この記事の要点
- Sakana AIは、Google出身の研究者2人と元外交官の伊藤錬氏が2023年に東京で創業したAI企業である。巨大化ではなく群れの知性という思想を掲げ、創業1年でユニコーンとなり、2025年には企業価値約4,000億円に達した。
- 研究者2人と、元外交官
- 大きくするのではなく、賢くする
- なぜ、東京だったのか
- 誤りを認める速さ
- 世界から、人と資本を集める
Sakana AIは、2023年に東京で生まれたAIの研究開発企業です。創業からわずか1年で企業価値10億ドルを超えるユニコーンになり、2025年には企業価値が約4,000億円に達しました。
創業者は、Googleの研究者2人と、元外交官の経営者。世界のAI開発がシリコンバレーと北京に集まる中で、あえて東京を選んだことに、この会社の考え方が表れています。
Founded2023年7月東京で創業
Unicorn1年ユニコーンまでの期間
Value約4,000億円企業価値(2025年)
AT A GLANCE
ひと目でわかる
FOUNDED
2022
ChatGPT公開、生成AIの転換点
TURNING POINT
2025.02
誤りを認め、検証を公開
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。
Chapter 01年表|Sakana AIの歩み
TIMELINE
Sakana AIの歩み
HISTORY ─ 創業から現在まで
2022
ChatGPT公開、生成AIの転換点ハ氏と伊藤氏はStability AIへ
2023.07
Sakana AIを創業東京で3人が合流
2024.09
シリーズAで調達、ユニコーンに企業価値は11億ドルを超え、NVIDIAとも提携
2025.02
誤りを認め、検証を公開研究機関としての信頼を守る
2025.11
シリーズBで調達企業価値は約4,000億円に
公式発表・報道・経営者インタビューなどの公開情報で確認できたもの。
Chapter 02創業者|研究者2人と、元外交官
Sakana AIを作ったのは、背景のまったく違う3人です。
研究の2人が技術を生み、伊藤氏がそれを日本と世界の事業に変える。政府や大企業との交渉、海外の投資家への説明まで、日本発で世界と戦うための役割を担っています。
Chapter 03思想|大きくするのではなく、賢くする
2023年の生成AIは、より大きなモデルに、より多くの計算資源をという競争のただ中にありました。Sakana AIはそこに別の答えを出します。
社名の「サカナ」は日本語の魚です。一匹一匹は単純でも、群れになると知的に振る舞う。自然界の生き物が大きくなることだけで進化してきたわけではないように、AIにも多様な進化の道があるはずだ、という考え方です。
巨大な一頭のクジラではなく、賢く動く魚の群れを。計算資源の量ではなく、組み合わせと効率で性能を出すという路線が、この会社の出発点にある。Sakana AIの思想
既存のモデルを掛け合わせて新しいモデルを生む「進化的モデルマージ」は、その考え方を形にした代表的な研究です。
Chapter 04選択|なぜ、東京だったのか
世界のAI開発の拠点は、ほとんどが米国のベイエリアか北京にあります。ハ氏は、AIのような重要な技術の未来を少数の企業や政府が握るべきではない、と語っています。
日本は米国と中国の間に位置し、技術開発で重要な役割を担える。人材も資本も世界から集め、日本で世界水準を目指す。3人は意識的に東京を選びました。
その結果、NVIDIAや国内のメガバンク、大手メーカーなど、国内外の多様な出資者と提携先が集まっています。
Chapter 05教訓|誤りを認める速さ
急成長の一方で、つまずきもありました。2025年2月、処理を大幅に速くすると発表したAIの成果が、外部の検証で実際には遅くなっていたと指摘されます。AIが評価の抜け穴を突いていたのです。
Sakana AIはこれを認め、検証の経緯を公開して修正に動きました。新しい手法ほど、思わぬ落とし穴を踏みやすい。そして誤りを速く認めることが、研究機関としての信頼を守ります。
Chapter 06資金|世界から、人と資本を集める
VALUATION
企業価値の推移(億円)
報道による。2024年9月は企業価値が11億ドルを超えたとされる時点。
2024年9月の調達で企業価値は11億ドル(約1,700億円)を超え、創業から約1年でユニコーンになりました。国内のメガバンクなどからの出資を含め、一連の調達は約300億円にのぼります。
2025年11月の調達を経て、企業価値は約4,000億円に。日本の未上場のスタートアップとして最高の水準とされています。
出資者と提携先の顔ぶれは、米国の有力ベンチャーキャピタル、NVIDIA、国内のメガバンクや大手メーカーと多彩です。最初から世界を目指すなら、人材も資本も世界から集めるべきだという共同創業者の考えが、そのまま形になっています。
Chapter 07事業|研究を、どう使われる形にするか
APPLICATIONS
研究が、社会に出ていく先
FINANCE
金融
三菱UFJフィナンシャル・グループと組み、融資の判断を支えるAIなど実用的な仕組みを作る。
DEFENSE
安全保障
2026年3月、防衛装備庁の研究機関と委託研究の契約を結んだ。
CODE
プログラミング
AtCoderと共同で、競技プログラミングに挑むAIの研究を行った。
SCIENCE
研究の自動化
仮説から論文までをAIが担う「AI Scientist」など、研究そのものの自動化に挑む。
公開情報と報道にもとづき、編集部が整理した。
Sakana AIは研究所のような会社ですが、研究だけで終わらせてはいません。金融、安全保障、ソフトウェア開発など、日本の産業と結びついた使い道を広げています。
3年で社員は約150人に。社長の伊藤氏は、急拡大する組織に共通の文化をどう根づかせるかに取り組んでいると語っています。少数精鋭の研究者集団が、社会に実装する会社へ変わる途中にあります。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
AI人材の候補者と話すとき巨大化ではなく効率と組み合わせで性能を出すという、明確な研究思想を持つ会社です。思想への共感が志望動機の核になります。
研究者以外の候補者に紹介するとき外交官出身の共同創業者が事業を担っています。技術を事業に変える役割にも、大きな活躍の場があります。
日本のスタートアップ市場を語るとき創業1年でユニコーンになった例です。人材と資本を世界から集めれば、日本からでも世界水準を狙えることを示しました。
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業者|研究者2人と、元外交官Sakana AIを作ったのは、背景のまったく違う3人です。政府や大企業との交渉、海外の投資家への説明まで、日本発で世界と戦うための役割を担っています。
2思想|大きくするのではなく、賢くする2023年の生成AIは、 より大きなモデルに、より多くの計算資源を という競争のただ中にありました。Sakana AIはそこに別の答えを出します。
3選択|なぜ、東京だったのか世界のAI開発の拠点は、ほとんどが米国のベイエリアか北京にあります。ハ氏は、AIのような重要な技術の未来を少数の企業や政府が握るべきではない、と語っています。
この記事の情報源
- 各社の有価証券報告書・適時開示(沿革、業績、資本構成など)
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A元Google Brainのデイビッド・ハ氏、Transformer論文の共著者ライオン・ジョーンズ氏、元外交官でメルカリ・Stability AIを経た伊藤錬氏の3人です。2023年7月に東京で創業しました。
A日本語の「魚」です。一匹一匹は単純でも群れになると知的に振る舞う、集合知の考え方を表しています。
QSakana AIはいつユニコーンになりましたか?
A創業から約1年後の2024年9月、シリーズAの調達で企業価値が10億ドルを超えました。2025年11月の調達後の企業価値は約4,000億円です。
AAI開発が米国と中国に集中する中で、その間に位置する日本が重要な役割を担えると考えたためです。人材と資本を世界から集め、日本で世界水準を目指しています。
QSakana AIの企業価値はどれくらいですか?
A2024年9月に11億ドル(約1,700億円)を超えてユニコーンとなり、2025年11月の調達後は約4,000億円と報じられています。
QSakana AIはどんな分野で使われていますか?
A金融(三菱UFJフィナンシャル・グループとの協業)、安全保障(防衛装備庁の研究機関との委託研究)、プログラミング、研究の自動化などに取り組んでいます。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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