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Founding Story

カーニーの​創業ストーリー・歴史分かれ、​買われ、​自ら買い戻したファームの100年

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点

カーニーは、マッキンゼーと同じ1926年の事務所から生まれ、分かれ、名を掲げ、IT大手に買収され、自ら買い戻したファームです。所有者が何度変わっても、名前と文化を守り抜いた100年の物語です。

  • 起源は1926年。マッキンゼーとは同じ事務所から生まれた兄弟。
  • 1947年、マッキンゼーの名を手放し、自分の名を社名にした。
  • USスチール、戦後ドイツ、東欧、フェデックス。オペレーションで歴史を動かした。
  • 1995年からIT大手EDSの傘下で11年。規模は倍になったが、文化が衝突した。
  • 2006年、173人の役員が出資して買い戻し。2020年にブランドをKearneyに統一した。

Chapter 01起源|マッキンゼーと​同じ1926年

ORIGIN
1926年
マッキンゼーと同じ起源
ABROAD
1964年
初の海外拠点・デュッセルドルフ
TOKYO
1972年
アジア初の拠点
EDS
11年
IT大手の傘下で過ごした期間
BUYBACK
173人
買い戻しに出資した役員
PEOPLE
5,300人超
現在の社員数

カーニーの起源は、1926年にジェームズ・O・マッキンゼーがシカゴで開いた「会計士・経営工学士事務所」です。アンドリュー・トーマス(トム)・カーニーは、1929年にその最初のパートナーになりました。

分析に長けたマッキンゼーと、誰とでも話せたカーニー。二人の組み合わせが事務所を育てました(マッキンゼーの歴史)。つまり今日のカーニーとマッキンゼーは、同じ事務所から生まれた兄弟です。

Chapter 02分岐|名前を​手放し、自分の名を掲げる

LINEAGE
分かれて、名を掲げ、買われて、買い戻す
マッキンゼーの事務所1926 シカゴで創業マッキンゼーNY側/バウアーMcKinsey, Kearney & Co.1939 シカゴ側/カーニーA.T. Kearney & Co.1947 自分の名を掲げるA.T. Kearney, Inc.1972 東京進出と同時に改称EDSの傘下に1995 IT大手が買収経営陣が買い戻す2006 173人の役員が出資Kearney2020 「A.T.」を外して一本化EDS傘下の11年
1939年の分裂でシカゴ側を率いたトム・カーニーは、1947年に「マッキンゼー」の名称の権利を手放し、自らの名を社名にした。

1937年に創業者が急逝し、1939年に事務所は二つに分かれます。シカゴ側を率いたトム・カーニーは、社名を「McKinsey, A.T. Kearney and Company」としました。

しかし1947年、ニューヨーク側のマービン・バウアーが「マッキンゼー」の名称の権利を買い取ります。カーニーは自らの名を冠した「A.T. Kearney and Company」として、別の道を歩み始めました。

Chapter 03現場|オペレーションで、歴史を​動かした

OPERATIONS
歴史を動かした、現場の仕事
1930s
USスチールの近代化
アメリカを代表する鉄鋼会社の業務を立て直した。
1940s
ドイツの戦後復興
戦後の経済の立て直しの一翼を担った。
1990s
東欧の民営化
東西ドイツ統一後、旧東ドイツ・東欧の国営企業の民営化を支援した。
FOUNDING
フェデックスの創業
創業者フレッド・スミスの助言役を務め、その後の成長を支えた。
「経営トップへの助言」を強みとしたマッキンゼーに対し、カーニーは「オペレーションと製造」で名を上げた。

カーニーは「オペレーションと製造」に強いファームとして育ちました。机上の提言よりも、工場や物流の現場で業務を変える仕事です。

その仕事は、時代の大きな節目と重なっています。戦前のアメリカの鉄鋼業、戦後のドイツ、冷戦後の東欧、そして生まれたばかりのフェデックス。現場を動かす力が、国や産業の転換点で求められてきたことが分かります。

1964年に初の海外拠点としてデュッセルドルフへ、1972年にはアジア初の拠点として東京へ進出し、同時に社名を「A.T. Kearney, Inc.」に改めました。

Chapter 04買収|EDSの傘下で​過ごした11年

同社の歴史で最も劇的なのが、1995年からの11年です。急成長の中で、新しい能力と資金が必要になっていました。そこへ現れたのが、IT大手のEDS(エレクトロニック・データ・システムズ)です。

EDSは現金と株式の組み合わせでカーニーを買収しました(報道では約5億6,900万ドル、6億ドルとも)。ITの知見と、インフラに投資できる余力。カーニーに足りなかったものを持つ相手でした。

CULTURE CLASH
EDSとカーニー、二つの文化
EDS
IT大手・官僚的
大規模な運用を効率よく回すための、統制された組織。
KEARNEY
少数精鋭・起業家的
パートナーが自分の判断で顧客に向き合う、個性の強い組織。
FIRST YEARS
はじめは相乗効果
ITの知見と投資の余力を得て、規模は倍になった。
2000s
やがて衝突へ
ITバブル崩壊で溝が深まり、コストは上がり、信頼は揺らいだ。
英フィナンシャル・タイムズはEDSを「官僚的」、カーニーを「個性的」「起業家的」と対比して報じた。

最初の数年はうまくいき、規模は倍になりました。しかし年を追うごとに、二つの文化の違いが表に出てきます。ITバブルが崩壊した2000年代初め、その溝は決定的になりました。

EDSの新しい経営陣はカーニーを「中核ではない事業」と位置づけ、2005年には第三者への売却も検討されました。

Chapter 05独立|173人の​役員が、会社を​買い戻した

2006年1月、カーニーは経営陣によるバイアウト(MBO)でEDSから独立します。26か国の173人の役員が出資し、パートナーが議決権をすべて持つ会社に戻りました。

売られる側から、自分たちで買い戻す側へ。自分のお金を賭けた人たちは、振る舞いが変わる。

編集部の視点
PEOPLE
買い戻してから、倍に(社員数)
2005年末(買い戻しの直前)約2,500人
現在5,300人超
2005年末の人数は報道による。現在は40か国以上・60超の拠点を持ち、300人を超えるパートナーが経営について同じ1票を持つ。

買い戻しの直前に約2,500人だった社員は、今では5,300人を超え、40か国以上・60超の拠点に広がりました。300人を超えるパートナーが、経営について同じ1票を持つ仕組みも特徴です。

そして2020年1月、社名から「A.T.」を外し、ブランドを「Kearney」に統一しました。

Chapter 06年表|カーニーの100年

TIMELINE
カーニーの100年
ORIGIN ─ マッキンゼーと同じ起源
1926
シカゴで事務所が開かれるジェームズ・O・マッキンゼーの会計士・経営工学士事務所
1929
トム・カーニーが最初のパートナーに
1939
事務所が分裂シカゴ側をカーニーが率いる
1947
A.T. Kearney and Companyへ「マッキンゼー」の名称の権利を手放す
GLOBAL ─ 世界へ
1964
デュッセルドルフに初の海外拠点
1972
東京オフィスを開設アジア初の拠点。社名をA.T. Kearney, Inc.に
EDS ─ 傘下の11年
1995
EDSに買収される報道では約5億6,900万ドル(6億ドルとも)
2005
売却か、買い戻しかEDSは第三者への売却も検討した
2006
経営陣が買い戻して独立173人の役員が出資し、パートナー所有の会社に
KEARNEY ─ いま
2020
ブランドをKearneyに統一「A.T.」を外した
2026
創業から100年起源はマッキンゼーと同じ1926年
年は同社の公式サイトと報道で確認できたもの。

100年を並べると、分かれる、名を掲げる、買われる、買い戻すという四つの転機が見えます。これほど所有者が変わりながら、名前と文化を守ったファームは多くありません。

Chapter 07現在地|​日本での存在

日本法人はオペレーション改革や調達改革で知られ、ラクスルの松本恭攝など事業家も輩出しています。

戦略ファームの中では規模で劣りますが、実行に近い領域での専門性で独自の位置を保っています。規模で戦わない選択という点では、マツダやローランド・ベルガーと同じ構造です。

Chapter 08実務|候補者に、この​来歴をどう語るか

買収と独立を経験した歴史は、同社の独立志向と現場主義に直結しています。少数精鋭を保ち、新卒採用も限られた人数にとどめる姿勢は、規模を追わない選択の表れです。

歴史今日の特徴候補者への伝え方
オペレーションで育った調達・サプライチェーン・製造に強い現場を動かす仕事がしたいか
自ら会社を買い戻したパートナーが同じ1票を持つ自分の判断で動ける環境を求めるか
規模を追わない少数精鋭・独創性を重んじる型より、発想の独自性で勝負したいか

選考ではケース問題に加えて、独創性や発想のクリエイティビティが重んじられる傾向があります。現場を動かしてきた歴史と、自ら会社を買い戻した気質。この二つを理解して志望動機を語れる候補者は、他と明確に差がつきます。他ファームとの比較は歴史シリーズのハブで扱っています。

For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
ファームの違いを説明するとき

A.T.カーニーは実行・オペレーションに近い領域が強みです。戦略の上流を志望する候補者と、業務改革をやりたい候補者では合うファームが違います。

自社の事業承継を考えるとき

代表が抜けたときに顧客と候補者が残るか。属人的な会社ほど、仕組みへの置き換えが必要です。

買収された企業への転職を支援するとき

専門職の会社が資本に組み込まれると、報酬と決定権の前提が変わります。現在の資本構成と意思決定の仕組みを確認させてください。

KEY POINTS
この記事のポイント
1起源|マッキンゼーと同じ1926年アンドリュー・トーマス(トム)・カーニー は、1929年にその最初のパートナーになりました。分析に長けたマッキンゼーと、誰とでも話せたカーニー。
2分岐|名前を手放し、自分の名を掲げる1937年に創業者が急逝し、1939年に事務所は二つに分かれます。シカゴ側を率いたトム・カーニーは、社名を 「McKinsey, A.T. Kearney and Company」 としました。
3現場|オペレーションで、歴史を動かした1940s ドイツの戦後復興 戦後の経済の立て直しの一翼を担った。1990s 東欧の民営化 東西ドイツ統一後、旧東ドイツ・東欧の国営企業の民営化を支援した。

この記事の情報源

  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
A.T.カーニーとマッキンゼーはなぜ名前が似ているのですか?
A
もともと同じ事務所だったためです。1926年の事務所が1939年に分裂し、シカゴ側をトム・カーニーが率いました。1947年にマッキンゼーの名称の権利を手放し、「A.T. Kearney」となりました。
Q
カーニーはなぜEDSに買収されたのですか?
A
急成長の中で必要になった新しい能力と資金を得るためです。EDSはITの知見とインフラに投資できる余力を持っていました。最初の数年で規模は倍になりましたが、文化の違いが次第に表面化しました。
Q
カーニーはどうやって独立したのですか?
A
2006年1月、経営陣によるバイアウト(MBO)でEDSから独立しました。26か国の173人の役員が出資し、パートナーが議決権をすべて持つ会社になりました。
Q
社名が「Kearney」になったのはいつですか?
A
2020年1月です。それまでの「A.T. Kearney」から「A.T.」が外れ、ブランドがKearneyに統一されました。
Q
カーニーの強みは何ですか?
A
創業期からオペレーションと製造に強く、調達やサプライチェーンの分野で知られています。USスチールの近代化、戦後ドイツの復興、東欧の民営化、フェデックスの創業期の支援など、現場を動かす仕事の歴史があります。
Q
カーニーの日本進出はいつですか?
A
1972年、アジア初の拠点として東京オフィスを開設しました。
Q
A.T.カーニーとマッキンゼーの関係は?
A
もともと同じ会社です。A.T.カーニーは1926年設立のマッキンゼー社の最初の共同経営者で、1937年の創業者の死後の分裂でシカゴ事務所を引き継ぎ、1947年に自らの名の会社としました。
Q
A.T.カーニーの強みは何ですか?
A
調達・生産・サプライチェーンなどオペレーションの領域です。戦略の方向を示すより業務の流れを実際に変える仕事に寄っています。
Q
EDSによる買収と買い戻しとは?
A
1995年にITサービス大手EDSに買収されましたが、専門職集団と親会社の論理が合わず、2006年にパートナーが買い戻して独立を回復しました。
まとめ

カーニーは1926年のマッキンゼーの事務所を起源とし、1939年の分裂でシカゴ側を率いて独立、1947年に自らの名を社名にした。オペレーションの強みで歴史の節目を支え、1995年からのEDS傘下の11年で規模の拡大と文化の衝突を同時に経験した。2006年に173人の役員が出資して会社を買い戻し、2020年にブランドをKearneyに統一している。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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