この記事の要点
- 三菱総合研究所(MRI)は1970年、三菱創業100周年の記念事業として、三菱グループ各社の共同出資で設立された。
- グループ内にあった3つの研究機関(原子力関連の計算センター、技術経済情報センター、三菱経済研究所)を中心に生まれた。
- 「独立」「学際」「未来志向」を掲げ、政府・官公庁・自治体からの受託研究に強みを持つ。三菱グループからの受注は一部にとどまる。
- 2005年にIT子会社を取り込み、2009年に上場。調べて提言するだけでなく、社会実装まで担う「Think & Act Tank」をめざしている。
三菱総合研究所(MRI)は、経済、社会・公共政策、科学技術など幅広い分野の調査研究を行う、日本を代表するシンクタンクの一つです。とくに、国や自治体から委託される政策研究に強みを持ちます。
同じ「総合研究所」でも、野村総合研究所とは成り立ちも事業の重心も大きく違います。その違いを、設立の経緯から追います。
Chapter 01|創業三菱創業100年の、記念事業として
1870年に岩崎弥太郎が始めた海運業から数えて、1970年は三菱の創業100年にあたります。その記念事業の一つとして生まれたのが、三菱総合研究所です。三菱グループ各社が共同で出資し、1970年5月に設立されました。
設立の中心になったのは、グループ内にあった3つの研究機関でした。三菱原子力工業の総合計算センター、技術経済情報センター、そして財団法人三菱経済研究所です。計算、技術、経済という異なる専門を一つに束ね、総合的に未来を研究する組織が作られました。
設立
1970年5月
きっかけ
三菱創業100周年の記念事業
出資
三菱グループ各社の共同出資
基本理念
「独立」「学際」「未来志向」
Chapter 02|立場グループから、「独立」する
設立時に掲げた基本理念の一つが「独立」でした。グループ各社の出資で生まれながら、特定の企業の利益のためではなく、中立的な立場で社会や政策の課題を研究することをめざしたのです。
その結果、同社の顧客の中心は政府・官公庁・地方公共団体になりました。三菱グループからの受注は一部にとどまり、経営的にも独立しているとされます。かつては売上や利益よりも、公への貢献を重視する社風だったともいわれます。
グループの出資で生まれながら、グループのためだけに働かない。
その距離感が、政策研究の信頼につながった。
Chapter 03|年表三菱総合研究所の歩み
1970.05三菱総合研究所を設立三菱創業100周年の記念事業。グループ各社の共同出資
1980年代国家プロジェクトに参画
1990年代「第二の創業期」として事業分野を再編
2005IT子会社(現三菱総研DCS)を連結子会社にITソリューションを大幅に強化
2009.09東証二部に上場
2010.09東証一部に指定替え
2010年代「Think & Act Tank」へ提言から社会実装まで
2020創業50周年経営理念を刷新し、DXの事業部門を設置
Chapter 04|変化考えるだけでなく、動かす
長く政策研究を中心にしてきた同社は、2000年代に入って大きく形を変えます。2005年、情報処理サービスのダイヤモンドコンピューターサービス(現三菱総研DCS)を連結子会社にし、ITソリューションの事業を大幅に強化しました。
そして2009年、東京証券取引所に上場します。上場時の時価総額が一部への直接上場の基準に届かず二部からの出発でしたが、翌2010年に一部へ指定替えとなりました。
2010年代には、「Think Tank」から「Think & Act Tank」へという方針を掲げます。未来を構想するシンクタンク、具体策を示すコンサルティング、それを実現するITソリューション。提言で終わらず、社会実装まで一気通貫で担うことをめざしています。
提言するだけでは、社会は変わらない。実装まで担って、初めて未来に届く。「Think & Act Tank」の考え方
Chapter 05|比較野村総研と並べてみる
| 三菱総合研究所 | 野村総合研究所 |
|---|
| 設立 | 1970年 | 1965年(1988年に合併) |
|---|
| 成り立ち | グループ各社の共同出資による記念事業 | 証券会社の調査部と計算センター |
|---|
| 強み | 政府・官公庁の政策研究 | 金融・流通のシステム構築・運用 |
|---|
| 事業の重心 | 調査研究・コンサル+IT | システムが売上の大部分 |
|---|
同じ「総合研究所」でも、誰のために生まれたかが違えば、事業の重心も変わります。野村総合研究所、日本のシンクタンクの実像もあわせて読んでください。
Chapter 06|実務候補者に、この来歴をどう語るか
政策・公共分野に関心がある人に
TALK SCRIPT
「三菱総研は、三菱グループの出資で生まれながら、国や自治体の政策研究を中心にしてきたシンクタンクです。社会全体の課題に、中立的な立場から関わりたい人に向いています。」
公共政策やエネルギー、科学技術などに関心がある候補者には、研究と提言を通じて社会に関わる仕事として紹介できます。近年は実装まで担う方針のため、ITやDXの経験も活かせます。
確認しておきたいこと
- 配属の領域:研究・コンサル部門か、ITソリューション(グループ会社を含む)か。
- 顧客:官公庁中心か、民間企業中心か。働き方や案件の進め方が違う。
- 専門性:研究職では、特定分野の専門知識や学位が重視されることがある。
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業創業100年の記念事業1970年、三菱創業100周年の記念事業として、グループ内の3つの研究機関を中心にグループ各社の共同出資で設立された。
2立場グループからの独立「独立」を理念に掲げ、政府・官公庁・自治体の政策研究を中心にしてきた。
3変化Think & Act Tank2005年にIT子会社を取り込み2009年に上場。提言から社会実装までを担う方向へ広がった。
よくある質問
A経済、社会・公共政策、科学技術など幅広い分野の調査研究とコンサルティング、ITソリューションを手がける総合シンクタンクです。政府・官公庁・自治体の受託研究に強みを持ちます。
A1970年、三菱創業100周年の記念事業として、グループ内の3つの研究機関を中心に、三菱グループ各社の共同出資で設立されました。
Aいいえ。設立時から「独立」を理念に掲げ、顧客の中心は政府・官公庁・自治体で、三菱グループからの受注は一部にとどまるとされます。
A2009年9月に東証二部に上場し、2010年9月に東証一部に指定替えとなりました。現在はプライム市場に属しています。
A三菱総研は政策研究が強みで、グループ各社の共同出資による記念事業として生まれました。野村総研は証券会社の調査部と計算センターの合併で生まれ、売上の大部分をシステム事業が占めています。
まとめ
三菱総合研究所は1970年、三菱創業100周年の記念事業として、グループ内の3つの研究機関を中心にグループ各社の共同出資で設立された総合シンクタンクである。「独立」を掲げて政府・官公庁の政策研究に強みを築き、2005年のIT子会社の取り込みと2009年の上場を経て、提言から社会実装までを担う「Think & Act Tank」をめざしている。
この記事の情報源
- 三菱総合研究所 会社情報・経営理念
- 同社の有価証券報告書(沿革)
- 沿革をまとめた公開資料・事典(コトバンクほか)
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営:
株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.25
← ナレッジ一覧に戻る