この記事の要点
- セイコーエプソンは1942年の時計部品から、東京五輪の計時装置を機にプリンタへ進んだ。精密に小さく作る技術を軸に製品を広げ、自社の収益モデルを自ら転換している。
- 五輪が、プリンタを生んだ
- 小さく、正確に
- プリンタの、収益モデル
- 印刷が、減る時代に
セイコーエプソンは、時計の技術がプリンタになった会社です。1942年、長野県諏訪で時計部品の製造から始まりました。
小さく、精密に、大量に作る。時計で磨いた技術が、プリンタの微細なインクの制御に使われています。
Founded1942年時計部品から
Turn1964年五輪の計時装置
Core精密小さく正確に作る
Chapter 01年表セイコーエプソンの歩み
1942大和工業として設立諏訪で時計部品の製造
1964東京五輪の計時装置小型プリンタを開発
1969世界初のクオーツ腕時計セイコーが発売
1980年代パソコン用プリンタドットインパクトからインクジェットへ
1990年代〜インクジェットで世界展開高精細印刷の技術
現在プリンタ・プロジェクター・時計精密加工の技術を軸に
Chapter 02起点五輪が、プリンタを生んだ
1964年の東京オリンピックで、競技の計測結果を記録する装置が必要になりました。計測した時間を、その場で印字する。
そのために開発された小型プリンタが、後のプリンタ事業の原点になります。「EP(Electronic Printer)」の子孫、EPSONという社名はここから来ています。
一つの要請に応えるために作ったものが、本業になることがある。依頼は、新しい事業の入口である。EPSONの由来
オリンパスの胃カメラ、テルモの体温計。具体的な要請から生まれた技術という系譜です。
Chapter 03技術小さく、正確に
時計づくりは、極小の部品を高い精度で作り、組み立てる技術です。この能力は他の製品にも使えます。
「精密に小さく作る」という一つの軸で、まったく違う製品群が成立しています。
Chapter 04構造プリンタの、収益モデル
プリンタ本体は安く、インクで利益を得るモデルが長く続きました。リコーの複写機、シスメックスの試薬と同じ型です。
ただしこのモデルは、互換インクの登場や印刷枚数の減少で揺らいでいます。エプソンが大容量インクタンク搭載機を投入したのは、この前提の変化への対応でした。
自社の収益モデルを、自分から壊しにいくという判断です。他社に壊されるより、自分で変えるほうが主導権を保てます。
Chapter 05現在地印刷が、減る時代に
ペーパーレス化により家庭や事務所の印刷は減っています。一方で商業印刷や産業用の印刷は残り、むしろ高精細化が進んでいます。
衣料への印刷、看板、包装。紙以外に印刷する領域へ広がっています。候補者にこの種の企業を説明するとき、どの市場に向けた事業かを確認させる必要があります。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
収益モデルの転換を見るとき自社のモデルを自分から壊しにいく判断は、主導権を保つための選択です。
技術の軸を見るとき製品が違っても共通する能力があります。その軸で企業を理解してください。
縮小市場の企業を勧めるとき家庭向けと産業向けで市場の動きが逆になることがあります。
KEY POINTS
この記事のポイント
1起点五輪が、プリンタを生んだ1964年の東京オリンピックで、競技の計測結果を記録する装置が必要になりました。計測した時間を、その場で印字する 。
2技術小さく、正確に時計づくりは、 極小の部品を高い精度で作り、組み立てる 技術です。この能力は他の製品にも使えます。
3構造プリンタの、収益モデルプリンタ本体は安く、 インクで利益を得る モデルが長く続きました。リコーの複写機、 シスメックス の試薬と同じ型です。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A1942年、長野県諏訪で時計部品の製造から始まりました。1964年の東京五輪向けに開発した小型プリンタが現在の主力事業の原点です。
A五輪向けに開発したプリンタ「EP」の子孫(SON)という意味でEPSONと名付けられました。
A極小の部品を高精度で作る技術が、プリンタのインク制御、プロジェクターの光学系、ロボットの位置決めに応用されています。
A本体を安くインクで稼ぐモデルから、大容量インクタンク搭載機へ転換しました。自社のモデルを自ら変える判断です。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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