読者別経営者向けマネージャー向けプレイヤー向け保存した記事
THE AGENT›読者別›転職理由の深掘り
Career Guide

転職理由の​深掘り方​「年収を​上げたい」​の​奥にある本音の​掴み方

転職ノウハウ 2026.08.28
この記事の要点

最初に語られる転職理由は「言いやすい理由」であって「本当の理由」とは限りません。深掘りできないと、ズレた求人を提案し続けることになります。

  • 転職理由はタテマエ→キッカケ→本音の3層構造。最初の回答は1層目に過ぎない。
  • 深掘りは詰問ではない。「具体的には?」「例えば?」「それはいつから?」の3つで十分掘れる。
  • 退職理由(離れたい理由)と転職理由(得たいもの)を分けて聞く。混ぜると提案がブレる。

転職理由の3層構造

「年収を上げたい」と言う候補者の奥には、「同期より評価されていない悔しさ」や「家族が増えて将来が不安」といった別の物語があることが珍しくありません。1層目(タテマエ:言いやすい理由)、2層目(キッカケ:動き出した具体的な出来事)、3層目(本音:満たされていない根本の欲求)。提案の精度は、何層目まで掴めているかで決まります。

重要なのは、1層目を「嘘」と扱わないことです。タテマエも本人にとっては事実の一部。否定せず受け止めた上で、その奥を一緒に見に行く姿勢が、3層目への扉を開きます。

← 図は横にスクロールできます →
本音(根本の欲求) 承認・安心・成長・自由 など キッカケ(出来事) 評価面談・同期の昇進・組織変更 タテマエ(言いやすい理由) 年収・キャリアアップ・新しい挑戦
下の層ほど言語化されにくい。提案の精度は掘れた深さで決まる

深掘りの​質問技法|3つの言葉で掘る

深掘りに高度な質問技術は不要です。「具体的には?」(抽象を事実に落とす)、「例えば最近だと?」(直近の出来事=キッカケを特定する)、「それはいつ頃から感じていますか?」(時間軸で根の深さを測る)。この3つを、相槌と要約を挟みながら重ねるだけで、2層目までは確実に届きます。

3層目に触れるのは、信頼の残高ができてからです。「もしかすると、年収そのものより、正当に評価されていない感覚がしんどいのかなと聞こえたのですが、違いますか?」仮説を差し出して、本人に修正してもらう形なら、踏み込んでも詰問になりません。

Tool / THE PROCESS.転職理由と実績を、セットで整える実績の言語化ができると、転職理由の説得力も上がります。無料で使う →

退職理由と​転職理由を​切り分ける

「なぜ辞めたいか(FROM)」と「何を得たいか(TO)」は別の質問です。FROMだけ聞いて提案すると「現職の不満がない会社」という消去法の転職になり、入社後に新しい不満が生まれた瞬間に後悔が始まります。FROMを聞き切った後、必ず「では、次の環境で一番得たいものは何ですか?」とTOを聞く。

FROMとTOが揃うと、求人の見せ方も変わります。FROMには「その不満がこの会社で起きにくい構造的な理由」を、TOには「得たいものがこの環境で手に入る具体的な証拠」を接続する。これが深掘りを提案につなげる型です。

観点FROM(退職理由)TO(転職理由)
質問何が一番のストレスですか?次の環境で一番得たいものは?
性質消去法・回避獲得・接近
提案への接続不満が再発しにくい構造の説明得たいものが手に入る証拠の提示

深掘りした本音の扱い方

3層目の本音は、候補者が勇気を出して開示した情報です。扱いには2つのルールがあります。①推薦文や企業への申し送りにそのまま書かない(「評価への不満で退職」は文脈が落ちると不利に働く)。本人と「企業にはどう伝えるか」を握ってから翻訳する。②本音を人質にしない。「本当は〜なんですよね?だったらこの求人ですよ」という誘導に使った瞬間、開示してもらえる関係は終わります。

本音は提案の照準を合わせるためのものであって、説得の道具ではありません。この一線を守れるエージェントだけが、次も本音を話してもらえます。

公式

提案の精度 = 掘れた深さ(3層) × FROM/TOの切り分け × 本音の丁寧な扱い。深掘りは技術より、否定しない姿勢で決まる。

データで見る|​人は何で会社を辞めるのか

面談で語られる転職理由の背景を、統計でも押さえておきましょう。厚生労働省の「雇用動向調査」は、転職した人が前の会社を辞めた理由を毎年集計しています。

WHY THEY LEFT|前職を辞めた理由(令和5年、主なもの)
女性|人間関係13.0%
女性|労働時間・休日11.1%
男性|人間関係9.1%

出所:厚生労働省「令和5年雇用動向調査」。「その他の個人的理由」「定年・契約期間の満了」などを除いた主な理由。

男性でも女性でも、「職場の人間関係が好ましくなかった」が上位に入っています。ところが面談で最初に出てくる理由は、多くの場合「年収」や「キャリアアップ」です。人間関係の悩みは、1層目では語られにくい。統計で上位の理由ほど、面談では下の層に隠れていると考えて、深掘りの照準を合わせましょう。

40.5%PAY UP転職で賃金が増えた人前職より賃金が「増加」した転職入職者の割合(令和6年、前年比3.3ポイント上昇)

出所:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」。

一方で、転職して賃金が増えた人は4割にとどまります。「年収を上げたい」という1層目の理由だけで動くと、期待外れに終わる可能性も小さくありません。だからこそ、その奥にある本当の欲求を掴む必要があります。

本音を、​企業にどう伝えるか

3層目まで掘れた本音は、そのままでは企業に伝えられないことがあります。嘘をつかず、事実の語る順番を変える。これが翻訳の原則です。

面談で出た本音そのまま伝えると企業への伝え方(翻訳)
上司と合わない人間関係で逃げる人に見えるチームで成果を出す進め方を大切にしたい。◯◯の経験から、率直に議論できる環境で力を発揮できると気づいた
評価されていない不満の多い人に見える成果が評価に結びつく仕組みの中で、より大きな責任を担いたい
残業が多すぎる意欲が低い人に見える限られた時間で成果を出す働き方を、より高い水準で実践したい。家族との時間も大切にしたい
会社の将来が不安後ろ向きな人に見える伸びている市場で、自分の経験を活かして事業の成長に関わりたい

翻訳の前には、必ず本人の同意を取ります。「企業には、こういう言葉で伝えてもいいですか?」。本人が自分の言葉として話せる表現でなければ、面接で必ず崩れます。

転職理由は、過去の不満の説明ではなく、
これからの軸の宣言として語る。

転職理由から、​キャリアの軸を作る

深掘りのゴールは、本音を知ることではなく、本人のキャリアの軸を一緒に言葉にすることです。掘れた内容を、3つの問いで軸に変えます。

WILLやりたいこと本音の奥にある欲求を、次の環境で「実現したいこと」として言い直す
CANできることこれまでの経験から、次の環境でも発揮できる強みを取り出す
MUST譲れない条件年収・勤務地・働き方のうち、崩せないものと、実は動かせるものを分ける

この3つがそろうと、求人を選ぶ基準がはっきりし、面接での転職理由と志望動機も自然につながります。キャリアの話で扱った「3つの円」とも重なる考え方です。

FOR AGENTS
このナレッジを、面談でどう使うか
01統計で照準を合わせる人間関係は辞める理由の上位だが、面談の1層目には出にくい。統計を知っていれば、どこを掘るべきかがわかる。
02本音は同意を取って翻訳する嘘をつかず、事実の語る順番を変える。本人が自分の言葉として話せる表現にする。
03深掘りを軸に変える掘れた本音をWILL・CAN・MUSTに整理し、求人選びと面接の一貫性を作る。
参考:厚生労働省「令和5年雇用動向調査」「令和6年雇用動向調査」

よくある質問

Q
本音をなかなか話してくれない候補者には?
A
初回で3層目まで到達する必要はありません。2層目(キッカケ)まで掴めれば提案は始められます。求人への反応(どこに惹かれ、どこで渋るか)自体が本音のデータになり、2回目以降の面談で深まります。
Q
転職理由がネガティブすぎる場合、面接ではどう伝えさせますか?
A
事実を変えず順番を変えます。「不満→その経験で明確になった自分の軸→だから次はこういう環境を選ぶ」という構成にすれば、同じ事実が前向きな意思決定の物語になります。
Q
「なんとなく転職したい」という曖昧な相談はどう扱いますか?
A
なんとなくの正体は、まだ言語化されていないキッカケです。「最近、仕事でモヤッとした場面を1つ挙げるなら?」と具体的な場面から入ると、曖昧な違和感が急に輪郭を持ち始めます。
Q
転職理由として多いものは何ですか?
A
厚生労働省の令和5年雇用動向調査では、個人的理由などを除くと、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%、男性は「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%などが上位です。
Q
ネガティブな転職理由は、企業にどう伝えればいいですか?
A
嘘をつかず、事実の語る順番を変えます。「不満」ではなく「そこから明確になった軸」と「次に実現したいこと」として語り、表現は必ず本人の同意を取ってから決めてください。
まとめ

最初の転職理由はタテマエ層。「具体的には・例えば・いつから」で掘り、仮説を差し出して本音に触れる。FROMとTOを分けて聞き、本音は照準合わせにだけ使う。掘る技術より、否定しない姿勢が扉を開く。

Ask AIこの記事をもとにAIに相談する

記事の内容を前提にして、あなたの状況に合わせた答えをAIに出させます。質問を入れて「ChatGPTで相談」または「Claudeで相談」を押すと、記事の要点と質問がセットになった状態で開きます。

ChatGPTで相談 →Claudeで相談 →Geminiで相談 →
記事本文の要点(見出しと本文の抜粋)がそのままAIに渡ります。Geminiは自動入力に対応していないため、押すとプロンプトをコピーしてGeminiを開きます。貼り付けて送信してください。候補者の実名・企業の機密は入力しないでください。AIの回答は記事の内容に基づく参考情報です。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.27
← ナレッジ一覧に戻る
資料請求立ち上げ・マネジメント・面談の4マニュアル相談はこちら事業立ち上げ・育成・採用の相談(初回無料)
無料相談資料請求