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Founding Story

HubSpotの創業ストーリー「追いかける営業」から「見つけてもらう」へ

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • HubSpotは2006年、MITスローン経営大学院で出会ったブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアが米ケンブリッジで創業した。
  • 2人は、買い手が広告や営業電話に邪魔されることを嫌い、自分で情報を調べるようになった変化に気づいた。
  • その変化を「インバウンドマーケティング」と名づけて本を書き、それを実行するソフトウェアを中小企業向けに作った。
  • 2014年にニューヨーク証券取引所に上場。無料のCRMを入口に、マーケティング・営業・顧客対応を一つにまとめたプラットフォームへ広がった。

HubSpotは、マーケティング、営業、顧客対応を支えるソフトウェアの会社です。無料で使える顧客管理(CRM)を入口に、中堅・中小企業を中心に世界中で使われています。

この会社の本当の発明は、ソフトウェアより前にありました。「追いかける営業」から「見つけてもらう」へという考え方に名前をつけたことです。人材紹介の集客にもそのまま通じる、その来歴を追います。

FOUNDED2006MITで出会った2人が創業
IPO2014ニューヨーク証券取引所
REVENUE31.3億ドル売上(2025年)
CUSTOMERS28.8万社超顧客数(2025年末)

Chapter 01|出会いMITで出会った、​営業の人と技術の人

ブライアン・ハリガンは、ソフトウェア会社で長く営業を担ってきた人でした。MITスローン経営大学院にMBAを取りに来たとき、すでに30代後半で、同級生より年上だったといいます。

ダーメッシュ・シャアは、自らソフトウェア会社を創業して売却した経験を持つエンジニアでした。2004年、MITのイベントで2人は出会います。シャアの妻は、野球好きで派手な音楽を好むハリガンと、内向的なエンジニアの夫とは合わないだろうと心配したそうですが、2人はすぐに意気投合しました。

創業
2006年6月、米マサチューセッツ州ケンブリッジ
創業者
ブライアン・ハリガン(営業出身)、ダーメッシュ・シャア(エンジニア)
出会い
2004年、MITスローン経営大学院
上場
2014年10月、ニューヨーク証券取引所

Chapter 02|着想買い手は、​邪魔されたくない

2人が気づいたのは、ものを買う人の行動の変化でした。人々は広告を飛ばし、迷惑メールを捨て、営業電話を避けるようになっていた。代わりに、検索やブログ、SNSで自分から情報を調べるようになっていたのです。

それなのに企業の多くは、相変わらず営業電話や買い取ったリスト、広告に予算をつぎ込んでいました。買い手が嫌がる方法で、買い手を追いかけていたわけです。

ハリガンとシャアは、逆の方法を考えます。見込み客が知りたいことに答える役に立つ情報を発信し、それを見つけてもらう。興味を持った人が、自分から名乗り出てくる。これを彼らは「インバウンドマーケティング」と呼びました。

追いかけるのではなく、見つけてもらう。
HubSpotの発明は、ソフトウェアより前に、この考え方に名前をつけたことだった。

Chapter 03|創業考え方を、​ソフトウェアにする

2006年、2人はHubSpotを創業します。最初の製品は、ブログ、検索対策、ランディングページ、アクセス解析などをまとめた、中小企業向けのサブスクリプション型ソフトウェアでした。大企業ではなく中小企業を選んだことは、創業初期の大きな決断だったと2人は振り返っています。

2007年に公開した、ウェブサイトを無料で採点するツールは、多くの見込み客を集めました。自分たちの考え方を、自分たちの集客で証明したのです。

2009年には、2人の共著『Inbound Marketing』を出版します。広告や迷惑メールのように人の邪魔をするマーケティングは避けられるので、見込み客に役立つ情報を提供し、相手に自ら名乗り出てもらうべきだ、というのがその主張でした。考え方、本、ソフトウェア、そして毎年のカンファレンス。HubSpotは一つの思想を中心に、市場そのものを作っていきました。

Chapter 04|年表HubSpotの​歩み

2004MITで2人が出会う
2006.06HubSpotを創業中小企業向けのインバウンドマーケティング・ソフト
2007ウェブサイト採点ツールを公開大量の見込み客を集める
2009『Inbound Marketing』を出版
2013社内文化をまとめた資料を公開広く読まれる
2014無料のCRMを公開
2014.10ニューヨーク証券取引所に上場
2021ヤミニ・ランガンがCEOにハリガンは会長に
現在マーケティング・営業・顧客対応を一つのプラットフォームにAIを組み込んだCRMへ

Chapter 05|拡大無料のCRMと、​プラットフォーム

2014年、HubSpotは無料で使える顧客管理(CRM)を公開します。まず無料で使ってもらい、必要に応じて有料の機能を足していく。これもまた、「追いかける」のではなく「見つけてもらう」考え方の延長でした。同じ年、ニューヨーク証券取引所に上場しています。

その後、HubSpotはマーケティングだけでなく、営業、顧客対応、ウェブサイト管理へと製品を広げ、一つのプラットフォームにまとめていきます。後から買い足した製品を寄せ集めるのではなく、最初から一つにつながるように作ることにこだわってきました。

2021年、ハリガンはCEOを退き会長となり、ヤミニ・ランガンがCEOを引き継ぎました。シャアは今もCTOとして、AIを組み込んだ製品づくりに関わっています。

Chapter 06|文化カルチャーを、​外に公開する

HubSpotは、社内の文化そのものも「見つけてもらう」対象にしました。2013年、同社は自社の価値観や働き方をまとめた128枚のスライド「カルチャーコード」を公開します。この資料は500万回以上ダウンロードされ、ソフトウェア企業が自社の文化を語るときの手本の一つになりました。

採用でも同じ考え方が働きます。会社のことを正直に、詳しく発信すれば、その文化に合う人が自分から応募してくる。インバウンドの考え方は、製品を売るときだけでなく、人を集めるときにも使われていたのです。

会社の文化も、発信すれば、合う人に見つけてもらえる。
インバウンドは、採用の考え方でもある。

Chapter 07|数字売上31億ドル、​顧客28万社

31.3億ドル売上(2025年、前年比19%増)
28.8万社超顧客数(2025年末)
49%米国外の売上比率(2025年第4四半期)

出所:HubSpot 2025年通期の決算発表。数値は公表時点のもの。

51%U.S.米国の売上2025年第4四半期
49%INTERNATIONAL米国外の売上日本を含む海外が半分近くに
98%SUBSCRIPTIONサブスクリプション売上2025年通期、売上の約98%が継続課金

出所:HubSpot 2025年通期の決算発表・決算説明。

REVENUE|売上の推移
20141.2億ドル
20162.7億ドル
20185.1億ドル
20208.8億ドル
202217.3億ドル
202426.3億ドル
202531.3億ドル

出所:HubSpot 年次報告・決算発表。上場の年から11年で約27倍。

2025年の売上は31.3億ドルで、前年より19%増えました。顧客は28万8千社を超え、1年で4万社以上増えています。売上のほぼ半分は米国の外から生まれています。

2025年には、問い合わせ対応や見込み客の開拓を担うAIのエージェントを製品に組み込み、「成長企業のためのAIの顧客基盤」を掲げています。見つけてもらったあとの対応まで、AIで支える方向です。

Chapter 08|日本非英語圏で、​最初の拠点

HubSpotの日本法人は2016年2月に設立され、同年7月に営業を始めました。これは非英語圏で世界初の拠点でした。

日本で事業を始めた背景には、少子高齢化で働く人が減るなか、「やみくもな営業」で売り手も買い手も疲れる状況を変えたいという狙いがあったと同社は説明しています。営業電話や飛び込みが根強い日本の商習慣のなかで、インバウンドの考え方を広げることは、HubSpotにとっても挑戦でした。

今では日本でも、中堅・中小企業を中心に、マーケティングと営業の土台としてHubSpotを使う会社が増えています。HubSpotを使いこなす人材そのものが、転職市場で求められるようになっています。

Chapter 09|示唆エージェントの集客に​置き換える

HubSpotの考え方は、人材紹介の集客にもそのまま当てはまります。候補者の多くは、エージェントからのスカウトや電話に疲れています。一方で、転職を考え始めた人は、自分で情報を調べています。

追いかける集客(アウトバウンド)見つけてもらう集客(インバウンド)
主な手段スカウト、営業電話、広告記事、事例、セミナー、SNSでの発信
候補者の状態興味がないところに声をかける興味を持った人が自ら相談に来る
続けた結果打つ量を増やし続ける必要がある発信が資産として積み上がる

役に立つ情報を発信し続けると、候補者のほうから「この人に相談したい」と来てくれる状態が作れます。スカウトの量を増やし続けるのではなく、選ばれるための発信を積み上げる。HubSpotが20年かけて示してきたことは、エージェントの集客設計を考えるうえでも大きな手がかりになります。

FOR AGENTS

このテーマは、10月21日開催のセミナー「スカウトを打ち続けるから卒業する。『選ばれるエージェント』の集客設計」でも詳しく扱います。イベントページはこちら。

FOR AGENTS
この物語を、面談でどう使うか
01スカウトの前に、発信を候補者は追いかけられることに疲れている。役に立つ発信を積み上げ、相談に来てもらう形は、エージェントの集客そのものに使える。
02企業にも同じことを伝える採用がうまくいかない企業には、カルチャーコードの例を示し、会社のことを正直に発信するよう提案できる。
03マーケ・営業職の候補者にHubSpotを使いこなせる人材は転職市場で求められている。ツール名ではなく、仕組みを設計した経験として語れるよう準備を。
KEY POINTS
この記事のポイント
1着想買い手は邪魔されたくない広告や営業電話を避け、自分で情報を調べるようになった買い手の変化に、MITで出会った2人が気づいた。
2発明考え方に名前をつける「インバウンドマーケティング」と名づけ、本・ソフトウェア・カンファレンスで市場そのものを作った。
3示唆見つけてもらう集客追いかけるより見つけてもらう。この考え方は、人材紹介の集客設計にもそのまま当てはまる。

よくある質問

Q
HubSpotはどんな会社ですか?
A
マーケティング、営業、顧客対応を支えるソフトウェアの会社です。無料で使えるCRMを入口に、中堅・中小企業を中心に世界中で使われています。
Q
創業者は誰ですか?
A
ブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアです。2人はMITスローン経営大学院で出会い、2006年にHubSpotを創業しました。
Q
インバウンドマーケティングとは何ですか?
A
広告や営業電話で見込み客を追いかけるのではなく、役に立つ情報を発信して見つけてもらい、興味を持った人に自ら名乗り出てもらうマーケティングの考え方です。HubSpotの創業者が名づけました。
Q
上場はいつですか?
A
2014年10月にニューヨーク証券取引所に上場しました。
Q
人材紹介の仕事にどう関係しますか?
A
スカウトや電話で候補者を追いかけるのではなく、役に立つ発信を積み上げて候補者から相談に来てもらう、という集客の考え方にそのまま置き換えられます。
まとめ

HubSpotは2006年、MITスローンで出会ったブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアが、広告や営業電話を避けて自分で情報を調べるようになった買い手の変化に気づいて創業した会社である。その変化を「インバウンドマーケティング」と名づけ、本とソフトウェアで市場を作り、2014年に上場した。追いかけるより見つけてもらうという考え方は、エージェントの集客設計にも通じる。

この記事の情報源

  • HubSpot「Our Story」
  • Sequoia Capital「Crucible Moments: HubSpot」
  • 創業者の著書『Inbound Marketing』(2009年)と公開資料
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.30
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