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Founding Story

Snowflakeの創業ストーリー「保管」と「計算」を切り離すという一手

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • Snowflakeは2012年、オラクルでデータベースの設計に携わっていたブノワ・ダジェビルとティエリー・クルアネス、分析用データベースを作っていたマルチン・ジュコフスキが創業した。
  • 既存のデータベースは、データの保管と計算が一体になっていた。3人はクラウドの上で、この2つを切り離して作り直した。
  • 必要なときに必要なだけ計算の力を借り、使った分だけ払う。クラウドの長所を前提に設計したことが、既存の大手との違いになった。
  • 2020年にニューヨーク証券取引所に上場し、史上最大級のソフトウェアIPOとなった。

Snowflakeは、企業が持つ大量のデータをクラウドの上に集めて分析するための基盤を提供する会社です。売上や顧客、在庫などのデータを一か所にまとめ、部門や会社をまたいで使えるようにします。

データベースの世界は、長くオラクルなどの大手が支配してきました。そのオラクルで中心的な役割を担っていた技術者が、なぜ外に出て、どうやって新しい基盤を作ったのかを追います。

FOUNDED2012オラクル出身の技術者らが創業
IPO2020NYSE、史上最大級のソフトウェアIPO
REVENUE36億ドル売上(2025年1月期)
NRR125%既存顧客の売上継続率(2026年1月)

Chapter 01|創業者データベースの、​内側を知る3人

ブノワ・ダジェビルとティエリー・クルアネスは、フランス出身の技術者で、オラクルで長くデータベースの設計に携わってきました。データベースがどう動き、どこに限界があるかを、誰よりもよく知る立場です。

マルチン・ジュコフスキは、オランダで分析用の高速なデータベースを作る会社を共同で立ち上げた技術者でした。3人はそれぞれ、既存のデータベースの内側と限界を知り尽くしていました。社名は、スキー好きだった創業者たちが雪を好んだことに由来するといわれます。

創業
2012年、米カリフォルニア州サンマテオ
創業者
ブノワ・ダジェビル、ティエリー・クルアネス(ともにオラクル出身)、マルチン・ジュコフスキ
上場
2020年9月、ニューヨーク証券取引所
特徴
保管と計算を切り離したクラウドのデータ基盤

Chapter 02|着想「保管」と「計算」を、​切り離す

従来のデータベースは、データを保管する場所と、それを処理する計算の力が一体になっていました。データが増えれば計算も重くなり、分析したい人が増えれば取り合いになる。力を足すには、高価な機械を丸ごと増やすしかありませんでした。

一方、クラウドでは、保管と計算を別々に、必要な分だけ借りられます。3人は、既存のデータベースをクラウドに載せ替えるのではなく、クラウドの性質を前提に一から設計し直すことを選びました。

データは一か所に保管したまま、分析したい部門ごとに計算の力を別々に立ち上げる。使い終われば止め、使った分だけ払う。これなら、部門同士が計算の力を奪い合うこともありません。

古い仕組みを新しい場所に移すのではなく、
新しい場所の性質に合わせて作り直す。それがSnowflakeの一手だった。

Chapter 03|年表Snowflakeの​歩み

2012創業オラクル出身の2人と、分析データベースの技術者
2014表舞台へマイクロソフト出身のボブ・マグリアがCEOに
2015製品を一般公開
2019フランク・スルートマンがCEOに上場に向けた体制へ
2020.09ニューヨーク証券取引所に上場史上最大級のソフトウェアIPO
2024シュリダー・ラマスワミがCEOにAIへの対応を強める

Chapter 04|成長技術者が作り、​経営者が広げる

Snowflakeの成長で特徴的なのは、技術を作る創業者と、会社を広げる経営者の役割分担です。創業者たちは技術の中心に残り、会社の経営は外から招いた経験豊富なCEOに任せました。

2014年には、マイクロソフトでサーバー事業を率いたボブ・マグリアがCEOに就き、製品を世に出します。2019年には、他のソフトウェア会社を上場に導いた実績を持つフランク・スルートマンがCEOを継ぎ、2020年9月の上場を率いました。上場では多額の資金を集め、史上最大級のソフトウェアIPOとして注目されました。

データを一か所に集めると、そこに部門や会社をまたいだデータの共有が生まれます。Snowflakeは、企業同士が安全にデータをやり取りできる仕組みにも広げ、単なる保管場所からデータのやり取りの場へと役割を変えていきました。

Chapter 05|売り方「使った分だけ」​という売り方

Snowflakeの売り方には、もう一つの特徴があります。多くのソフトウェア会社が、利用者1人あたりの月額料金で売るのに対し、Snowflakeは使った計算の量に応じて料金がかかる形をとっています。顧客は一定額を前払いで契約し、実際に使った分がそこから差し引かれていきます。

97%EXISTING既存顧客からの売上売上の約97%が既存の顧客との契約から(2026年1月期)
68%$1M+ CLIENTS大口顧客の比率年100万ドル超の733社が、製品売上の約7割

出所:Snowflake 2026年1月期の年次報告。

この形では、顧客がデータを多く使うほど売上が伸びます。2026年1月期には、売上の約97%が既存の顧客から生まれ、既存顧客の支払いは前年より25%増えました(売上継続率125%)。新しい顧客を取ることより、今の顧客にもっと使ってもらうことが成長の中心にあります。

利用者数に応じた月額課金Snowflake(使った分だけ)
売上が伸びる条件使う人が増えるデータの利用が増える
顧客にとっての利点費用が読みやすい使わなければ払わない
会社にとっての課題解約を防ぐ景気で利用が減ると売上も減る
売上が顧客の利用量に連動する。
だから顧客の成功が、そのまま会社の成長になる。

Chapter 06|数字既存の顧客が、​会社を伸ばす

12.8億ドル四半期の売上(2025年11月〜2026年1月、前年比30%増)
733社年間100万ドル超を払う顧客
97.7億ドル契約済みで未計上の売上(前年比42%増)

出所:Snowflake 2026年1月期の決算発表・年次報告。数値は公表時点のもの。

REVENUE|売上の推移(1月期決算)
20202.7億ドル
20215.9億ドル
202212.2億ドル
202320.7億ドル
202428.1億ドル
202536.3億ドル

出所:Snowflake 年次報告。各年1月末に終わる会計年度。上場前年から5年で約14倍。

2026年1月期の第4四半期の売上は12.8億ドルで、前年同期より30%増えました。年間100万ドルを超えて払う顧客は733社で、この層が製品売上の約7割を占めています。顧客の総数は1万2千社を超えます。

契約は結んだものの、まだ売上として計上していない金額も97.7億ドルに達しました。顧客が数年分の利用を前もって約束していることを示す数字です。

Chapter 07|AIデータの上に、​AIを載せる

生成AIの時代に入り、Snowflakeは自らを「AIデータクラウド」と呼ぶようになりました。企業のデータがすでにSnowflakeの上にあるなら、AIもそのデータの近くで動かせばいい、という考え方です。

同社はAnthropic、OpenAI、グーグルなどの大規模言語モデルを、自社の基盤の上から安全に使えるようにしています。2024年には、グーグルで広告事業を率いた経験を持つシュリダー・ラマスワミがCEOに就き、AIへの対応を加速させました。直近では、システム監視の会社を買収し、Datadogが強い領域にも足を踏み入れています。

創業者たちが2012年に下した「保管と計算を切り離す」という判断は、データがどこにあり、誰が使えるかが競争力を決めるAIの時代に、改めて意味を持つようになりました。日本では2019年に日本法人が設立されています。

Chapter 08|比較データの基盤を、​並べてみる

従来のデータベースSnowflake
置き場所自社のサーバークラウド
保管と計算一体切り離されている
増やし方高価な機械を丸ごと増やす必要な計算の力だけを足す
支払い先に買う使った分だけ

同じようにクラウドの時代に生まれたデータ関連の会社には、DatabricksやDatadogがあります。あわせて読むと、クラウドがソフトウェアの作り方をどう変えたかが見えてきます。

Chapter 09|実務候補者に、​この来歴をどう語るか

データエンジニア・データ基盤の候補者に

TALK SCRIPT

「Snowflakeは、オラクルでデータベースを作っていた人たちが、クラウドを前提に一から設計し直した会社です。古い仕組みの延長ではなく、新しい前提で作る経験を積みたい人に向いています。」

データエンジニアやデータ基盤の経験を持つ候補者には、クラウド前提の設計に関わった経験が市場価値を大きく左右することを伝えられます。

面接で問われやすい論点

  • 移行か、作り直しか:既存のシステムをクラウドに移すときに、何を変え何を残したか。
  • コストの考え方:使った分だけ払う仕組みで、無駄な計算をどう減らしたか。
  • データの共有:部門や会社をまたいでデータを使えるようにした経験。
FOR AGENTS
この物語を、面談でどう使うか
01「移す」か「作り直す」かクラウド移行の経験を持つ候補者には、既存の仕組みを載せ替えたのか、前提から設計し直したのかを聞くと、経験の深さが見える。
02利用量で稼ぐ会社の営業使った分だけ払う売り方では、売った後に顧客の利用を増やす力が問われる。カスタマーサクセスや技術営業の候補者に響く論点。
03役割分担というキャリア創業者は技術に残り、経営は招いたCEOに任せた。専門を極めるか、経営に回るか。エンジニアの将来像を話す材料になる。
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業者データベースの内側を知る3人オラクルでデータベースを設計していた2人と、分析データベースの技術者が2012年に創業した。
2着想保管と計算を切り離すクラウドの性質を前提に一から設計し、必要な計算の力だけを使った分だけ払える基盤を作った。
3成長史上最大級のIPO技術は創業者、経営は招いたCEOという分担で成長し、2020年に上場した。

よくある質問

Q
Snowflakeはどんな会社ですか?
A
企業の大量のデータをクラウドの上に集めて分析するための基盤を提供する会社です。2012年に創業し、2020年にニューヨーク証券取引所に上場しました。
Q
創業者は誰ですか?
A
オラクルでデータベースの設計に携わっていたブノワ・ダジェビルとティエリー・クルアネス、分析用データベースを作っていたマルチン・ジュコフスキの3人です。
Q
何が新しかったのですか?
A
データを保管する場所と計算の力を切り離し、クラウドの性質を前提に一から設計した点です。必要な計算の力だけを、使った分だけ払って使えます。
Q
上場はいつですか?
A
2020年9月にニューヨーク証券取引所に上場し、史上最大級のソフトウェアIPOとなりました。
Q
どんな候補者に向きますか?
A
データエンジニアやデータ基盤の経験を持ち、クラウドを前提とした設計に関わりたい候補者に向いています。
まとめ

Snowflakeは2012年、オラクルでデータベースを設計していた2人と分析データベースの技術者が創業した会社である。データの保管と計算を切り離し、クラウドの性質を前提に一から設計した基盤で、使った分だけ払うデータ分析を可能にした。技術は創業者、経営は招いたCEOという分担で成長し、2020年に史上最大級のソフトウェアIPOを果たした。

この記事の情報源

  • Snowflakeの公開資料・上場時の目論見書
  • 創業者・経営陣の公開インタビュー・報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.30
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