この記事の要点
- 富士フイルムは本業の市場が10年で9割消えるという事態に、技術の棚卸しで対応した。コラーゲンと抗酸化の技術を化粧品や医薬へ転用して生き残り、既存収益を守ろうとしたコダックと明暗が分かれた。
- 企業の努力と無関係に、市場が消える
- 技術を、数え直す
- コダックは、なぜ消えたのか
- 何の会社かを、言い直す
- 自分の技術を、言語化できるか
富士フイルムは、本業の市場が10年で消えた会社です。2000年前後を頂点に、写真フイルムの需要はデジタルカメラの普及で急速に失われました。
同じ市場にいた米コダックは2012年に経営破綻します。富士フイルムが生き残ったのは、自社が何を持っているかを数え直したからでした。
Crisis市場の9割10年ほどで消失
Method技術の棚卸し何を持っているかを数え直す
Contrastコダック同じ危機で明暗
AT A GLANCE
ひと目でわかる
TURNING POINT
2000年代
技術の棚卸し
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。
Chapter 01年表富士フイルムの歩み
1934富士写真フイルムを設立大日本セルロイドから分離。写真フイルムの国産化が目的
1960年代〜世界的なフイルムメーカーへコダックと並ぶ二強に
2000年前後デジタル化でフイルム需要が急減市場の9割以上が10年ほどで消失
2000年代技術の棚卸しフイルムの技術がコラーゲンと抗酸化の技術であることを再認識
2006化粧品「アスタリフト」技術の消費者向け転用
2012コダックが経営破綻同じ市場で明暗が分かれる
現在ヘルスケア・高機能材料が中核写真は事業の一部に
Chapter 02危機企業の努力と無関係に、市場が消える
写真フイルムの需要は、2000年頃を頂点に急減しました。原因はデジタルカメラの普及であり、フイルムメーカーの努力とは無関係です。
品質を上げても、価格を下げても、需要は戻りません。製品の良し悪しではなく、その製品を使う理由そのものが消えた。
企業が対処できるのは競争であって、需要の消滅には対処できない。そのとき問われるのは、何を持っているかだけになる。市場消滅という事態
ノキアの携帯、エルメスの馬具、BMWの航空機エンジン。同じ事態は繰り返し起きています。
Chapter 03転換技術を、数え直す
富士フイルムが行ったのは、フイルムとは何でできているかを分解することでした。
写真フイルムは、コラーゲンと抗酸化の技術の塊でした。それは化粧品にも医薬品にも使える。製品を失っても、技術は残っていたのです。
Chapter 04対比コダックは、なぜ消えたのか
コダックもデジタル技術を持っていました。世界初のデジタルカメラを開発したのはコダックの技術者です。
それでも破綻したのは、既存の収益を守ろうとしたからだと指摘されます。フイルムが利益を生んでいる間は、それを壊すデジタルに本気で移れない。
ノキアも同じでした。成功している事業を持つことが、転換を妨げる。これはイノベーションのジレンマと呼ばれる構造です。
Chapter 05現在地何の会社かを、言い直す
現在の富士フイルムは、ヘルスケア、高機能材料、イメージングの会社です。社名にフイルムが残っていますが、実態は大きく変わりました。
候補者にこの会社を説明するとき、社名と実態のずれを伝える必要があります。MIXIと同じく、社名の印象で判断すると仕事の中身とずれます。
Chapter 06教訓自分の技術を、言語化できるか
この物語が候補者支援に直結するのは、自分が何を持っているかを言語化するという点です。
「フイルムを作っていた」では次がありません。「コラーゲンと抗酸化を扱える」なら、化粧品にも医薬品にも行ける。職種名ではなく、能力で自分を説明できるかが、キャリアの選択肢を決めます。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
斜陽産業の候補者を支援するとき何をしていたかではなく、何ができるかで経歴を分解してください。職種名を能力に翻訳すると選択肢が広がります。
企業の転換力を評価するとき既存の収益が大きいほど転換は難しくなります。その企業が何を守ろうとしているかを見てください。
社名の印象で判断させないとき社名と実態がずれている企業があります。直近の売上構成を確認させることが基本です。
KEY POINTS
この記事のポイント
1危機企業の努力と無関係に、市場が消える写真フイルムの需要は、2000年頃を頂点に急減しました。原因はデジタルカメラの普及であり、 フイルムメーカーの努力とは無関係 です。
2転換技術を、数え直す富士フイルムが行ったのは、 フイルムとは何でできているか を分解することでした。それは化粧品にも医薬品にも使える。
3対比コダックは、なぜ消えたのかコダックもデジタル技術を持っていました。世界初のデジタルカメラを開発したのはコダックの技術者です。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A写真フイルムがコラーゲンと抗酸化の技術の塊であることに着目し、化粧品や医薬品へ転用したためです。自社の技術を分解して数え直しました。
Aデジタル技術を持ちながら、利益を生んでいた既存のフイルム事業を守ろうとして転換が遅れたと指摘されています。
A製品ではなく、その製品を作るのに必要な技術に分解して、他に使える対象を探すことです。
Aヘルスケア(医薬品・医療機器)と高機能材料が中核で、写真関連は事業の一部になっています。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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