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Founding Story

ispace​の​創業​ストーリー月に​2​度、​届かなかった。​それでも​挑み続ける宇宙​スタートアップ

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • ispaceは、航空宇宙工学を学び経営コンサルを経た袴田武史氏が、民間月面探査レースを目指して2010年に始めた宇宙スタートアップである。2023年の上場直後と2025年の2度、月面着陸に挑んで届かなかったが、失敗を公開して挑戦を続けている。
  • スター・ウォーズと、遠回りの進学
  • 誰も勝てなかった、月面探査レース
  • 2度の着陸、2度の未達
  • 失敗できない国に、しない
  • 勝者のいなかった、賞金3,000万ドル

ispaceは、民間企業として月面着陸に挑む日本の宇宙スタートアップです。

2023年4月に上場し、その2週間後に初めての月面着陸に挑みました。着陸の直前で通信が途絶え、失敗。2025年6月の2度目も、あと一歩で届きませんでした。それでも挑戦をやめない。この会社の物語は、失敗を前提に進む事業の物語です。

Founded2010年民間月面探査レースを目指して
IPO2023年4月東証グロース市場へ
Landing2回月面着陸への挑戦
AT A GLANCE
ひと目でわかる
FOUNDED
2010.09
前身の会社を設立
TURNING POINT
2022.12
ミッション1を打ち上げ
TODAY
2025.06
ミッション2で再び挑む
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。

Chapter 01年表|ispaceの歩み

TIMELINE
ispaceの歩み
HISTORY ─ 創業から現在まで
2010.09
前身の会社を設立民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」を目指す
2013
ispaceとして独自に参加日本唯一のチーム「HAKUTO」
2015.01
レースで中間賞を受賞探査車の性能が評価される
2022.12
ミッション1を打ち上げSpaceXのロケットで
2023.04
上場、そして月面着陸に挑む直前で通信が途絶える
2025.06
ミッション2で再び挑むあと一歩で着陸できず
公式発表・報道・経営者インタビューなどの公開情報で確認できたもの。

Chapter 02原点|スター・​ウォーズと、​遠回りの進学

袴田武史氏は1979年、東京都生まれ。子どもの頃に観たスター・ウォーズに魅せられ、宇宙開発を志しました。

ただ、道は一直線ではありません。第一志望の大学に届かず、別の大学に進んだ後、宇宙に携わりたい一心で再受験し、名古屋大学で機械・航空工学を学びます。その後、米ジョージア工科大学で航空宇宙工学の修士を取りました。

卒業後に選んだのは、宇宙ではなく外資系の経営コンサルティングでした。宇宙開発を事業として成り立たせるには、技術だけでなく経営が要る。この遠回りが、のちに生きることになります。

Chapter 03挑戦|誰も​勝てなかった、​月面探査レース

2010年、袴田氏はGoogleがスポンサーとなった世界初の民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」への参加を目指して、前身の会社を設立します。

提携していた欧州の団体がレースから抜けたため、2013年に社名をispaceに改め、日本唯一のチーム「HAKUTO」として独自に参加しました。2015年には、探査車が宇宙でも機能する性能を持つとして中間賞を受けます。

しかしレースは、参加したどのチームも期限までに打ち上げを実現できず、勝者のないまま終わりました。ispaceはこの挑戦を「Reboot(再起動)」し、自社の月面探査計画「HAKUTO-R」として続けます。

Chapter 04失敗|2度の着陸、2度の未達

2022年12月、ミッション1の着陸船をSpaceXのロケットで打ち上げます。そして2023年4月、東証グロース市場に上場。そのわずか2週間後の4月26日、月面着陸に挑みました。

多くの成果を得たものの、月面まであと一歩というところで通信が途絶えます。2025年6月6日、「RESILIENCE(再起)」と名付けた着陸船で臨んだ2度目の挑戦も、着陸には至りませんでした。

宇宙開発で大切なのは、続けることだ。複数のミッションを並行して進められる資金を集め、失敗の知見を次に生かす体制こそが、この会社の本当の武器である。ispaceの戦い方

Chapter 05現在地|​失敗できない国に、しない

ミッション2の打ち上げに合わせ、ispaceは「日本を、失敗できない国にしない。」という言葉を掲げました。

2度の失敗は重い事実です。それでも同社は技術的な原因を分析して公開し、次のミッションに向けて歩みを止めていません。日本・ルクセンブルク・米国の3拠点に約300名のスタッフを抱え、月への輸送を事業にするという目標を追い続けています。

失敗を公開し、次に生かす。その姿勢そのものが、挑戦的な人材を引きつける理由になっています。

Chapter 06レース|​勝者のいなかった、​賞金3,000万ドル

LUNAR XPRIZE
世界初の民間月面探査レースとは
PRIZE
賞金総額3,000万ドル
Googleがスポンサーとなり、Xプライズ財団が運営した。
MISSION
月面を500m走り、映像を送る
民間の資金だけで月に探査車を送り、決められた課題を果たす。
HAKUTO
日本唯一のチーム
最終選考に残った5チームの一つ。2015年に中間賞50万ドルを受けた。
RESULT
勝者なしで終了
どのチームも期限までに打ち上げられず、賞金は誰の手にも渡らなかった。
レースの概要は公開情報にもとづく。

Google Lunar XPRIZEは、民間の力だけで月に探査車を送ることを競う、世界初のレースでした。ispaceが率いたHAKUTOは最終選考の5チームに残り、探査車の性能で中間賞も受けています。

それでもレースは、どのチームも期限までに打ち上げを実現できずに終わりました。技術だけでは月に行けない。打ち上げの手段、資金、提携先のすべてがそろって初めて挑戦が成り立つ。この経験が、のちの事業の組み立て方を決めました。

Chapter 07失敗の中身|何が、​足りなかったのか

ミッション1ミッション2
打ち上げ2022年12月2025年1月
着陸への挑戦2023年4月26日2025年6月6日
着陸船の名前—RESILIENCE(再起)
結果月面の直前で通信が途絶える着陸に至らず
主な要因(公表)高度の見積もりのずれレーザーによる距離の測定の遅れと、減速の不足

ispaceは2度とも、失敗の技術的な要因を分析して公開しました。ミッション2では、着陸の直前まで開発と運用を効率よく進められたと振り返っています。失敗から学んだことを、次の機体に確実に積み上げる。それを外に向けて示すことが、支援者をつなぎとめています。

2つのミッションには22社のパートナーが加わり、計画「HAKUTO-R」は2025年12月に予定どおり終了しました。次の段階では、米国の研究機関と組んだ着陸船など、国をまたいだ体制で月への輸送を目指しています。

宇宙で失敗しない方法はない。あるのは、失敗から学ぶ速さと、それでも挑戦を続けられる体制だけだ。

編集部の視点
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
挑戦志向の候補者と話すとき

2度の月面着陸の失敗を公開し、次に生かしています。失敗を前提に進む事業の厳しさと面白さを伝えられます。

技術者の候補者に紹介するとき

前人未到の領域で、ハードウェアからソフトウェアまで手がけています。成功が約束されていない仕事であることも、あわせて伝えてください。

上場企業の見方を伝えるとき

上場の2週間後に大きな挑戦をしています。業績の安定より、挑戦の継続を株主に約束する会社もあります。

KEY POINTS
この記事のポイント
1原点|スター・ウォーズと、遠回りの進学袴田武史氏は1979年、東京都生まれ。子どもの頃に観たスター・ウォーズに魅せられ、宇宙開発を志しました。
2挑戦|誰も勝てなかった、月面探査レース2010年、袴田氏はGoogleがスポンサーとなった世界初の民間月面探査レース 「Google Lunar XPRIZE」 への参加を目指して、前身の会社を設立します。提携していた欧州の団体がレースから抜けたため、2013年に社名をispaceに改め、 日本唯一のチーム「HAKUTO」 として独自に
3失敗|2度の着陸、2度の未達2022年12月、ミッション1の着陸船をSpaceXのロケットで打ち上げます。そして2023年4月、東証グロース市場に上場。

この記事の情報源

  • 各社の有価証券報告書・適時開示(沿革、業績、資本構成など)
  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
ispaceの創業者は誰ですか?
A
袴田武史氏です。米ジョージア工科大学で航空宇宙工学の修士を取り、外資系コンサルティング会社を経て、2010年に前身の会社を設立しました。
Q
ispaceはいつ上場しましたか?
A
2023年4月に東証グロース市場に上場しました。
Q
月面着陸はどうなりましたか?
A
2023年4月のミッション1、2025年6月のミッション2とも、着陸の直前で着陸には至りませんでした。同社は原因を分析して公開し、次の挑戦を続けています。
Q
HAKUTOとは何ですか?
A
Googleがスポンサーとなった民間月面探査レースに、日本唯一のチームとして参加したispaceのチーム名です。レース終了後は月面探査計画「HAKUTO-R」として続いています。
Q
Google Lunar XPRIZEとは何ですか?
A
Googleがスポンサーとなり、Xプライズ財団が運営した世界初の民間月面探査レースです。賞金総額は3,000万ドルでしたが、どのチームも期限までに打ち上げられず、勝者なしで終わりました。
Q
ispaceの着陸はなぜ失敗したのですか?
A
同社の公表では、ミッション1は高度の見積もりのずれ、ミッション2はレーザーによる距離の測定の遅れと減速の不足が主な要因とされています。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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