この記事の要点
- 東京ガスは1885年、ガス灯の燃料供給のために設立された。電灯の普及で主力の用途を失った後、調理から発電へ用途を転換して生き残り、現在は脱炭素に向き合っている。
- 主力の用途が、消えた
- インフラという、事業の性質
- LNGという、判断
- 脱炭素と、ガスの位置
- エネルギー業界の、転職の動き
東京ガスは、ガス灯の燃料を供給するために1885年に設立されました。渋沢栄一が関わっています。
電灯の普及でガス灯の需要が消えた後、調理と暖房、そして発電へと用途を変えて生き残ってきました。
1885設立ガス灯の燃料供給
Shift用途の転換灯り→調理→発電
Now電力も自由化で相互参入
Chapter 01年表東京ガスの歩み
1885東京瓦斯会社を設立渋沢栄一らが関与
明治後期電灯の普及ガス灯の需要が減少
大正〜昭和調理・給湯へ家庭用の需要を開拓
1969LNGの輸入を開始天然ガスへの転換
2017ガスの小売自由化電力会社との相互参入
現在ガス・電力・エネルギーサービス脱炭素への対応が課題
Chapter 02危機主力の用途が、消えた
創業時のガスは、灯りのための燃料でした。しかし電灯が普及すると、この用途は急速に失われます。
会社は別の用途を見つけるしかありませんでした。調理、給湯、暖房。家庭の中にガスを使う理由を作っていく。
主力の用途が消えたとき、同じものを別の用途で売れるかが生死を分ける。物は同じでも、意味は変えられる。用途の転換
TDKのフェライト、富士フイルムのフイルム技術。技術や資源は同じでも、使い道を変えて生き延びた企業の系譜にあります。
Chapter 03構造インフラという、事業の性質
ガスの供給には導管網が必要です。一度敷設すれば長く使えますが、建設には巨額の費用と長い時間がかかります。
参入障壁が高い代わりに、供給の責任を負う。電力、水道、通信と同じ構造です。
Chapter 04転換LNGという、判断
1969年、東京ガスはLNG(液化天然ガス)の輸入を始めました。それまでの石炭系のガスから天然ガスへの全面転換です。
この転換には、すべての家庭の器具を交換するという膨大な作業が伴いました。ガスの成分が変われば、器具も変える必要があるためです。
一度決めたら後戻りできない規模の転換を、計画的に実行した事例です。
Chapter 05現在地脱炭素と、ガスの位置
天然ガスは石炭や石油より排出が少ない一方、化石燃料であることに変わりはありません。
各社は水素やメタネーション(CO2と水素からメタンを合成する技術)に取り組んでいます。既存の導管網を使い続けられるかが鍵です。
インフラを持つ企業にとって、既存の設備を活かせる転換かどうかは決定的に重要です。使えなくなれば、巨額の資産が価値を失います。
Chapter 06実務エネルギー業界の、転職の動き
電力とガスの自由化により、業界をまたぐ人材の移動が起きています。
特に電力・ガスの取引(トレーディング)の経験は希少です。市場の仕組みを理解し、価格の変動を扱える人材は限られます。
この領域の候補者は、商社、金融、再エネのベンチャーからも求められます。本人が自覚していないことが多く、市場価値を正確に伝えることが支援になります。
規制産業の中で育った専門性ほど、外から見ると希少である。中にいると当たり前に見えるものを、外の目で評価する。専門性の翻訳
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
用途の転換を考えるとき同じものを別の用途で売れるかが、主力を失ったときの生死を分けます。
インフラ企業を勧めるとき参入障壁が高い代わりに、止められない供給責任を負います。
脱炭素の影響を見るとき既存の設備を活かせる転換かどうかが、企業の負担を大きく左右します。
A電力とガスの相互参入、再生可能エネルギー企業、そして商社や金融です。電力・ガスの取引の経験は特に希少です。
KEY POINTS
この記事のポイント
1危機主力の用途が、消えた創業時のガスは、 灯りのための燃料 でした。しかし電灯が普及すると、この用途は急速に失われます。
2構造インフラという、事業の性質ガスの供給には 導管網 が必要です。一度敷設すれば長く使えますが、 建設には巨額の費用と長い時間 がかかります。
3転換LNGという、判断1969年、東京ガスはLNG(液化天然ガス)の輸入を始めました。それまでの石炭系のガスから 天然ガスへの全面転換 です。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A1885年です。渋沢栄一らが関与し、ガス灯の燃料を供給するために設立されました。
A電灯の普及でガス灯の需要が消えた後、調理・給湯・暖房、そして発電へと用途を変えてきました。
A1969年に天然ガスの輸入を開始し、すべての家庭の器具を交換する大規模な転換を実施しました。
A水素やメタネーションに取り組んでいます。既存の導管網を使い続けられるかが重要な論点です。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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