この記事の要点
- 日東電工は1918年に絶縁材料の会社として創業し、粘着という一つの技術の用途を変え続けて成長した。三新活動という考え方で小さな市場の首位を多数持ち、その発想は個人の職種転換にも応用できる。
- 新しい技術を、作らない
- ニッチトップを、多数持つ
- 偏光板という、見えない部材
- 三新活動は、キャリアにも使える
日東電工は、技術を変えずに、用途を変え続けた会社です。1918年、電気の絶縁材料の国産化を目的に設立されました。
現在の製品は、液晶ディスプレイの偏光板、半導体の材料、医療用テープ。まったく違う市場に見えますが、根にあるのは粘着・塗る・貼るという一つの技術です。この広げ方を、同社は「三新活動」と呼んでいます。
Founded1918年絶縁材料から
Method三新活動新製品・新用途・新需要
Positionニッチトップ小さな市場の首位を多数
Chapter 01年表日東電工の歩み
1918日東電気工業を設立電気絶縁材料の国産化が目的
1960年代粘着テープへ絶縁の技術を粘着に応用
1980年代液晶用偏光板ディスプレイの必須部材。世界首位級のシェアへ
2000年代「三新活動」を体系化新製品・新用途・新需要の3つで事業を広げる考え方
2010年代医療用テープなどへ同じ技術を人体に貼る領域へ
現在グローバルニッチトップ製品を多数保有見えない場所で世界シェア
Chapter 02思想新しい技術を、作らない
技術系企業の多くは、新しい技術の開発に投資します。より優れた材料、より高い性能。技術の進歩が事業を作るという発想です。
日東電工の三新活動は、これとは順序が違います。既にある技術で、まだ解かれていない用途を探す。
新しい技術を作るには時間と資金がかかる。しかし既存の技術の新しい用途は、探せば見つかる。速度が違う。三新活動の思想
粘着という技術は、電気を絶縁するためにも、液晶の光を偏らせるためにも、皮膚に薬を貼るためにも使えます。対象を変えるだけで、まったく違う市場に入れる。
Chapter 03構造ニッチトップを、多数持つ
日東電工の製品は、一つひとつの市場が小さい。しかしその小さな市場で首位を取っています。
どれか一つの市場が縮んでも、会社全体は揺らぎません。小さな首位を多数持つことは、大きな二番手より強いことがあります。
Chapter 04実例偏光板という、見えない部材
液晶ディスプレイには偏光板という部材が必要です。光の向きを揃えることで、画面に映像を表示できる。これがなければ液晶は成立しません。
しかし画面を見る人が、偏光板を意識することはありません。製品の内側で、代替がきかないという位置にあります。村田製作所のコンデンサ、HOYAのマスクブランクスと同じ構造です。
Chapter 05応用三新活動は、キャリアにも使える
三新活動の発想は、個人のキャリアにもそのまま当てはまります。
新しいスキルを身につけるには時間がかかります。しかし今持っているスキルの、新しい用途を探すことはすぐにできる。営業の経験をカスタマーサクセスへ、経理の経験をSaaSの導入支援へ、教員の経験を人材育成へ。
候補者に「何を足すか」ではなく「今あるものをどこで使うか」を考えさせる。これが職種転換の支援の中心にある考え方です。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
職種転換を支援するとき新しいスキルを足すより、今のスキルが使える別の対象を探すほうが速い。三新活動の発想をそのまま使えます。
自社の事業拡張を考えるとき新しい能力を身につけるのではなく、既にある能力の新しい用途を探してください。速度がまったく違います。
ニッチな企業を評価するとき小さな市場の首位を多数持つ構造は、大きな市場の二番手より安定していることがあります。
KEY POINTS
この記事のポイント
1思想新しい技術を、作らない技術系企業の多くは、新しい技術の開発に投資します。より優れた材料、より高い性能。
2構造ニッチトップを、多数持つ日東電工の製品は、一つひとつの市場が小さい。しかし その小さな市場で首位 を取っています。
3実例偏光板という、見えない部材液晶ディスプレイには偏光板という部材が必要です。光の向きを揃えることで、画面に映像を表示できる。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A1918年に電気絶縁材料の国産化を目的に設立され、粘着・塗る・貼るという技術を軸に液晶用偏光板や半導体材料、医療用テープなどを手がけています。
A新製品・新用途・新需要の3つで事業を広げる考え方です。新しい技術を作るより、既存技術の新しい用途を探すことを重視します。
A競合が少なく価格決定力を持てること、一つの市場が縮んでも会社全体が揺らがないことです。
A使えます。新しいスキルを足すより、今持っているスキルが使える別の対象を探すほうが速く、職種転換の考え方の中心になります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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