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Interview

​【転職​インタビュー】​エージェントから、​国内最大級​コンサルファームの​中途採用担当へ​「採る側」​に​回って見えた景色のすべて

インタビュー 2026.09.07
この記事の要点

エージェントとしてコンサル転職を支援し続けた人が、支援先だった業界の「採る側」に回ったら、何が見えるのか。国内最大級ファームで中途採用を担当するTさん(30代)に、忖度のない話を聞きました。

  • 書類は「最初の3行と直近の職歴」でほぼ判断がつく。読まれない書類には共通の構造がある。
  • 採用担当が感謝するのは求人票の行間を埋めるエージェント。静かに優先度を下げられるのは「数を送る」エージェント。
  • エージェント経験は採用側で「候補者の意思決定を読む力」として直接活きる:キャリアの掛け算として再現性のあるルート。

エージェントから「採る側」へ|転身の経緯

── まず、キャリアの流れを教えてください。

前職では人材紹介会社でコンサル業界の支援を担当していました。両面型だったので、ファームの採用ニーズを聞き、候補者を探して口説き、面接対策をして送り出す。それを数年続けて、年間の決定件数でも社内で上位に入るところまではやり切った実感がありました。ただ、支援すればするほど「採用の意思決定は、壁の向こうでどう行われているんだろう」という疑問が膨らんだんです。推薦した候補者が、こちらには見えない理由で落ちる。その理由を仮説でしか語れない自分に限界を感じて、思い切って支援していた業界の採用側に応募しました。いまは国内最大級の総合ファームで、中途採用の書類選考から面接設計、エージェント各社との窓口までを担当しています。

書類は何秒で​読まれるのか|「壁の​向こう」の実態

── 採用側に回って、最初に驚いたことは何ですか。

書類の量です。ポジションによっては1週間で数百件届きます。正直に言うと、1件あたり最初にかける時間は数十秒。職務要約の最初の3行と、直近の職歴の数字を見て、続きを読むかを決めています。エージェント時代の私は「全部読まれる前提」で書類を作っていましたが、実際は「読む価値があるか」の審査が先に走る。だから冒頭に結論(何ができる人か)と数字がない書類は、中身が良くても読まれる前に終わります。これはエージェントの皆さんに一番伝えたいことですね。職務要約の3行を磨くことは、面接対策より先にやるべき仕事です。

── 推薦文はどれくらい効いていますか。

効くものと、まったく効かないものに割れます。効く推薦文は、書類に書けない情報を足してくれるもの。転職理由の背景、現年収と希望のギャップ、他社の選考状況、懸念点への先回りの説明。特に「懸念を隠さず書いてくれる」推薦文は信頼します。逆に、書類の要約をなぞっただけの推薦文、全員に「非常に優秀」と書くエージェントの推薦文は、申し訳ないですが読み飛ばすようになります。推薦文は候補者の宣伝ではなく、採用側の意思決定コストを下げる情報提供なんです。

感謝されるエージェント、静かに​切られるエージェント

── 採用側から見て、エージェントの評価はどう決まっていますか。

はっきり言うと、社内にエージェントの「格付け」は存在します。基準はシンプルで、紹介の的中率です。10人送って1人会いたい人がいるエージェントと、3人送って2人会いたいエージェントなら、後者の求人情報の優先度を上げるし、非公開のポジションも先に渡す。数を送るエージェントは、悪気がなくても選考コストを増やす存在なので、静かに優先度が下がっていきます。「たくさん紹介してくれる会社」より「外さない会社」。これが採用側の本音です。

── 感謝した具体的なエピソードはありますか。

求人票に書いていない情報を取りに来てくれたエージェントですね。「このポジション、実際は炎上案件の立て直しが最初のミッションですよね。それを許容できる候補者に絞って提案します」と言われたときは、この人には本音の情報を全部渡そうと思いました。求人票は建前の文書です。行間を埋めに来てくれるエージェントは、私たちの採用の質を上げてくれるパートナーになります。逆質問ならぬ「逆ヒアリング」の質が、エージェントの格を決めています。

エージェント経験は​採用側でどう活きるか

── ご自身のエージェント経験は、いまの仕事にどう活きていますか。

一番は、候補者の意思決定を読む力です。エージェントは候補者が「迷う理由」「辞退する予兆」を日常的に浴びる仕事なので、面接での温度感やオファー後の沈黙から、何が引っかかっているかを推測できる。採用側にはこの感覚を持つ人が意外と少なくて、内定辞退の防止策を設計できる人材として重宝されています。あとは、エージェント各社との交渉ですね。相手の収益構造とKPI(決定数のファネル)が体感で分かっているので、無理のない依頼の仕方ができる。

── エージェントから採用側へのキャリアは、再現性がありますか。

あると思います。事業会社の中途採用は年々難しくなっていて、「候補者側の力学が分かる人」の需要は増え続けています。エージェントとして特定業界を深く支援した経験は、その業界の採用担当・採用企画への切符になる。実際、私の周りにもエージェント出身の採用担当は増えています。人材紹介のキャリアパス(エージェント自身の転職市場)の中でも、確度の高い選択肢だと感じますね。

最後に|​エージェントの​皆さんへ

── 古巣であるエージェントの読者に、メッセージをお願いします。

採用側に来て分かったのは、エージェントの仕事の価値は「紹介」ではなく「翻訳」だということです。求人票の建前を本音に翻訳し、候補者の経歴を採用側の言葉に翻訳し、お互いの懸念を先回りして翻訳する。この翻訳の質が高いエージェントは、壁のこちら側から見ると本当に輝いて見えます。数字に追われる日々だと思いますが、1件の翻訳の質を上げることが、結局は決定率と単価を一番効率よく上げる。両側を見た人間として、それだけは断言できます。

よくある質問

Q
インタビューのTさんはどんな経歴ですか?
A
人材紹介会社でコンサル業界を両面型で支援し、決定件数で社内上位の実績を残したのち、支援していた業界である国内最大級の総合コンサルファームの中途採用担当に転身した30代の方です。
Q
エージェントから採用担当への転職は一般的ですか?
A
増えているルートです。候補者側の力学を理解する人材への需要は高まっており、特定業界を深く支援した経験は、その業界の採用担当・採用企画への現実的な切符になります。
Q
採用側に評価されるエージェントの条件は何ですか?
A
紹介の的中率と、求人票の行間を埋めるヒアリングの質です。数を送るより外さないこと、書類の要約ではなく懸念への先回りを含む推薦文が、採用側の信頼を作ります。
まとめ

書類は最初の数十秒で「読む価値」を審査される。推薦文の役割は宣伝ではなく採用側の意思決定コストを下げる情報提供であり、エージェントの格付けは紹介の的中率で決まる。そしてエージェントの本質的な価値は「翻訳」。両側を見たからこそ語れる、実務への示唆に満ちたインタビューとなった。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.05
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