Dirbato(ディルバート)の創業者・社長は金山泰英氏です。2018年10月に創業し、8期で売上500億円超に成長しました。
Dirbatoの創業動機は、一言でいえば怒りです。「すごい技術や経験をもっている人よりも、見た目だとか立ち回りの上手い人のほうが評価される」。前職のコンサルファームで見たその状況に、創業者は納得しませんでした。「そういう人をすくい上げる会社を日本に作りたい」。2018年10月1日、そう考えて会社を興しました。
※本記事は当該企業の公式サイト(沿革・創業ストーリー)、有価証券報告書、Wikipedia日本語版・英語版、経営者インタビュー記事等の公開情報をもとに編集部が構成しました(2026年9月時点)。年次は資料により差異がある項目があり、複数の出典で確認できた年を採用しています。
金山泰英CEOは1981年、大阪府生まれ。経営者になりたいと具体的に思ったのは新卒時の就職活動だったと語っています。
「いろんな業界を見ていたんですが、正直良いと思える会社がなかったんです。大手企業の話を聞いても『たしかに立派な会社だけれど、ここで働いていて果たして自分は楽しいのかな?』と疑問に思ってしまった」。本人は「学生特有の思い上がりだったかもしれませんが」と笑いますが、当時はインターネット・ビジネスが盛り上がり始めた頃で、若手の事業家の方が大手のエリートよりカッコいいと感じていたといいます。
とはいえ、学生時代に事業を起こせるアイデアや能力があったわけではない。2005年4月、「将来経営者を目指せる」と謳う大手情報通信会社に就職します。そこには変わった制度がありました起業家養成コース。「営業のOJTをやりながら経営者としてのノウハウを学べる。そして、3年経ったら独立支援金を渡すから自分で会社を作れ!」という仕組みです。
同期は30人ほど。途中で脱落していく同期が出るなか、「脱落はカッコ悪い」と3年目まで残りました。しかし2年目の終わり、「残り1年この環境にいて自分の会社を作れるだろうか?」という疑念が「無理!」という確信に変わったと語っています。
創業者の金山泰英CEOは、ベイカレント・コンサルティングに11年在籍し、エグゼクティブセールスを経て2016年から営業部門の統括責任者を務めた人物です。案件の供給量が会社の成長を決めるという設計を現場で回した経験が、Dirbatoの成長速度(8期で売上500億円超)の背景にあります。
2007年5月、金山様は日系大手総合コンサルティングファームに営業ポジションとして転職します。「もう一度、最初から勉強し直せる環境に移ろう」という判断でした。
会社選びの決め手は「中小企業の社長みたいな仕事ができる」と言われたこと。実際、営業から人事管理、評価、採用活動まで何でも担うポジションで、入社当初は創業社長の直轄でした。「今とは時代もちょっと違うのでタフな働き方をすることもありました。それでも今の自分の基盤になるものが培われた」と振り返っています。
エグゼクティブセールスとしてチームを牽引し、2016年からは営業部門の統括責任者としてファームの経営にも関わります。この11年間で見たものが、Dirbato創業の直接の動機になりました。
前職で金山様が納得できなかったのは、ITコンサルタントやエンジニアの評価の低さでした。
「すごい技術や経験をもっている人よりも、見た目だとか立ち回りの上手い人のほうが評価される状況があり、それはちょっと違うんじゃないか、と」。日本の業界全体を見ても、IT関係者の地位や評価は高くない。中国やアメリカのテック企業のエンジニアの給与とは比べものにならない。
2026年のインタビューでは、この問題意識をさらに具体的に語っています。「事業会社の中でも、情シスにいる人たちが、他の事業部門よりも下に見られていたりする。『あまり成績の良くない人が行くところ』という印象すら、なんとなくあった」。海外ではITリテラシーの高い人材が全社のDXをリードしているのに、日本ではIT側がイニシアチブを取ることが難しい。
「ITは、業務を効率化するだけのものではない。企業の意思決定を変え、事業のあり方を変え、産業そのものを前に進める力がある」。それを担う人材が正しく評価されていない状態は良くない「日本企業にも彼らと同じ舞台で戦える人材がいるはずです。そういう人をすくい上げる会社を日本に作りたい」。
これが、2018年10月1日のDirbato創業の理由です。
創業翌年の2019年11月、金山様は「まずは10期で売上1000億円」と語っています。当時の会社の規模を考えれば、大きすぎる目標に見えます。しかし本人の説明は、目標そのものより達成の設計に重心があります。
「これを達成するためには普通にコンサル事業を拡大していくだけでは絶対に無理です。並行して新規事業を立ち上げていく必要があります」。コンサル一本では届かないという認識が、最初からありました。
そして業界の未来についても、こう予測しています。「現在、暗黙知的に共有されている『戦略 > ビジネス > IT』というコンサル業界のヒエラルキーもひっくり返っているか、消滅している領域のコンサルタントもいるでしょう。10年後に必要なスキルはITとビジネスの知識。やはりテクノロジーだ、と。10年後にこのインタビューを読み返して答え合わせをしましょう」。
2026年3月期の売上は505億円。7年で目標の半分に到達しました。そして「戦略>ビジネス>IT」というヒエラルキーへの反逆は、生成AIの普及によって、予想より早く現実になりつつあります。
2026年7月の代表インタビューで、金山様はAIについて「経営者の感情としては、戦々恐々としています」と率直に語っています。同時に「個人としては『分からないから面白い』『分からないからやってみよう』と思える」とも。
そのうえで、AIを「意思決定の最上位にある変数」と位置づけました。自社開発AI「NeuraBeat」を「他ファームと比べて生産性が高い」と言える水準に育て、いずれはクライアントに提供する。テクノロジー専門組織「Backbeat」でAIを作る側に立つ。
しかし最も大きいのは、ビジネスモデルそのものを変えるという宣言です。「人月を前提としたビジネスモデルの比率を下げていくこと。成果報酬型に踏み込むこと」。さらに「『私たちはコンサル会社である』という意識すら、もしかするといらないくらい、いろいろな可能性を追求した方がいい」。
創業時の「IT人材の価値向上」という動機は、AI時代に形を変えて続いています。「AIを使いこなせる人が、さらに生産性を高めていく世界になる。だからこそ、自分の生産性を高めることに本気で向き合わなければいけない」IT人材が正しく評価される世界を作るという8年前の怒りは、いま「AIを使える側の人間になれ」という要求に翻訳されています。
Founder's Words
「日本企業にも彼らと同じ舞台で戦える人材がいるはずです。そういう人をすくい上げる会社を日本に作りたい」
金山泰英CEO(2019年11月のインタビューより)
創業の動機を最も端的に語った言葉です。「稼げるコンサルを作る」ではなく「評価されていない人材をすくい上げる」。この順序が、同社の採用方針にも表れています。年収を主目的とした志望者に厳しい理由も、ここにあります。
Dirbatoの創業ストーリーは、怒りが事業になるという典型です。前職で見た不条理に納得せず、それを変える場を自分で作った。この構造は、候補者の志望動機を作るときにそのまま使えます「この会社は何に怒って生まれたのか」を知っている候補者は、面接で自分の言葉を持てます。
もう一つ重要なのは、代表が採用について極めて明確に語っていることです。「コンサルは稼げるらしいという程度の動機の人には厳しい」「遠慮するなら大手企業に進んでいただければ」「お利口さんよりもぶつかってくれる人」。ここまで言い切る会社は多くありません。エージェントは、この言葉をそのまま候補者に伝えるべきです。合わない人が事前に離脱することは、双方にとって利益です。
企業の現況と選考対策はDirbatoの企業ページで扱っています。同じく創業者の問題意識から急成長した日系ファームとして、ベイカレント・レバレジーズの創業ストーリーもあわせてご覧ください。
Dirbatoは2018年10月1日、日系コンサルファームで営業統括を務めた金山泰英CEOが「IT人材が正しく評価されていない」という怒りから創業した。就活で良い会社がなく、起業家養成コースを経てコンサルへ移った経歴の中で見た不条理が、そのまま事業の動機になっている。2019年に公言した「10期で1,000億円」は2026年に505億円へ到達し、AI時代には「会社の骨格を変える」挑戦へ進んでいる。
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