メルカリは山田進太郎にとって3度目の挑戦でした。楽天でのオークション事業、ウノウでのゲーム開発と売却。そして世界一周の旅を経て、2013年にメルカリを創業します。旅の中で彼が見たのは、新興国でモノが何度も持ち主を変えながら使われ続ける光景でした。「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というミッションは、ここから生まれています。
※本記事は公開情報・報道・書籍をもとに編集部が構成したものです(2026年9月時点)。
山田進太郎の経歴は、いわゆる「一発目で当てた起業家」ではありません。
早稲田大学在学中に楽天でインターンを経験し、楽天オークションの立ち上げに関わります。ここで彼は、個人が個人にモノを売る市場の難しさと可能性の両方を知りました。
2001年に卒業後、ウノウ株式会社を創業。写真共有サービスや「まちつく!」などのソーシャルゲームを手がけ、2010年に米Zyngaへ売却します。当時30代前半での売却は、日本のスタートアップとして目立つ成果でした。
しかしZyngaに残った後、彼は会社を離れます。そして世界一周の旅に出ました。約半年、20か国以上を回る旅です。次に何をするかを決めないまま、見るために行った旅でした。
旅の中で彼が気づいたのは、モノの扱われ方が国によってまったく違うということでした。
新興国では、使われなくなったモノが捨てられません。次の持ち主に渡り、修理され、また使われる。一つのモノが、何度も持ち主を変えながら生き続ける。一方、日本では使えるものが簡単に捨てられていました。
同時に、スマートフォンの普及が世界中で起きていました。旅先の途上国でも、人々がスマホを持っていた。パソコンを飛び越えて、全員が常時ネットに繋がる端末を持つ時代が来ている。
この二つが結びついたときに見えたのが、「スマホで、個人が個人にモノを売る」という形でした。楽天オークションで見た個人間取引の難しさは、PCの制約によるものだったのではないか。写真を撮り、出品し、やり取りする。スマホなら、すべてが片手で完結する。
2013年当時、個人間取引の市場はすでにありました。ヤフオク!が圧倒的なシェアを持っていた。それでもメルカリが入り込めたのは、設計が根本的に違ったからです。
| 従来のオークション(PC時代) | メルカリ(スマホ時代) | |
|---|---|---|
| 価格の決め方 | 入札で競り上げる。終了まで確定しない | 出品者が決める。すぐ買える |
| 出品の手間 | PCで写真を撮り、転送し、説明を書く | スマホで撮って、そのまま出品 |
| 取引の相手 | 顔の見えない相手と直接やり取り | 運営が決済を預かる(エスクロー) |
| 主な利用者 | 目利きのある人、コレクター | 日常のモノを売りたい一般の人 |
| 取引の速さ | 数日〜1週間 | 数分で売れることもある |
メルカリのもう一つの特徴は、創業の翌年には米国版をリリースしていたことです。日本で成功してから海外へ、という順序ではありませんでした。
理由は、山田自身が世界を見てきたからです。モノが循環する光景は、日本だけの話ではない。むしろ、循環の文化が根づいている国の方が多い。
米国事業は長く赤字が続き、撤退を求める声もありました。それでも続けたのは、「あらゆる価値を循環させる」というミッションが、最初から国境を前提にしていたからです。2025年6月期、米国事業の損失は縮小し、全社の純利益は261億円(前期比+94%)に達しました(企業研究)。
また、この「最初からグローバル」という姿勢は、組織にも表れています。エンジニア組織には外国籍メンバーが多く、英語での協働が前提の部署がある。少人数・高密度(2,159人で売上1,926億円)という構造も、世界で戦うために選ばれた設計です。
①「3度目」であること。山田進太郎は楽天、ウノウ、メルカリと経験を重ねています。一度目で当てた人より、失敗と売却を経験した人が作った会社だという事実は、候補者のキャリア観にも示唆を与えます。
②着想は「見に行った」ことから生まれた。机上の分析ではなく、旅で自分の目で見た光景が起点でした。現地現物の発想は、エージェントが企業を理解するときにも同じです(同じ解像度で理解する)。
③ミッションが意思決定を決めている。米国事業の赤字を続けられたのは、「あらゆる価値を循環させる」という言葉があったからです。候補者にメルカリを提案するとき、バリュー(Go Bold / All for One / Be a Pro)はこのミッションから降りてきていることを説明できると、志望動機の深さが変わります(面接対策)。
同じくネット企業の創業はサイバーエージェント・DeNA・楽天もご覧ください。
メルカリは、楽天でのオークション事業とウノウの創業・売却を経た山田進太郎が、世界一周の旅で見た「モノが循環する光景」から2013年に創業した。スマホ専用・出品の簡単さ・すぐ売れる体験という設計でオークションとは別の市場を作り、創業翌年には米国版をリリースするなど最初から世界を前提にしていた。ミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」が、長期の赤字を続ける判断を支えた。
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