人材紹介の手数料は、採用した人の年収の一定割合で決まるのが一般的です。2025年4月から、紹介会社に職種ごとの手数料率の実績の開示が義務づけられ、その集計が厚生労働省から公表されました。
「人材紹介の手数料は年収の30〜35%」。よく言われるこの相場は、これまで業界の慣習や民間の調査にもとづくものでした。ところが2025年4月の制度改正で、紹介会社は職種ごとの手数料率の実績を開示することになり、厚生労働省がその集計を公表しました。
この記事では、この公的なデータをもとに、職種ごとの手数料率の実態、計算方法、返戻金、紹介した人の定着率までを整理します。採用を担当する企業の方にも、紹介会社で働く方にも役立つ内容です。
人材紹介の手数料は、採用が決まったときにだけ企業が支払う成功報酬です。多くの場合、採用した人の理論年収(入社1年目の想定年収)に、契約で決めた手数料率をかけて計算します。
| 手数料の方式 | 内容 |
|---|---|
| 届出制手数料 | あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表にもとづいて受け取る。年収の一定割合とする形が一般的 |
| 上限制手数料 | 法律で定められた上限の範囲で受け取る方式 |
| 求職者からの手数料 | 原則として受け取ることができない。求職者は無料で利用できる |
出所:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」。
2025年4月の職業安定法にもとづく省令・指針の改正で、紹介会社は取り扱う職種ごとの平均手数料率の実績を、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開することになりました。常用就職の多い上位5職種について開示し、年間の常用就職が10件以下の職種は対象外です。
これまで企業は、紹介会社ごとの手数料を比べる手段をほとんど持っていませんでした。この開示によって、職種ごとに、どの会社がどのくらいの手数料率で紹介しているかを確かめられるようになりました。
厚生労働省は2025年12月、この開示情報などをもとに、職種ごとの手数料率の分布をまとめた資料を公表しました。職種ごとに、最も多い手数料率のレンジは次のとおりです。
大きく見ると、ホワイトカラーの専門職・管理職・営業は30%台、医療・福祉・保育と一般事務は20%台という2つのグループに分かれます。一般に言われる「年収の30〜35%」は、ITや営業などの職種には当てはまりますが、すべての職種の相場ではないことが分かります。
医療・介護・保育の分野では、厚生労働省が地域ブロック別の平均手数料も公表しています。2021年度の全国平均は、介護が42万円、保育が53.7万円、看護が57.2万円でした(報道による)。地域によって差があり、同じ職種でも北陸では介護が54.9万円、看護が72.4万円と高い傾向でした。
手数料の高さと同じくらい大切なのが、紹介された人がすぐに辞めていないかです。紹介会社には、無期雇用で就職した人のうち6か月以内に離職した人の数の開示も義務づけられています。
| 職種 | 離職率の分布の特徴 |
|---|---|
| 看護・保育・介護 | 0.0%(離職なし)のレンジに次いで、10.1〜20.0%のレンジが多い |
| 医師、一般事務・秘書・受付、法人・団体管理職員、IT、金融等の専門職、営業 | 0.0%のレンジに次いで、0.1〜10.0%のレンジが多い |
出所:厚生労働省「職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について」。事業所ごとの常用就職件数(2022年度、無期雇用のみ)と、就職後6か月以内の離職者数から算出。
医療・福祉の分野は、手数料率は20%台と低めな一方で、6か月以内の離職が相対的に多い傾向があります。報道によれば、2020年度の6か月以内の全国平均の離職率は、介護13.9%、看護8.8%、保育8.5%でした。
多くの紹介会社は、紹介した人が短期間で自己都合退職した場合に、手数料の一部を返す返戻金制度を設けています。返戻金の有無と内容は、人材サービス総合サイトでの開示の対象です。
| 入社後の退職時期 | 返金の割合(一例) |
|---|---|
| 1か月以内 | 手数料の80%前後 |
| 1〜3か月以内 | 手数料の50%前後 |
| 3〜6か月以内 | 手数料の10〜30%前後 |
割合や対象期間は会社によって大きく異なります。2025年4月からは、違約金に関する規約の明示も必要になりました。契約の前に、手数料率とあわせて必ず確認してください。
手数料率が低いことだけを基準にするのはおすすめしません。手数料が多少高くても、定着する人を紹介してくれる会社の方が、採用のやり直しにかかる費用と時間を考えると結果的に安くつくことが多いからです。
手数料率と離職率が公開されるようになったいま、紹介会社は「いくらで紹介しているか」「紹介した人が定着しているか」で比べられる時代に入りました。手数料率を上げることより、定着する人を紹介して、同じ企業から次の依頼をもらうことが、長い目で見た売上を支えます。
出典:厚生労働省「職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について」(2025年12月25日掲載)/同「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」/同「紹介手数料率の実績の公開と違約金規約の明示」に関する事業者向け資料/医療・介護・保育分野の地域ブロック別平均手数料・離職率に関する報道。
人材紹介の手数料は、採用した人の年収の一定割合で決まる。2025年4月から職種ごとの手数料率の実績が開示され、ITや営業などは30%台、医療・福祉・事務は20%台が中心だと分かった。手数料の高さだけでなく、6か月以内の離職率と返戻金の仕組みまで含めて、紹介会社を比べることが大切である。
記事の内容を前提にして、あなたの状況に合わせた答えをAIに出させます。質問を入れて「ChatGPTで相談」または「Claudeで相談」を押すと、記事の要点と質問がセットになった状態で開きます。