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Founding Story

BCGの​創業ストーリー・歴史後発が「考え方」を​発明して、業界の頂点に​並ぶまで

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点

BCGの歴史で知っておきたい事実が二つあります。東京オフィスはボストンに次ぐ世界で2番目の拠点だったこと。そして同社が「戦略のフレームワーク」という、それまでなかった商品を発明したことです。

  • 創業は1963年、ブルース・ヘンダーソン。銀行の一部門という小さな出発だった。
  • 経験曲線とPPMを発明し、考え方そのものを商品にして後発から追いついた。
  • 1966年、世界2番目の拠点として東京へ。日本に戦略コンサルという考え方を持ち込んだ。
  • 2025年の売上は144億ドル、22年連続の増収。AI・テック関連が売上の40%を超えた。

Chapter 01創業|銀行の​一部門から始まった

FOUNDED
1963年
ボストンで創業
TOKYO
1966年
世界で2番目の拠点
REVENUE
144億ドル
2025年の世界売上
GROWTH
22年連続
増収が続く
PEOPLE
33,500人
2025年の社員数
AI・TECH
40%超
売上に占める割合

ブルース・ヘンダーソンは、ヴァンダービルト大学で工学を学び、ハーバード・ビジネス・スクールを卒業直前に離れてウェスチングハウスに入社しました。その後アーサー・D・リトルを経て、1963年、ボストン・セーフ・デポジット&トラスト社の一部門として「Boston Consulting Group」を立ち上げます。

出発点は華々しいものではありませんでした。陣容はごくわずか。マッキンゼーがすでに業界の巨人だった時代に、後発として何で戦うのか。その答えが、この会社の歴史を決めます。

Chapter 02発明|考え方そのものを「商品」にした

LATE ENTRANT
後発のBCGは、何で勝ったのか
PRODUCT
考え方を「商品」にした
経験曲線やPPMという枠組みそのものを売った。コンサルに「名前のついた道具」を持ち込んだ。
LANGUAGE
経営の共通語を作った
「花形」「金のなる木」は、今も世界中の会議室で使われる。言葉を作った会社は忘れられない。
JAPAN
日本に早く賭けた
創業3年で東京へ。日本企業の経営をよく知る共同創業者がいた。
BEYOND
自分の枠を壊しにいく
戦略の提言から、デジタル・AI・プロダクト開発まで自ら広げている。

BCGが業界にもたらした最大のものは、「戦略のフレームワーク」という商品でした。それまでのコンサルは、経験豊富なパートナーの知恵を売る仕事でした。BCGは、名前のついた考え方の道具を持ち込んだのです。

コンサルタントは、考え方そのものを商品にできる。BCGはそれを証明し、後発からトップグループへ駆け上がった。

編集部の視点

Chapter 03経験曲線|​作るほど、​安くなる

EXPERIENCE CURVE
作るほど、安くなる。経験曲線(例:倍になるごとに20%減)
1個あたりのコスト(最初を100とした指数)累積生産量(倍々に増える)10080645141331倍2倍4倍8倍16倍32倍
コスト低下の割合は業界や製品によって異なる。ここでは説明のため、累積生産量が2倍になるごとにコストが20%下がる例を示した。

一つ目の発明が経験曲線(Experience Curve)です。累積の生産量が2倍になるたびに、1個あたりのコストが一定の割合で下がるという法則です。

この考え方が示したのは、シェアを取ることそのものに経済的な意味があるということでした。たくさん作る会社ほどコストが下がり、さらに安く売れて、さらにシェアが伸びる。価格競争やシェア争いを、感覚ではなく数字で説明できるようになりました。

Chapter 04PPM|事業の​組み合わせを​設計する

PPM ─ GROWTH-SHARE MATRIX
事業を4つに分け、お金の流れを設計する
市場成長率高低花形Star/成長の主役問題児Question Mark/育てるか金のなる木Cash Cow/稼ぎ頭負け犬Dog/撤退を検討123高低相対市場シェア
1 金のなる木で稼いだ資金を問題児へ投資する。2 問題児を花形に育てる。3 花形は市場の成熟とともに金のなる木になる。会社全体で事業の組み合わせとお金の流れを考えるための枠組み。

二つ目の発明がPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)です。会社の事業を市場の成長率と相対的なシェアの2つの軸で4つに分けます。

象限状態打ち手
花形成長市場で高いシェア投資を続けてシェアを守る
金のなる木成熟市場で高いシェア投資を抑えて資金を生む
問題児成長市場で低いシェア集中投資で花形を目指すか、見切る
負け犬成熟市場で低いシェア撤退や売却を検討する

核心は、事業ごとではなく会社全体でお金の流れを設計するという発想です。フォーチュン500企業の約半数が戦略づくりに使ったとされ、今も世界中の会議室で使われています。

Chapter 05日本|なぜ、​世界で2番目だったのか

BCGは1966年、本社ボストンに次ぐ世界2番目の拠点として東京オフィスを開設しました。ロンドンより早く、創業からわずか3年での決断です。

背景には、共同創業者ジェームズ・アベグレンの存在があります。日本研究者として『日本の経営』(1958年)を著し、終身雇用・年功序列・企業別労働組合を世界に紹介した人物で、BCGの初代日本代表も務めました。日本に経営戦略コンサルティングという考え方を持ち込んだのは、BCGだったと言えます。

BCGマッキンゼー
東京進出1966年(世界2番目)1971年(アジア初)
日本で広めたもの経験曲線・PPMなどの戦略の型経営トップへの助言

日本での存在感は、輩出した人材にも表れます。日本代表を務め、のちにドリームインキュベータを創業した堀紘一、御立尚資、名和高司といった名前は、日本のビジネス言論を形づくってきました。国内では東京に続き、名古屋、大阪、京都、福岡へと拠点を広げています。

Chapter 06年表|BCGの60年

TIMELINE
BCGの60年
FOUNDING ─ 後発として生まれる
1963
ボストンで創業銀行の一部門として、ブルース・ヘンダーソンが立ち上げる
1966
東京オフィスを開設本社に次ぐ世界2番目の拠点。ロンドンより早い
INVENTION ─ 考え方を発明する
1968頃
経験曲線を提唱シェアを取ることの経済的な意味を理論にした
1970頃
PPMを発表「花形」「金のなる木」などの言葉が生まれる
JAPAN ─ 日本での広がり
2003
名古屋オフィスを開設国内2拠点目
2020
大阪・京都オフィスを開設2022年には福岡にも拠点を広げる
BEYOND ─ 戦略の外へ
2014
BCGデジタルベンチャーズ設立新規事業やプロダクトを自ら作る組織
2015
BCGヘンダーソン研究所設立創業者の名を冠した研究機関
2025
売上144億ドル・22年連続増収AI・テック関連が売上の40%超に
年は同社の公開情報と報道で確認できたもの。「頃」は資料によって年が前後するもの。

60年を並べると、流れははっきりしています。後発として生まれ、考え方を発明して追いつき、今はその枠の外へ出ようとしている。

Chapter 07現在|戦略から、​実装とAIへ

REVENUE
BCGの世界売上(億ドル)
2020年86
2021年110
2022年117
2023年123
2024年135
2025年144
同社の発表による。2025年は前年比7%増で、22年連続の増収。AI・テック関連のサービスが売上の40%を超えた。

BCGの売上は2025年に144億ドル、22年連続の増収です。社員は33,500人に増えました。

注目すべきは中身の変化です。AI・テック関連のサービスが売上の40%を超え、AIのサービスは前年比25%伸びました。BCG X(旧デジタルベンチャーズなどを統合した組織)を中心に、提言だけでなくプロダクト開発や実装まで手がけ、AIエンジニアやデータサイエンティストの採用も進めています。

かつて「考え方」を商品にした会社が、いまは「作ること」まで商品にしている。これがBCGの現在地です。

Chapter 08分岐|ベインが​出ていった理由

1973年、BCGの副社長だったビル・ベインが同僚と独立し、ベイン・アンド・カンパニーを設立します。理由の一つは、提言の先に踏み込みたいという考え方の違いでした。

BCGが枠組みと分析で経営者の判断を助けるのに対し、ベインは業績の改善まで責任を持つことを掲げました。同じ源流から、思想の違いで別のファームが生まれる。マッキンゼーとA.T.カーニーと同じ構造です。

Chapter 09実務|候補者に、この​来歴をどう語るか

候補者にBCGを紹介するとき、歴史は志望動機の材料になります。

歴史今日の特徴候補者への伝え方
考え方を発明した新しい枠組みを作ることを重んじる既存の型を当てはめるより、考え抜くことが好きか
日本に早く賭けた国内の拠点と人材の厚み日本企業の経営に深く関わりたいか
戦略の外へ出ているAI・デジタル・実装の比重が高いエンジニアやデータ人材にも門戸が開いている

特に最後の点は、戦略コンサル未経験のエンジニアやデータ人材にとって大きな意味があります。「戦略ファームは自分には関係ない」と思っている候補者に、BCGの現在地を伝える価値があります。

他のファームとの比較は歴史シリーズのハブで扱っています。

For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
戦略ファーム志望の候補者を支援するとき

MBB3社の違いを創業の思想で説明できると差がつきます。マッキンゼー(規範と手法)、BCG(概念と枠組み)、ベイン(結果への関与)という整理です。

候補者の思考力を見るとき

枠組みを知っていることと、使えることは違います。「その枠組みを、あなたの会社の状況に当てはめると何が言えますか」と聞くと、理解の深さが分かります。

自社の知見を発信するとき

知識を囲い込むより、公開して「最もよく使える会社」として指名される道があります。エージェントのコンテンツ発信も同じ構造です。

KEY POINTS
この記事のポイント
1創業|銀行の一部門から始まったその後アーサー・D・リトルを経て、1963年、 ボストン・セーフ・デポジット&トラスト社の一部門 として「Boston Consulting Group」を立ち上げます。出発点は華々しいものではありませんでした。
2発明|考え方そのものを「商品」にしたLANGUAGE 経営の共通語を作った 「花形」「金のなる木」は、今も世界中の会議室で使われる。言葉を作った会社は忘れられない。
3経験曲線|作るほど、安くなる一つ目の発明が 経験曲線(Experience Curve) です。累積の生産量が2倍になるたびに、1個あたりのコストが一定の割合で下がる という法則です。

この記事の情報源

  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
BCGの創業者は誰ですか?
A
ブルース・ヘンダーソンです。アーサー・D・リトルを経て1963年、ボストン・セーフ・デポジット&トラスト社の一部門としてBCGを立ち上げました。
Q
BCGの東京オフィスはいつできましたか?
A
1966年、本社ボストンに次ぐ世界2番目の拠点として開設されました。ロンドンより早く、初代日本代表は『日本の経営』の著者ジェームズ・アベグレンです。
Q
PPMとは何ですか?
A
事業を市場成長率と相対シェアの2軸で「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つに分け、会社全体でお金の流れを設計するBCGの枠組みです。
Q
経験曲線とは何ですか?
A
累積生産量が2倍になるたびに、1個あたりのコストが一定の割合で下がるという法則です。シェアを取ることの経済的な意味を示しました。
Q
BCGの売上はどれくらいですか?
A
2025年の世界売上は144億ドルで、前年比7%増、22年連続の増収です。AI・テック関連のサービスが売上の40%を超えています。
Q
BCGとマッキンゼーの違いは?
A
マッキンゼーは1926年創業で経営トップへの助言と規範を、BCGは1963年創業の後発として経験曲線やPPMなどの考え方を武器に成長しました。日本進出はBCGが1966年、マッキンゼーが1971年です。
Q
経験曲線とPPMとは何ですか?
A
経験曲線は累積生産量が増えるとコストが下がるという法則、PPMは事業を市場成長率と相対シェアの2軸で分類する枠組みです。どちらもBCGが提唱し経営の共通言語になりました。
Q
BCGとマッキンゼー、ベインの違いは?
A
創業の思想が異なります。マッキンゼーは専門職としての規範と手法、BCGは概念と枠組み、ベインは結果への関与を重視してきました。
Q
戦略ファームの商品は何ですか?
A
報告書ではなく、思考の枠組みとそれを使える人です。近年は提言だけでなく実行やデジタル実装まで含めた支援に価値が移っています。
まとめ

BCGは1963年、後発として「戦略のフレームワーク」を発明することで業界の巨人に並んだ。経験曲線とPPMは今も使われる共通語になり、1966年の東京進出(世界2番目)は日本に戦略コンサルという考え方を持ち込んだ。2025年の売上は144億ドルで22年連続の増収。AI・テック関連が4割を超え、自ら作った枠の外へ出ようとしている。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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