この記事の要点
- Luupは、戦略コンサル出身の岡井大輝氏が2018年に創業した電動マイクロモビリティのシェア事業である。ルールが整う前に見切り発車せず、業界団体を作って2023年の道路交通法改正につなげ、ポートは1年半で3倍以上に広がった。
- コンサルを辞め、移動の課題へ
- ルールができるまで、始めない
- 「特定小型原付」という区分
- 広がるほど、厳しい目も増える
- ポートは、3年で30倍以上に
Luupは、電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリング「LUUP」を運営する会社です。
この会社の物語で特徴的なのは、サービスを始める前に、法律の枠組みから作りにいったことです。創業者の岡井大輝氏は業界団体を立ち上げて会長になり、2023年の道路交通法の改正につなげました。
Founded2018年7月大学の仲間と創業
Law2023年7月改正道路交通法が施行
Ports1万か所2024年10月のポート数
AT A GLANCE
ひと目でわかる
TURNING POINT
2021.04
電動キックボードの実証実験
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。
Chapter 01年表|Luupの歩み
TIMELINE
Luupの歩み
HISTORY ─ 創業から現在まで
2019.05
マイクロモビリティ推進協議会を設立国内の事業者をまとめ、会長に
2020
電動アシスト自転車のシェアを開始まずは自転車から
2021.04
電動キックボードの実証実験国の特例制度を使い、都心6区で
2023.07
改正道路交通法が施行「特定小型原付」という新しい区分に
公式発表・報道・経営者インタビューなどの公開情報で確認できたもの。
Chapter 02原点|コンサルを辞め、移動の課題へ
岡井大輝氏は1993年、東京都生まれ。東京大学農学部を卒業後、戦略系コンサルティングファームで、上場企業のPMI(買収後の統合)やPEファンドの事業調査を担当しました。
2018年に退職し、大学時代の仲間とLuupを創業します。目指したのは、街じゅうを「駅前化」する短距離移動のインフラでした。駅から少し離れた場所でも、駅前と同じように気軽に移動できる街を作る。
自らの目標を「21世紀のJR」と表現したこともあります。乗り物の会社ではなく、交通インフラの会社という自己定義です。
Chapter 03決断|ルールができるまで、始めない
当時、電動キックボードは法律上「原動機付自転車」に分類されていました。立ち乗りの乗り物を速い速度で走らせる危険性も指摘されていました。
岡井氏が選んだのは、ルールが整う前に見切り発車しないという道です。インフラを目指す以上、売れれば良いという世界ではない。街の人に納得してもらってから始めなければ、30年、50年と続くインフラにはならないと考えました。
ルールがないなら、ルールを作る側に回る。一社の利益ではなく業界の枠組みから設計したことが、この会社を他のスタートアップと分けている。Luupの戦い方
2019年5月、国内の主な事業者を集めてマイクロモビリティ推進協議会を設立し、会長として関係者との調整を重ねました。まずは電動アシスト自転車のシェアから始め、2021年4月には国の特例制度を使って電動キックボードの公道での実証実験に進みます。
Chapter 04法改正|「特定小型原付」という区分
2023年7月1日、改正道路交通法が施行され、一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい区分になりました。自転車より規制は厳しく、原付バイクより緩い位置づけです。
法律が整ったことで、事業は実証実験から本格展開へ移ります。ポートは2023年5月の3,000か所から、2024年10月には1万か所へ。乗る場所も降りる場所も3倍に増え、利便性は大きく高まりました。
Chapter 05課題|広がるほど、厳しい目も増える
利用が広がる一方で、電動キックボードの利用者による交通違反が相次ぎ、SNS上では厳しい批判も集まりました。
Luupは乗る前に交通ルールのテストに満点で合格することを求めるなど、安全対策を重ねています。安全を第一にすれば使いにくくなり、使いやすくすれば安全が問われる。この両立こそが、創業者自身が最も難しいと語る点です。
インフラを目指す会社にとって、社会からの信頼は事業そのものです。
Chapter 06拡大|ポートは、3年で30倍以上に
PORTS
LUUPのポート数の推移
報道と同社の発表による。2021年4月は、電動キックボードを置いた都心6区のポートの数。
2021年4月、国の特例制度で電動キックボードの実証実験を始めたとき、置き場所は都心6区の約200か所でした。法改正を経た2024年10月には1万か所に達しています。
ポートが増えるほど、乗る場所も降りる場所も増えます。両端が同時に増えるので、便利さは掛け算で高まる。これがシェアリング事業の特徴です。展開の地域も、東京・大阪・京都・横浜・宇都宮・神戸と広がりました。
資金も法改正の前後で大きく動きました。2023年4月に約45億円、11月に約36億円を調達し、累計の調達は約127億円に。上場に向けた準備を始めたとも報じられています。
Chapter 07設計|安全と便利さの、綱引き
SAFETY BY DESIGN
乗る前から、安全を組み込む
TEST
交通ルールのテスト
乗る前にスマートフォンで交通ルールのテストを受け、満点で合格しなければ使えない。
RULE
業界のルールづくり
協議会の会長として、行政や関係者との調整を重ねる。
VEHICLE
保安基準を満たす車両
基準を満たさない違法な車両とは、はっきり区別する。
ELDERLY
高齢者も乗れる乗り物へ
立ち乗りだけでなく、座って乗れる新しい電動モビリティの導入も進める。
同社の公開情報と経営者インタビューにもとづき、編集部が整理した。
岡井氏が最も難しいと語るのは、安全を第一にしながら、便利さも失わないことです。安全のための手順を増やすほど、利用者にとっては面倒なものになります。
それでもLuupは、乗る前のテストや車両の基準など、仕組みの側に安全を組み込む道を選んでいます。電動の乗り物の普及によるCO2の削減や、高齢の人も使える移動手段の導入も掲げ、すべての人が安全・便利に移動できる社会を目指しています。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
規制産業に挑む会社を説明するときルールが整う前に始めず、業界団体を作って法改正につなげた例です。規制と向き合う仕事の実像を伝えられます。
コンサル出身の候補者と話すとき戦略コンサルから起業し、事業だけでなく業界の枠組みまで設計しています。コンサル経験の生かし方の一つです。
企業の課題を伝えるとき利便性と安全性の両立は今も続く課題です。社会の目と向き合う覚悟が求められる会社です。
KEY POINTS
この記事のポイント
1原点|コンサルを辞め、移動の課題へ岡井大輝氏は1993年、東京都生まれ。東京大学農学部を卒業後、戦略系コンサルティングファームで、上場企業のPMI(買収後の統合)やPEファンドの事業調査を担当しました。
2決断|ルールができるまで、始めない当時、電動キックボードは法律上「原動機付自転車」に分類されていました。立ち乗りの乗り物を速い速度で走らせる危険性も指摘されていました。
3法改正|「特定小型原付」という区分2023年7月1日、改正道路交通法が施行され、一定の基準を満たす電動キックボードは 「特定小型原動機付自転車」 という新しい区分になりました。自転車より規制は厳しく、原付バイクより緩い位置づけです。
この記事の情報源
- 各社の有価証券報告書・適時開示(沿革、業績、資本構成など)
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
- 官公庁の統計・白書および調査機関の公表資料
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A岡井大輝氏です。東京大学農学部を卒業後、戦略系コンサルティングファームを経て、2018年7月に大学時代の仲間とLuupを創業しました。
A2023年7月1日に改正道路交通法が施行され、一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい区分になりました。
A2019年5月に国内の事業者を集めてマイクロモビリティ推進協議会を設立し、岡井氏が会長として関係者との調整を重ねました。
A2023年5月の3,000か所から、2024年10月には1万か所に増えました。
A2023年4月に約45億円、同年11月に約36億円を調達し、累計の調達額は約127億円と報じられています。
A東京・大阪・京都・横浜・宇都宮・神戸などで、電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアを提供しています。
Ask AIこの記事をもとにAIに相談する
記事の内容を前提にして、あなたの状況に合わせた答えをAIに出させます。質問を入れて「ChatGPTで相談」または「Claudeで相談」を押すと、記事の要点と質問がセットになった状態で開きます。
記事本文の要点(見出しと本文の抜粋)がそのままAIに渡ります。Geminiは自動入力に対応していないため、押すとプロンプトをコピーしてGeminiを開きます。貼り付けて送信してください。候補者の実名・企業の機密は入力しないでください。AIの回答は記事の内容に基づく参考情報です。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営:
株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
← ナレッジ一覧に戻る