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Founding Story

Notionの創業ストーリー京都で書き直した2年が、会社を救った

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • Notionは2013年、イバン・ジャオとサイモン・ラストがサンフランシスコで創業した。
  • 「誰でも自分の道具を作れるソフトウェア」をめざしたが、最初の製品は不安定で複雑すぎ、2015年には資金が尽きかけた。
  • 2人は社員を解雇し、生活費が半分以下の京都へ移って、1年かけてゼロから作り直した。ジャオは母親から15万ドルを借りた。
  • 2016年にNotion 1.0、2018年にデータベースを加えた2.0を公開。2021年に評価額100億ドルに達し、日本語版も公開された。

Notionは、メモ、タスク管理、社内Wiki、データベースを一つにまとめたワークスペースのソフトウェアです。個人から大企業まで、世界で1億人以上が使っているとされます。

今では欠かせない道具になったこの製品は、一度ほぼ死にかけました。その危機を、創業者たちが京都の小さな家でどう乗り越えたのかを追います。

FOUNDED2013サンフランシスコで創業
CRISIS2015京都でゼロから作り直す
USERS1億人超利用者数(2024年)
VALUATION110億ドル評価額(2025年、報道)

Chapter 01|構想「ソフトウェアのレゴ」を​作りたい

イバン・ジャオは、カナダのブリティッシュコロンビア大学で認知科学と美術を学び、プロダクトデザイナーとして働いていました。1960〜70年代に「コンピュータで人間の知性を拡張する」ことをめざした研究者たちに強く影響を受けていたといいます。

ジャオが不満を感じていたのは、用途ごとにばらばらの道具を使わなければならないことでした。メモはこのアプリ、タスクはあのアプリ。しかも、使う人が自分に合わせて作り変えることはできません。プログラミングができない人でも、自分の道具を組み立てられるソフトウェア。いわば「ソフトウェアのレゴ」を作りたいと考えました。

創業
2013年、サンフランシスコ
創業者
イバン・ジャオ(デザイン)、サイモン・ラスト(技術)
危機
2015年、資金が尽きかけ京都へ
再出発
2016年、Notion 1.0を公開

Chapter 02|危機3年かけた製品が、​動かない

2013年、ジャオは技術を担うサイモン・ラストとともにNotionを創業し、友人や家族から約200万ドルを集めます。最初の製品は、コードを書かずにウェブサイトやアプリを作れる道具でした。

しかし、製品は選んだ技術の土台が悪く、頻繁に落ちました。機能は複雑すぎて、使う人にも響きません。3年近く作り続けた2015年、2人は資金が尽きるか、ゼロからやり直すかの選択を迫られます。

3年かけて作ったものを、自分たちの手で捨てる。
Notionを救ったのは、続ける判断ではなく、やめる判断だった。

Chapter 03|京都紙の壁の家で、​1日18時間

2人は、数少ない社員を解雇し、サンフランシスコのオフィスを閉じます。そして、生活費がサンフランシスコの半分以下だった京都へ移りました。ジャオは会社を続けるため、母親から15万ドルを借りたと伝えられています。

借りたのは、障子一枚で寝室が仕切られた小さな2階建ての家でした。日本語は話せず、周りに英語を話す人もいない。2人は着替えも掃除も料理もそこそこに、1日18時間パソコンに向かい、製品をゼロから書き直しました。ジャオがデザインを、ラストがコードを担いました。

この1年で生まれたのが、今のNotionの土台となる「ブロック」の考え方です。文章、見出し、チェックリスト、画像、表。あらゆる要素をブロックとして自由に組み合わせられる。複雑さをそぎ落とし、組み立てる自由だけを残しました。

資金も、社員も、オフィスも手放した。残ったのは、2人と、作り直すという決断だけだった。Notionの京都時代

Chapter 04|年表Notionの​歩み

2013サンフランシスコで創業イバン・ジャオとサイモン・ラスト
2015倒産寸前に。京都へ移る社員を解雇し、ゼロから書き直す
2016.03Notion 1.0を公開Product Huntで大きな反響
2018.03Notion 2.0を公開データベースを加え、利用が広がる
2019利用者100万人に
2021評価額100億ドルに日本語版も公開
2023Notion AIを公開
2024〜利用者1億人超カレンダー、メールなどへ広げる

Chapter 05|成長広告に頼らず、​使う人が広める

2016年に公開したNotion 1.0は、新しい製品を紹介するサイトProduct Huntで大きな反響を呼びました。2018年には、表やカンバン、カレンダーとして同じデータを見られるデータベースを加えた2.0を公開し、利用が一気に広がります。

Notionの成長の特徴は、使う人が自分で作ったテンプレートや使い方を共有し、それが次の利用者を呼ぶことでした。大規模な広告に頼らず、コミュニティが製品を広めていったのです。2020年ごろには利用が急増し、たった一つのデータベースで動いていたシステムが限界に近づき、機能開発を止めて基盤の作り直しに集中した時期もありました。

創業者たちは長く外部からの資金調達を控え、黒字化してから調達を再開したとされます。京都で学んだ身軽さを、成長してからも保とうとしたのです。

Chapter 06|数字1億人と、​評価額110億ドル

1億人超利用者数(2024年)
5億ドル超年間の経常収益(2025年、報道)
110億ドル社員の株式売却時の評価額(2025年、報道)

出所:米CNBCなどの報道、同社の公表。非上場企業のため、数値は報道や会社の発表にもとづく。

半数+FORTUNE 500フォーチュン500の利用米大企業の半数以上が使っているとされる
約3割FOUNDERS創業者の持ち株外部資本に頼らず、創業者が株式を持ち続けたと報じられる

出所:同社の公表・報道。非上場企業のため、概数で示している。

USERS|利用者数の推移
2019100万人
2020400万人
20212,000万人
20241億人

出所:同社の公表・報道。京都で作り直した製品が、5年で100倍に広がった。

京都で作り直してから約10年。Notionの利用者は1億人を超え、米フォーチュン500企業の半数以上が使っているとされます。2021年には評価額100億ドルで資金を調達し、2025年には社員の株式売却の際に110億ドルと評価されたと報じられました。

注目したいのは、資金の集め方です。創業期に約200万ドルを集めたあと、2人は長く外部からの調達を控え、黒字になってから調達を再開したとされます。創業者が株式の約3割を持ち続け、取締役会に投資家の代表を置いてこなかったとも伝えられています。京都で「お金が尽きる怖さ」を知った経験が、その後の経営の慎重さにつながっていると読むこともできます。

社員数は約1,000人(2025年時点、報道)。1億人が使う製品としては小さな組織です。大規模な広告に頼らず、使う人のコミュニティが製品を広める仕組みが、少人数での成長を支えています。

Chapter 07|広がりメモから、​仕事の土台へ

Notionは、ノートアプリから始まって、仕事の道具そのものへと広がってきました。2022年には予定表のアプリを買収し、のちにNotion Calendarとして公開。2023年には文章の要約や作成を手伝うNotion AIを、2024年にはページをそのままウェブサイトとして公開できる機能を加えています。

時期広がった領域意味
2016〜2018メモ・Wiki・データベース「ブロック」で自分の道具を組み立てる
2021〜2022予定表・業務の自動化チームの仕事の流れ全体へ
2023〜AI・ウェブサイト・メール情報を「置く場所」から「働く場所」へ

ばらばらの道具を行き来する不便さを解きたい、というジャオの最初の問題意識は、今も変わっていません。一つの場所で考え、書き、決め、共有する。その場所を広げ続けているのがNotionです。

機能を足しているように見えて、
実は「道具を行き来させない」という一つの考えを、範囲を広げて実現している。

Chapter 08|日本京都から始まった​縁

Notionと日本の関係は、会社の存続がかかった京都での1年から始まりました。2021年には日本語版が公開され、日本でも個人やスタートアップを中心に利用が広がりました。日本語での使い方の共有やテンプレートの公開も盛んで、使う人が製品を広めるという成長の形は、日本でも同じように働いています。

エージェントの立場から見ると、Notionは「転職先の会社がどんな道具で働いているか」を知る手がかりにもなります。社内のWikiや議事録、採用の管理までNotionで行う会社は少なくありません。情報を公開し、文章で残す文化があるかどうか。候補者との面談で、働き方の相性を確かめる材料になります。

Chapter 09|実務候補者に、​この来歴をどう語るか

キャリアで挫折を経験した候補者に

TALK SCRIPT

「Notionは、3年かけた製品を捨て、京都で1年かけて作り直したことで生まれた会社です。うまくいかなかった経験は、何を捨てて何を残すかを決める材料になります。」

前職でうまくいかなかった経験を話しにくい候補者には、「やめる判断」も立派な判断であることを伝えると、面接での語り方が変わります。何を学び、次に何を残したのかを整理しましょう。

SaaS・プロダクト職を志望する人に

Notionの来歴は、機能を増やすより、そぎ落とすことの難しさと価値を示す例です。プロダクトマネージャーやデザイナーを志望する候補者に、「何を作らないかをどう決めたか」を語れるよう準備してもらうと、面接での説得力が増します。

FOR AGENTS
この物語を、面談でどう使うか
01挫折の語り方を変える3年分を捨てて作り直した判断は、候補者が前職の失敗を「何を捨て、何を残したか」として語り直すための型になる。
02働く道具から、文化を読む応募先がNotionで情報を公開し、文章で残す会社かどうか。面談で働き方の相性を確かめる具体的な問いになる。
03プロダクト職の面接対策に「何を作らないと決めたか」を語れるか。機能を足すより削る判断の経験が、SaaSのプロダクト職では評価されやすい。
KEY POINTS
この記事のポイント
1危機3年分を捨てる最初の製品は不安定で複雑すぎ、2015年に資金が尽きかけた。2人は3年分のコードを捨てる決断をした。
2京都2人でゼロから社員を解雇し、生活費の安い京都で1日18時間、ブロックの考え方で製品を作り直した。
3成長使う人が広める2016年の1.0、2018年の2.0を経て、テンプレートを共有するコミュニティの力で世界に広がった。

よくある質問

Q
Notionはどんな会社ですか?
A
メモ、タスク管理、社内Wiki、データベースを一つにまとめたワークスペースのソフトウェアを作る会社です。2013年にサンフランシスコで創業しました。
Q
創業者は誰ですか?
A
デザインを担うイバン・ジャオと、技術を担うサイモン・ラストです。
Q
なぜ京都に移ったのですか?
A
2015年、最初の製品がうまくいかず資金が尽きかけたため、生活費がサンフランシスコの半分以下だった京都に移り、2人でゼロから製品を作り直すためです。
Q
Notionが広まった理由は?
A
文章や表などをブロックとして自由に組み合わせられる柔軟さと、使う人が自分で作ったテンプレートや使い方を共有するコミュニティの力によるものとされます。
Q
日本語版はありますか?
A
はい。2021年に日本語版が公開されました。
まとめ

Notionは2013年、イバン・ジャオとサイモン・ラストが「誰でも自分の道具を作れるソフトウェア」をめざして創業した会社である。最初の製品は失敗し、2015年に倒産寸前となったが、2人は社員を解雇して京都へ移り、1年かけてブロックの考え方で作り直した。2016年の1.0、2018年の2.0を経て、使う人のコミュニティの力で世界に広がった。

この記事の情報源

  • Sequoia Capital「Notion CEO Ivan Zhao: Augmenting Human Intellect」
  • Contrary Research「Notion Business Breakdown & Founding Story」
  • 創業者の公開インタビュー・報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.30
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