Amazonの社名は、聞き間違いから生まれました。当初の社名「Cadabra」が電話口で「cadaver(死体)」と聞き取られたのです。世界最大の川の名を選んだ理由も明快でした自分の店を「世界最大の書店」にするためです。
※本記事は当該企業の公式サイト(沿革・創業ストーリー)、有価証券報告書、Wikipedia日本語版・英語版、経営者インタビュー記事等の公開情報をもとに編集部が構成しました(2026年9月時点)。年次は資料により差異がある項目があり、複数の出典で確認できた年を採用しています。
1994年、30歳のジェフ・ベゾスはウォール街のヘッジファンドD.E.ショーのシニア・バイス・プレジデントでした。安定した高収入の職です。
しかし彼は、インターネットの利用が爆発的に伸びているという数字を目にします。この波にオンライン書店で乗ると決めた彼は会社を辞め、ニューヨークからシアトルへ車で移動する道中、助手席で事業計画を書き上げました。
資金は両親から受け取った推定30万ドル。多くの初期投資家は「失敗する可能性が70%ある」と警告していたと伝えられます。
最初に登記した社名は「Cadabra, Inc.」。呪文「アブラカダブラ」にちなんだ名前です。しかし取引先や顧客との電話のやりとりで問題が起きました。弁護士が「Cadabra」を「cadaver(死体)」と聞き間違えたのです。
ネガティブな連想を招くと気づいたベゾスは、すぐに改名に着手します。候補には awake.com、browse.com、bookmall.com、relentless.com などが挙がりました(このうちいくつかは、いまでもAmazonのサイトへ転送されます)。
最終的に選ばれたのが「Amazon」。理由は3つあります。①辞書で見つけた響きが「エキゾチックで独特」だったこと ②アマゾン川は世界最大の川であり、自らの店を「世界最大の書店」にしたいという願いを込めたこと ③アルファベット順で先頭付近に来る「A」で始まること。
1994年7月5日、ワシントン州ベルビューの自宅ガレージでAmazonは創業されました。
ワシントン州で法人登記
当初の社名はCadabra, Inc.。ベゾスは自宅ガレージで事業を始めました。
社名をAmazon.comへ変更
「cadaver(死体)」と聞き間違えられたことがきっかけで、世界最大の川の名を選びました。
オンライン書店として正式に開業
開業から最初の1か月で、全米と世界45か国へ書籍を届けました。
NASDAQに上場
創業から3年での上場で、公開価格は1株18ドルでした。
書籍以外へ商品を拡大
CD・ビデオ・ソフトウェアへと広げ、「すべてを揃える店」と呼ばれるようになります。
AWSのサービスを開始
クラウドコンピューティングという新市場を切り開きました。
ベゾスがCEOを退任
アンディ・ジャシーが後任のCEOに就任しました。
Amazonの主な沿革
開業から最初の1か月で、Amazonは全米の全州と世界45か国へ書籍を発送しました。2か月後には週の売上が2万ドルに達します。
同社が他社と決定的に違ったのは、出資者に「数年は赤字のままだ」と説明していたことです。目先の利益にとらわれず投資を続け、シェアの獲得を優先する。ベゾスは記者にこう語っています。ビジネスモデルは時間が経てば模倣される。マクドナルドも模倣されたが、それでも巨大な企業を築いた。結局のところブランド名の力が大きい、と。
この長期志向は「Day 1(初日)」という言葉に象徴されます。会社がどれだけ大きくなっても、常に創業初日のように顧客中心で意思決定する。「顧客中心主義」「発明中心主義」「長期的視野」という同社の経営原則は、この一語に集約されています。
Founder's Words
「It's still Day 1(まだ初日だ)」
ジェフ・ベゾス
会社がどれだけ大きくなっても、創業初日のように顧客中心で意思決定するという原則です。「顧客中心主義」「発明中心主義」「長期的視野」という同社の経営姿勢は、この一語に集約されています。
Amazonの創業譚は、「長期の視野をどこまで貫けるか」という問いそのものです。数年の赤字を前提に投資家へ説明し、それを実行した。この姿勢は、いまも同社の選考で問われる思考様式に直結しています。
候補者に同社を語るとき、Leadership Principles(リーダーシップ・プリンシプル)の暗記だけでは足りません。ガレージから始まり、社名すら聞き間違いで変わった会社が、なぜ長期志向を組織原則にできたのか。その来歴を踏まえた志望動機は、面接での深掘りに耐えます。
Amazonは1994年、ヘッジファンドを辞めたジェフ・ベゾスがシアトルへ向かう車中で事業計画を書き、自宅ガレージで創業した会社である。当初の社名Cadabraは「死体」と聞き間違えられて改名され、世界最大の川の名が選ばれた。数年の赤字を前提に長期投資を続ける姿勢は、今日の「Day 1」の思想に受け継がれている。
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