この記事の要点
- テルモは1921年、医師たちが国産体温計を作るために出資して生まれた。利益ではなく必要が創業の動機であり、測る道具から治す道具へと医療現場での関与を深めてきた。
- 創業の動機が、利益でない会社
- 測る道具から、治す道具へ
- 毎日使われる、地味な製品
- 製薬とは、何が違うのか
テルモは、医師たちが、利益ではなく必要のために作った会社です。1921年、北里柴三郎ら医師の有志が出資して設立されました。
第一次大戦でドイツ製の体温計が輸入できなくなり、国内には精度の低い粗悪品が出回っていました。正確に体温を測れないことが、診療の妨げになる。この問題を解決するために、医師たちが自ら会社を作ったのです。
Founded1921年医師たちの出資
Motive必要事業機会ではなく問題解決
Shift測る→治す道具の役割が広がる
AT A GLANCE
ひと目でわかる
TURNING POINT
1980年代〜
カテーテルなど治療機器へ
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。
Chapter 01年表テルモの歩み
1921赤線検温器株式会社を設立北里柴三郎ら医師の有志が出資。国産体温計の製造
1936「テルモ」の商標ドイツ語のThermometer(体温計)に由来
1960年代使い捨て注射器の国産化感染を防ぐという医療の安全に直結
1980年代〜カテーテルなど治療機器へ測る道具から、治す道具へ
2000年代世界展開を加速血管内治療の分野で世界的な地位
現在世界160以上の国と地域へ医療機器の総合メーカー
Chapter 02背景創業の動機が、利益でない会社
ほとんどの会社は、事業機会を見つけて作られます。市場があり、儲かる見込みがあるから始める。
テルモは違いました。患者が正確な体温を測れないという問題があり、それを解決できる会社がなかった。だから医師たちが出資して作った。
問題が先にあり、それを解く会社がないなら、作るしかない。創業の動機は、その後の事業の選び方に残る。テルモの出自
住友化学の煙害対策、キユーピーの栄養改善、ネスレの乳児用食品。社会の必要から生まれた会社は、目的が最初から明確です。
Chapter 03展開測る道具から、治す道具へ
体温計、注射器、輸血用具、カテーテル。テルモの製品の変遷には一貫した方向があります。
医療現場の課題に沿って、役割を深めていった。製品の多角化ではなく、現場での関与の深まりです。
Chapter 04構造毎日使われる、地味な製品
テルモの製品に、華やかなものはありません。注射器もカテーテルも、毎日世界中で大量に使われ、使い終われば捨てられる。
だからこそ、品質のばらつきが許されません。一本の注射器の不良が、そのまま医療事故になる。目立たないが、絶対に失敗できない製品を作り続ける会社です。
シスメックスの検査、山崎製パンの供給と同じで、生活や生命を支える見えない製品の系譜にあります。
Chapter 05現在地製薬とは、何が違うのか
医療機器と製薬は、同じ医療領域でも事業の性質が違います。
製薬は開発期間が10年以上で成功率が低く、当たれば莫大な利益を生む。医療機器は改良の積み重ねが中心で、現場の医師との対話から製品が生まれます。
候補者が医療領域を志望するとき、この違いは決定的です。研究者として当たりを狙うか、現場に寄り添って改良を続けるか。求められる資質が違います。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
医療領域の候補者を支援するとき製薬と医療機器では事業の性質がまったく違います。研究で当たりを狙うか、現場と対話して改良を積むか、志向で勧める先が変わります。
企業の創業の動機を見るとき社会の必要から生まれた会社は目的が明確で、事業の選び方にもそれが残ります。理念の文言より創業の経緯を見てください。
地味な製品の価値を語るとき毎日使われ絶対に失敗できない製品を作る会社があります。派手さのない企業の価値を説明する材料になります。
KEY POINTS
この記事のポイント
1背景創業の動機が、利益でない会社ほとんどの会社は、事業機会を見つけて作られます。市場があり、儲かる見込みがあるから始める。
2展開測る道具から、治す道具へ体温計、注射器、輸血用具、カテーテル。テルモの製品の変遷には一貫した方向があります。
3構造毎日使われる、地味な製品テルモの製品に、華やかなものはありません。注射器もカテーテルも、 毎日世界中で大量に使われ、使い終われば捨てられる 。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A北里柴三郎ら医師の有志です。1921年、ドイツ製体温計が輸入できず粗悪品が出回った状況を受け、国産体温計の製造を目的に設立されました。
Aドイツ語のThermometer(体温計)に由来する商標「テルモ」から来ています。1936年に商標として使われ始めました。
A測る・与える・支える・治すという順で、医療現場の課題に沿って関与を深めていきました。製品の多角化ではなく役割の深まりです。
A製薬は開発期間が長く成功率が低い一方で当たれば大きく、医療機器は現場の医師との対話による改良の積み重ねが中心です。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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