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Founding Story

ワンプール制とは部門を持たないコンサル組織の​仕組みと、転職で​見るべきポイント

ナレッジ 2026.09.21
この記事の要点
  • ワンプール制は、部門に分けず全員を一つの集団に置き、案件ごとにアサインする組織モデル。
  • 経営にとっては稼働率の平準化と急成長への対応、働く側には幅広い経験と専門を試してから選べる利点がある。
  • 一方で専門性が深まりにくく、自分で軸を作らなければ経験が散らばる。
  • 前職の業界を活かしたい人には部門制、専門を決めていない人にはワンプール制が合いやすい。

ワンプール制とは、コンサルタントを業界別・機能別の部門に分けず、全員を一つの集団(プール)に置き、案件ごとにアサインする組織モデルです。

日本ではベイカレントが代表例として知られています。候補者から「部門がないのは不安」「何の専門家になれるのか分からない」と聞かれることの多い仕組みです。

この記事では、部門制との違いから、メリット・デメリット、向いている人、面接で確かめるべき点までを整理します。

Model一つの集団部門に分けない
Assign案件ごと配置は都度決まる
Exampleベイカレント国内の代表例

Chapter 01流れ|入社から専門ができるまで

①入社部門には配属されず、全員が同じプールに所属する
②アサイン案件の要件と本人の経験・希望から配置が決まる
③案件業界やテーマはその都度変わる
④案件の終了再びプールに戻り、次の案件を待つ
⑤経験の蓄積複数業界・複数テーマの経験が積み上がる
⑥専門の形成年次とともに得意領域が形成されていく

Chapter 02定義|部門制と、何が​違うのか

STRUCTURE
部門制とワンプール制の違い(業界 × ソリューション)
部門制
担当するのは、表の1行か1列だけ
戦略
業務
IT
組織
金融
保険
製造
通信
公共
業界別の部門(例:保険部門)機能別の部門(例:戦略部門)
ワンプール制
担当範囲は表全体。縦にも横にも動ける
戦略
業務
IT
組織
金融
3
保険
↑
製造
↑
通信
1
→
2
公共
案件ごとの移動の例:
1 通信×戦略 → 2 通信×IT(横へ)→ 3 金融×IT(縦へ)
部門制では、同じ行(業界)か同じ列(機能)の中で経験を深める。ワンプール制では、業界もソリューションも案件ごとに変わり得るため、早い段階で幅広く経験し、自分に合う領域を見極められる。

多くのコンサルティングファームは部門制を取っています。金融・製造・通信といった業界別、あるいは戦略・IT・人事といった機能別の部門があり、入社時に所属が決まります。

ワンプール制には、この所属がありません。全員が同じ集団にいて、案件が来たときに誰を入れるかが決まる。組織図に部門の箱が並ばないのはこのためです。

部門制ワンプール制
所属入社時に決まる決まらない
担当する案件部門の領域に限られる業界・テーマを問わない
専門性早く深まる幅から形成される
案件の偏り部門ごとに繁閑が出る全体で平準化しやすい
上司・評価者部門長が中心案件ごとに変わる

Chapter 03理由|なぜ、部門を​持たないのか

ワンプール制を取る理由は、経営の側から見ると明確です。

理由内容
稼働率の平準化ある業界の案件が減っても、別の業界に人を回せる
急成長への対応部門の枠を作り直さずに人を増やせる
案件への柔軟な配置必要な経験を持つ人を全体から探せる
部門間の壁がない業界を横断するテーマに対応しやすい

特に重要なのは成長速度との関係です。ベイカレントはコンサルタントを1年で約1,400名増やす計画を持ち、そのうち700名近くが新卒です(組織図の記事参照)。

部門制は、人数が安定しているときに最も機能する。毎年大きく人が増える組織では、部門の枠のほうが先に足りなくなる。成長と組織の形

稼働率の面でも利点があります。部門制では、ある部門は忙しく別の部門は待機が出る、という偏りが起きます。一つのプールなら、全体で吸収できる。

Chapter 04利点|候補者にとっての、​メリット

ワンプール制は経営のための仕組みですが、働く側にも利点があります。

メリット具体的には特に響く人
幅広い経験数年で複数の業界・テーマを経験できるまだ専門を決めていない人
応募のしやすさ部門を選ばずに応募できるコンサル未経験者
早い段階での比較自分に合う領域を実際に試して選べる適性を確かめたい人
部門の盛衰に左右されにくい特定業界の不況で居場所を失わない安定を重視する人

最も大きいのは、専門を決める前に試せることです。部門制では「金融」と決めて入社したら、製造業の案件を経験する機会はほとんどありません。

コンサル未経験の候補者に「何の専門家になりたいか」を聞いても、答えられないことが多い。答えられないまま部門を選ぶより、経験してから選ぶほうが合理的という考え方もできます。

Chapter 05課題|候補者にとっての、​デメリット

一方で、ワンプール制には明確な弱点もあります。伝えずに勧めると、入社後の落差になります。

デメリット具体的には特に気になる人
専門性が深まりにくい案件ごとに領域が変わる特定分野を極めたい人
案件を選びにくい希望は出せるが、配置は需要次第やりたい領域が明確な人
上司が固定されない育成の一貫性が案件に依存するじっくり育ててほしい人
キャリアの説明が難しい次の転職で「何の専門か」を問われる数年後の転職を考える人

最後の点は見落とされがちです。幅広い経験は、裏返せば「何の専門家か」を一言で言いにくいということです。

ただしこれは設計できます。案件の希望を出し続け、自分で軸を作っていく人は、幅と深さの両方を手に入れます。仕組みに任せきりにすると、幅だけが残ります。

ワンプール制は、何を経験するかを会社が決める仕組みではない。本人が選び続けなければ、経験は散らばる。主体性という前提

Chapter 06適性|向いている人と、​向いていない人

ワンプール制が合うかどうかは、候補者の現在地で決まります。

向いている人向いていない人
専門をまだ決めていない特定の業界を深めたい
変化を楽しめる同じ領域で積み上げたい
自分から希望を出して動ける配置を任せたい
コンサル未経験で、まず型を身につけたい前職の業界知識をそのまま活かしたい
早く多くの案件を経験したい一人の上司にじっくり育ててほしい

たとえば金融機関出身で、金融の知見を活かしたい候補者には、金融部門を持つファームのほうが合うことがあります。ワンプール制では、金融案件に入れる保証がないからです。

逆に、事業会社出身でコンサルに初めて挑戦する候補者には、ワンプール制が向いていることが多い。部門を選ぶ根拠を持たない段階で、選ばずに入れるからです。

Chapter 07実務|面接で、何を​確かめさせるか

ワンプール制の企業を受ける候補者には、面接で次の点を確認させると、入社後の齟齬を減らせます。

確認すること聞き方の例分かること
アサインの決まり方「最初の案件はどう決まりますか」希望がどこまで反映されるか
希望の通り方「特定の領域を希望した人は、どのくらい入れていますか」専門を作れる余地
待機の実態「案件の間に待機する期間はありますか」稼働率と待機の扱い
育成の仕組み「上司が案件ごとに変わる中で、誰が育成を見ますか」育成の一貫性
専門の作り方「数年で専門を持った人は、どう動いていましたか」キャリアの作り方の実例

特に待機は重要です。ワンプール制では案件の間に待機が生じることがあり、稼働率がその目安になります。ベイカレントは想定レンジを80〜90%としています。

これらをエージェント側で事前に確認しておき、候補者には判断材料として渡す。聞きにくい質問を代わりに聞くことも、支援の一部です。

Chapter 08比較|部門制の​ファームと、​どう比べるか

候補者が複数のファームを比較しているとき、組織モデルの違いを軸にすると判断が整理されます。

候補者の問いワンプール制なら部門制なら
入社後、何をするか案件次第。幅広い部門の領域。明確
3年後、何が身につくか複数業界の経験と汎用的な型特定領域の深い知見
次の転職で何を語れるか自分で軸を作れていれば強い専門を一言で語りやすい
合わなかったときは別の案件に移れる部門異動が必要

最後の行は、ワンプール制の見落とされがちな利点です。合わない案件から抜けても、会社を辞める必要がない。部門制では、合わない部門にいると異動か転職かの二択になります。

どちらが優れているかではなく、候補者が何を優先するかで答えが変わります。アクセンチュアとベイカレントの比較は、この違いが最も分かりやすく表れる例です。

For Agentsこのナレッジを、面談でどう使うか
「部門がないのが不安」と言われたとき

専門を決める前に試せるという利点と、自分で軸を作らなければ経験が散らばるという課題を、両方伝えてください。

前職の業界知識を活かしたい候補者に

ワンプール制ではその業界の案件に入れる保証がありません。部門制のファームと比較させてください。

コンサル未経験の候補者に

部門を選ぶ根拠を持たない段階なら、選ばずに入れるワンプール制が合うことが多くあります。

面接の準備で

アサインの決まり方、希望の通り方、待機の実態を確認させてください。

Note本記事は、企業の公式サイト・有価証券報告書・書籍・報道などの公開情報をもとに、転職エージェントの実務に役立つ視点で整理したものです。当該企業の公式見解ではなく、年次や数値は公開時点のものです。採用や選考に関わる判断は、必ず一次情報をご確認ください。

よくある質問

Q
ワンプール制とは何ですか?
A
コンサルタントを業界別・機能別の部門に分けず、全員を一つの集団(プール)に置き、案件ごとにアサインする組織モデルです。日本ではベイカレントが代表例として知られています。
Q
部門制との違いは何ですか?
A
部門制では入社時に所属する部門が決まり、その部門の領域の案件を担当します。ワンプール制では所属が決まらず、業界やテーマを問わず案件ごとに配置が決まります。
Q
ワンプール制のメリットは?
A
数年で複数の業界・テーマを経験できること、部門を選ばずに応募できること、専門を決める前に試せること、特定業界の不況で居場所を失いにくいことです。
Q
ワンプール制のデメリットは?
A
専門性が深まりにくいこと、案件を選びにくいこと、上司が固定されないこと、次の転職で「何の専門家か」を説明しにくいことです。
Q
ワンプール制に向いている人は?
A
専門をまだ決めていない人、変化を楽しめる人、自分から希望を出して動ける人、コンサル未経験でまず型を身につけたい人です。
Q
ワンプール制で専門性は身につきますか?
A
仕組みに任せきりにすると幅だけが残りますが、案件の希望を出し続けて自分で軸を作れば、幅と深さの両方を得られます。本人の主体性が前提になります。
Q
ワンプール制を採用している会社は?
A
日本ではベイカレントが代表例です。多くの外資系ファームやBig4系ファームは、業界別または機能別の部門制を取っています。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.21
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