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M&Aキャピタルパートナーズの企業情報
アドバイザー平均年収3,007万円・中央値2,146万円を一次情報で完全解剖

2026.09.03 公開|THE AGENT編集部

「平均年収日本一の常連」——その一言で語られがちなM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)を、本稿は一次情報で解剖します。同社が採用ページで公開している数字は強烈です。M&Aアドバイザー(在籍1年超)の年収は、平均3,007万円・中央値2,146万円(2025年9月期実績)。平均と中央値の両方を公開する採用姿勢自体が、この会社の性格を物語っています。

掲げるビジョンは「世界最高峰の投資銀行」。報酬テーブル、生産性の構造、8つの職種、選考フロー、そして誠実に伝えるべき注意点まで——エージェントが候補者の人生を預かるに足る解像度で分解します。

Summary
  • アドバイザー報酬は「保証年収+KPIインセンティブ+成約インセンティブ+決算賞与」の4層。中途メンバーの想定初年度は約728万円(最低保証600万円)から始まり、成約が乗ると平均3,007万円の世界に入る。初年度から3,000万円ではない——ここの期待値設計が紹介の生命線。
  • 高年収の源泉は1人あたりの圧倒的生産性。1人のアドバイザーがソーシングからクロージングまで一気通貫で担い、成約1件あたり売上約1億円・平均譲渡価格約15億円(業界最大級)。売上の約22%が人件費として還元される構造。
  • 求人はアドバイザーだけではない。IBカバレッジ部(大企業FA)・ディールサポート(電話営業なし)・士業のコーポレートアドバイザー・レコフ(FA型)など8職種+グループ3社に広がっており、候補者のタイプ別に提案の入口が複数ある。
3,007万円
アドバイザー平均年収
(25/9期・在籍1年超)
2,146万円
同・中央値
(同社採用資料)
約15億円
成約案件の平均譲渡価格
(業界最大級)
業界10冠
1人当たり売上高など
主要10項目No.1(TSR調べ)

出典: 同社採用ページ(HRMOS・2026年時点)、有価証券報告書、公式サイト、東京商工リサーチ、LSEGリーグテーブル、リメディ社取材記事ほか

30秒でわかるMACP — 「10冠」と「世界最高峰の投資銀行」

項目内容
会社M&Aキャピタルパートナーズ株式会社(6080・東証プライム)。2005年設立、代表は自身も現役トッププレーヤーの中村悟社長。本社は東京ミッドタウン八重洲36階(東京駅直結)、大阪・名古屋・博多に拠点
事業中堅・中小企業の事業承継を中心とした友好的M&A仲介。着手金無料・売り手買い手同一の株価レーマン方式という透明な手数料体系を創業以来貫く
実績累計成約1,000組超。LSEGのM&Aリーグテーブルで国内案件数3部門1位(2025年)、2026年上半期も3冠。TSRの競合調査では1人当たり売上高・1人当たり経常利益・平均譲渡価格など主要10項目でNo.1「業界10冠」
組織連結361名・単体288名(2025年6月末)。平均年齢は31〜32歳前後で推移し、直近5年の離職率は約5%と低い
グループレコフ(1987年創業の老舗M&Aファーム)、レコフデータ(M&Aデータベース/MARR)、みらい共創アドバイザリー(企業再生)。2016年のレコフ買収(約30億円)で案件情報・ブランド・クロスボーダー機能を獲得
ビジョン「クライアントへの最大貢献と全従業員の幸せを求め世界最高峰の投資銀行を目指す」。仲介に留まらず大企業FA(IBカバレッジ部)を新設するなど、投資銀行化への布石を打っている

生産性の構造 — なぜ1人が1億円稼げるのか

年収の話の前に、原資の構造を押さえます。同業上場社との比較(有報ベースの参考値)で、MACPの特異性は一目瞭然です。

比較軸MACP日本M&Aセンターストライク
スタイル1人が売り手・買い手の両面を一気通貫(ソーシング→マッチング→エグゼキューション→クロージング)分業体制・ミドルバック充実専任+マッチング分業あり
成約1件あたり売上約1億円約4,000万円約5,500万円
平均譲渡価格約15億円(業界最大級)中小中心で小さめ中間
人件費還元率の目安売上の約22%約18%(多機能ゆえ単純比較不可)約26%

つまりMACPの高年収は、還元率が飛び抜けているのではなく、①1件の単価が大きく(大型案件×株価レーマン)、②その1件を1人で完結させることで、1人あたり売上高(1.4億円超の年もある)が業界最高水準になっていることの帰結です。裏返せば、ソーシングの泥臭さから契約書周りの緻密さまで、全工程の能力を1人に要求するモデルでもある——ここが向き不向きの分水嶺になります。

報酬制度の完全解剖 — 保証・KPI・成約・賞与の4層

同社は採用ページで報酬の内訳を異例の細かさで公開しています。中途アドバイザーの場合、構造は次の4層です。

中身
① 最低保証年収メンバー600万円(月給40万円〜+入社2年間は年120万円の賞与前倒し)。役職採用は主任660万/課長・次長1,000万/部長1,200万円を保証
② KPIインセンティブ成約前の活動(面談・受託等のプロセス)に紐づく報酬。入社初年度の平均は128万円(直近期実績・同社公表)
③ M&A成約インセンティブ報酬の本体。成約案件の手数料に連動し上限なし。1件成約時のインセンティブは概算で1,000万円台後半〜になるとの外部試算もある(案件規模による)
④ 決算賞与会社業績に連動して支給
採用区分想定初年度年収(同社採用ページ)
新卒約712万円(保証564万円+お祝金20万円+KPIインセン平均128万円)
中途メンバー約728万円〜+成約インセンティブ+決算賞与
主任788万円〜
課長・次長1,128万円〜
部長1,328万円〜
IBカバレッジ(大企業FA)提示例: 30歳・バンカー経験4年で1,500万円(保証込)+成約インセンティブ
図は横にスクロールできます
「3,007万円」の正しい読み方(2025年9月期・在籍1年超アドバイザー/同社採用資料) 平均年収3,007万円 中央値2,146万円 最低保証(メンバー)600万円 平均と中央値の差 861万円 = 一部の大型成約者が平均を押し上げている 保証600万円と中央値2,146万円の間 = 成約できるかどうかで決まる領域 ※有報ベースの全社平均年収は期により2,202万〜3,161万円と大きく変動(成約時期の偏り・新入社員比率の影響)。 ※TSR2025年度調査では2,266万円で2位(1位ヒューリック)。同社は上場以来の年収ランキング連続首位実績を掲げており、決算期・調査時点で順位は変わる
図1: 平均・中央値・保証年収の3点で読む報酬の実像(同社採用資料を基に編集部作成)
エージェントが誠実に伝えるべき3点

初年度は保証600万円+α から始まる。前職年収1,000万円超のトップセールスにとって、成約までの期間(数ヶ月〜年単位)は事実上の年収ダウン期になりうる。②平均3,007万円と中央値2,146万円の差861万円が示す通り、分布は上に長い——「平均がもらえる」のではなく「天井がない」が正しい説明。③有報の全社平均も期により2,202万〜3,161万円と振れる。この3点を先に開示した上で「それでも行く理由」を一緒に作れるかが、紹介の質そのものです。同社自身が中央値まで公開している以上、エージェントが平均だけで語るのは怠慢と言えます。

仕事の実像 — 一気通貫・4〜5件並行・OJTロードマップ

項目実像(同社公開情報・口コミベース)
仕事の進め方週の前半に全体ミーティング・勉強会・事例共有会。それ以外は基本的に自由裁量で、1人平均4〜5件の案件を並行しながら新規開拓を続ける。出張も多い
労働時間定時は8〜17時(または9〜18時の選択制)。残業は口コミベースで月60時間程度。案件の山場では深夜・土日対応もありうる一方、有給は取りやすいとの声
教育体制入社半年間の「OJTロードマップシステム」で基礎を体系的に習得。役職者の案件に同席するOJTが継続し、「今の悩みは誰かが過去に悩んでいる」という相互支援の文化
定着直近5年の離職率は約5%と、報酬の派手さから想像されるより大幅に低い。平均勤続約3年は「毎年2割の新規入社で分母が若い」ことの影響が大きい
カルチャー各業界のトップセールス出身者が集まるが、社風は競争より協力的との口コミが目立つ。中村社長は「M&Aは結婚。誠実さがなければ大切な財産は託されない」と語り、誠実さ×情熱を行動指針の中核に置く

求人マップ — アドバイザーだけではない8職種+グループ3社

「MACP=M&Aアドバイザー一択」という理解は、すでに古い。採用ページ(HRMOS)には約28の求人が並び、候補者のタイプ別に複数の入口があります。エージェントにとってはここが提案の腕の見せ所です。

ポジション特徴向く候補者
M&Aアドバイザー(企業情報部)本流。アウトバウンドでのソーシングからクロージングまで一気通貫無形・金融・不動産等のトップセールス。開拓力と胆力
提携先開拓(新設)金融機関・会計事務所との提携ルート構築に特化した初の専任職。案件対応は一気通貫のままアライアンス営業・金融法人営業の経験者
IBカバレッジ部(新設)大企業のM&A・非公開化・PEファンド案件に特化したFAチーム。縦割りにせず一気通貫が特徴投資銀行・FAS出身者。30歳経験4年で1,500万円保証の提示例
M&Aディールサポート電話営業なし。案件化後にアサインされ、課長以上と2名体制でクロージングまで推進営業開拓は避けたいが実務推進力が高い人材。未経験可の教育体制
買収戦略アドバイザー(提携支援部)買い手側の成長戦略提案に特化(エグゼキューションなし)。年収は平均1,528万円・中央値1,474万円(25/9期・在籍1年超)コンサル的な戦略提案が得意な営業
コーポレートアドバイザー会計士・税理士・弁護士・司法書士の社内専門家チーム。会計士は在籍1年超で年収2,000万円超が5年連続、賞与は月給18ヶ月分相当の実績士業資格者。M&A実務で稼ぎたい専門家
ミドル・バックドキュメントプランナー(企業概要書50〜100頁を制作)、経営企画・IR、広報、HRBP、営業アシスタント(平均588万円)などM&A業界に非営業で関わりたい人材
グループ: レコフ1987年創業の老舗。カバレッジ+CFDのFA型分業で上場企業3,500社の9割をカバー。入社1年以上平均1,040万円/3年以上1,412万円、借上げ社宅ありMACP本体より段階的に学びたい人・上場企業案件やクロスボーダー志向

特に注目すべきは、同一グループ内に「両面仲介の頂点(MACP)」と「FA型の老舗(レコフ)」の両方があること。攻めの開拓力に自信がある候補者はMACP、段階的にM&A実務を積みたい候補者はレコフやディールサポート——と、適性で振り分けられる構造は、他のM&A仲介にはない提案の幅です。

選考 — 書類→部長→社長→会食の4段階

段階中身と対策
書類選考実績は「達成率」だけでなく順位・母数・期間(例: 営業200名中1位を3期連続)まで相対化して記載する。ここの具体性が通過率を分ける最大変数
1次面接配属予定部署の部長。実績の再現性——なぜ売れたのかを構造で語れるか——が問われる。定数と変数のフレームがそのまま使える
2次面接中村社長が自ら面接する。現役トッププレーヤーである社長に対し、営業観・誠実さ・「なぜMACPか」を語る。行動指針(誠実さ・情熱・世界最高峰への拘り)との整合が見られる
会食最終判断は会食スタイル。経営者と長期の信頼関係を築く仕事ゆえ、場の振る舞い・人間性そのものが評価対象

要件の目安は「金融・事業会社での営業経験2年以上+際立った成績」で、採用の中心は20代半ば〜後半(平均年齢31〜32歳の組織構成と整合)。志望動機は「稼ぎたい」だけでは弱く、事業承継という社会課題(後継者不在の中小企業)への当事者性と、「M&Aは結婚」という同社の顧客観への共鳴を、本人の原体験と接続して組み立てるのが定石です(志望動機の作り方)。逆質問では、平均譲渡価格15億円という大型シフトやIB部新設など「世界最高峰の投資銀行」への進捗を仮説つきで聞けると一段上に見えます(逆質問の設計)。

エージェント視点のまとめ — 「日本一」3社の地図の中で

MACPは、営業で頂点を取りたい候補者にとっての最終到達点の一つです。だからこそ、平均3,007万円の派手さではなく、中央値2,146万円・保証600万円・成約までの谷まで含めた全体像で語り、適性(一気通貫の開拓力か、ディールサポートか、レコフか)まで設計して送り込む。資産が稼ぐヒューリック仕組みが稼ぐキーエンス・成約が稼ぐMACP——「日本一の稼ぎ方」3部作の地図は、ハイクラス面談の鉄板です。

出典・注記
  • 報酬テーブル・平均/中央値・KPIインセンティブ・各職種情報は同社採用ページ(HRMOS掲載求人・2026年時点)の公表値に基づく。保証額以外のインセンティブ・賞与は保証された金額ではありません
  • 業界10冠は東京商工リサーチの競合調査(2024年3月時点)、リーグテーブルはLSEG発表、業績・平均年収推移は同社有価証券報告書・業績ハイライトに基づく。生産性の他社比較はリメディ社の分析記事(有報ベースの参考値・算出時点が古い項目を含む)を参照
  • TSR2025年度調査(2026年8月)の平均年収は2,266万円で2位。同社は9月期決算のため、調査の対象期間により数値・順位が変動します
  • 働き方・選考情報は公開情報・口コミベースの一般的な整理であり、時期により変更される可能性があります