に近い本社機能で、在籍するのは平均年齢49.0歳・平均勤続20年超の古参幹部層が中心。直近数期の推移を見ても、2025年3月期の2,409万円から最新期は3,518万円へと大きく動いており、少人数ゆえに一部の報酬変動が平均を大きく揺らす構造が見て取れます。
| 見る数字 | 光通信の場合 | 意味 |
|---|---|---|
| 有報平均年収(単体) | 3,518万円(最新期)/2,409万円(2025年3月期) | 本社幹部層の平均。求人のオファー水準ではない |
| 平均年齢・勤続 | 49.0歳・20年超 | 若手が単体にほぼいないことを示す |
| 口コミ回答平均 | 約490〜560万円(回答数百人ベース) | グループ現場の体感値に近い参考値 |
「光通信グループ」の求人は、雇用主が本体ではなく子会社・関連会社である場合がほとんどです。雇用契約の主体、給与テーブル、インセンティブ設計は法人ごとに別物なので、求人票の法人名を必ず確認し、候補者には「有報の平均年収はこの求人の水準を示すものではない」と明示してください。
光通信の現在の実像は、「継続課金の束」を営業力で積み上げ続ける会社です。法人向けの通信回線・複合機・オフィスサプライから、電力小売、保険代理、宅配水まで、一度契約すれば毎月収益が入るサービス群を数千人の営業網で売り、解約率を管理しながらストックを積み増す。この転換により、売上6,000億円規模に対して純利益1,200億円超という営業会社としては異例の利益率を実現しています。さらに近年は潤沢なキャッシュで国内外の株式へ投資する「事業持株×投資会社」の性格も強まっており、単体幹部層の報酬水準の背景にはこの資本収益もあります。
営業モデルの参考として対比しやすいのがキーエンスです。キーエンスが「高付加価値商材×直販コンサル営業」で1人当たり粗利を最大化するのに対し、光通信は「汎用商材×圧倒的な件数と継続率」で積み上げる。同じ"営業が強い会社"でも、候補者に求められる資質は大きく異なります。
グループ営業職の給与は徹底した成果主義で、口コミでは「経歴・年次に関係なく数字を出せば上がる」「一般職で月22〜24万円、サブマネージャーで月30万円〜、マネージャーで月50万円〜」といった水準感が語られています。裏を返せば、成果が出なければ昇給は止まり、商材や配属による当たり外れも指摘されます。向くのは、テレアポ・訪問を厭わず量で成果を作れる人、20代で役職と年収を一気に上げたい人。じっくり型の候補者やワークライフバランス重視の候補者には慎重にマッチングすべき会社です。
光通信は「有報では実質最高額」として候補者の口に上りやすい会社ですが、エージェントの仕事はその数字を正しく翻訳して期待値を校正することです。①有報の数字は本社幹部層のもの、②実際の入口はグループ各社の営業職、③そこは成果主義で上限も下限も広い——この3点を伝えた上で、若手の「稼ぎたい」志向に本当に合うのか、キーエンス型・M&A仲介型(M&Aキャピタルパートナーズ)など他の高収入営業キャリアとの比較で意思決定を支援してください。ランキング全体の読み方は平均年収ランキング2026にまとめています。