採用担当は職務経歴書を上から順に精読しません。最初の3分の1で読むか捨てるかを決めます。添削とは、その読み方に合わせて情報を並べ替える仕事です。
書類選考の現場では、1通あたり数十秒〜数分で判断されます。読み手はまず職務要約と直近の職歴を見て、「求人要件に合いそうか」の当たりをつけ、合いそうなら詳細を読み、合わなそうならそこで終わりです。つまり書類の勝負は前半3分の1で決まっており、後半をどれだけ磨いても前半で落ちれば意味がありません。添削の時間配分も、この読み方に合わせるべきです。
添削は感覚ではなくチェックリストで行うと、品質が安定し、候補者への説明もしやすくなります。
| 観点 | チェック内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| ① 職務要約 | 5行以内で「何者で、何ができて、何を求めているか」が分かるか | 最高 |
| ② 実績の数値化 | 売上・達成率・順位・規模など、数字が各職歴に2つ以上あるか | 最高 |
| ③ 役割の明確化 | 「チームで達成」ではなく、本人の担当範囲と貢献が分かるか | 高 |
| ④ 求人との対応 | 応募求人の要件に対応する経験が前半に配置されているか | 高 |
| ⑤ 再現性の示唆 | 成果の出し方(工夫・プロセス)が一言でも書かれているか | 中 |
| ⑥ 空白・短期の説明 | ブランクや短期離職に一言の説明があるか(隠さない) | 中 |
| ⑦ 分量と体裁 | 2〜3枚に収まっているか。表記ゆれ・誤字がないか | 中 |
「法人営業として新規開拓に従事し、売上拡大に貢献」。これが最も多いBeforeです。数字も役割も再現性もありません。Afterはこうなります:「新規開拓比率7割の法人営業。担当エリアで対前年132%(部内28名中2位)。休眠顧客リストの再訪問を自ら企画し、失注理由の分類から提案順序を変えたことが主因」。
書き換えのコツは、候補者に「その成果、どうやって出したんですか?」と聞くことです。本人が当たり前だと思っているプロセスにこそ、再現性の証拠が眠っています。添削とは書き直す作業ではなく、聞き出して言語化する作業です。
1通の経歴書を全求人に使い回すと、どの求人にも刺さりません。とはいえ全文を書き直す必要はなく、チューニングするのは2箇所。職務要約の1〜2文(求人要件に対応する強みを前に出す)と、実績の並び順(求人に関連するものを上へ)だけです。
一方で、事実の誇張・改変は添削ではなく経歴詐称です。「関与した」を「主導した」に変える、数字を盛る、期間を伸ばす:リファレンスチェックや入社後に発覚した場合、内定取り消し・懲戒の対象となり、エージェントの責任も問われます。添削の境界は「事実の範囲内で、伝わる順番と言葉に直すこと」。ここは絶対に越えてはいけません。
通る経歴書 = 冒頭要約の再設計 × 実績の「数字×役割×再現性」 × 求人ごとの2箇所チューニング。すべて事実の範囲内で。
添削は誤字直しではなく、読み手の読み方に合わせた情報の再配置。冒頭に時間の8割を使い、実績は数字×役割×再現性で書き換え、求人ごとに2箇所だけ調整する。事実の範囲を越えた瞬間、それは添削ではなくなる。
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