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Interview

月間成約数​トップの​エージェントに​聞く候補者と​信頼を​築く面談術

インタビュー 2026.09.03 更新 | THE AGENT 編集部
Summary
  • トップエージェントの共通点は、面談の巧さより面談前の準備量。「面談の質は事前準備で8割決まる」を実践している。
  • 信頼は親身さ×実力の掛け算。冒頭5分でラップアップ(要約)を返し、「この人は自分を整理してくれる」と感じてもらう。
  • 初回面談のゴールは求人への応募ではなく「キャリアの軸の合意」。Will・Can・Mustを言語化して握った軸が、その後の提案・選考・意向維持すべての土台になる。
  • 成果の分岐点は次回アポを面談中に握るか。「検討して連絡します」で終わる面談は、その場で失注している。

※本記事は、複数のハイパフォーマー(月間成約数トップクラスのエージェント)への取材をもとに、The Agent編集部が一問一答形式で再構成したものです。

SCENE 01面談前「準備に30​分かける」の中身

Q初回面談の前に、何をどこまで準備していますか?

最低でも15分、重要な候補者なら30分かけます。やることは決まっていて、①経歴の整理、②過去の意思決定の一貫性チェック、③応募先の仮説(PlanA/PlanB)を2社イメージする。の3つです。特に②が肝で、大学の選び方、新卒の入社先、転職のタイミングを並べると、その人の意思決定の癖が見えてきます。人は過去と同じ意思決定をするので、ここが読めていれば面談の的中率がまったく変わります。

PREPARATION
準備の30分で、​何をするか
1経歴を整理する職歴・役割・成果を、時系列で並べる
2意思決定の一貫性を見る大学・新卒の入社先・転職の時期に、共通する判断の癖を探す
3応募先の仮説を2社持つPlanAとPlanBを、具体的な社名でイメージしておく
AIに任せる経歴からの仮説出し
自分で考える仮説の取捨選択と、面談で何を確かめるか
人は過去と同じ意思決定をする。2の準備が、面談の的中率を大きく変える。

Q準備の時間はどう捻出していますか?

正直、生成AIでかなり短縮できるようになりました。経歴情報からの仮説出しはAIに投げて、自分は仮説の取捨選択と「面談で何を検証するか」の設計に時間を使う(このあたりの具体的な使い方はAI活用術【完全版】が近いです)。準備をゼロにするのではなく、考える部分に時間を寄せるのがポイントだと思います。目指す水準は、選考対策の記事にある「自分がその候補者になっても答えられる状態」。面談も同じで、こちらが仮説の正解を持っていないと、聞くだけの面談になります。

SCENE 02冒頭5分信頼は​「要約力」で決まる

Q面談の冒頭で意識していることは?

トーンです。ゆっくり、普段より一段低い声で話す。転職を考えている方は不安を抱えて来られるので、こちらが落ち着いていることがまず大事です(いつでも冷静沈着であれに通じる話です)。それと、早い段階で一度「ラップアップ」を入れます。候補者の話が散らかってきたときに「つまり、◯◯が引っかかっていて、△△なら動きたい、ということですよね」と端的にまとめて返す。これが刺さると、「この人は自分のことを整理してくれる」という信頼が一気に生まれます。

WRAP-UP
信頼をつくる「ラップアップ」
候補者今の仕事は嫌いじゃないんですけど、評価が見えにくくて…。でも年収は下げたくないし、家族のこともあるので、なかなか踏み切れなくて。
エージェントつまり、評価の見えにくさが引っかかっていて、年収を維持できるなら動きたい、ということですよね。
信頼=親身さ×実力(知識の解像度)
散らかった話を、短く整理して返す。「この人は自分を整理してくれる」と感じた瞬間に、信頼が生まれる。

Q実力はどう示しますか?

知識の解像度です。候補者の会社や職種について「◯◯業界だと、この部分が構造的にしんどいですよね」と共通言語で話せるか。事前に口コミサイトまで見ておいて、具体の一言を用意しておく。この一言があるだけで「分かってる人だ」に変わります。だから当メディアの企業ファイルや決算分析のような情報は、そのまま面談の武器になります。

SCENE 03本音の引き出し「なぜ」​ではなく「ストーリー」で聞く

Q建前ではない転職理由は、どう引き出しますか?

2つあって、1つは「面接ではないので、本音ベースで大丈夫ですよ」とエージェントの立ち位置を明確にすること。もう1つは、過去を聞くときに「なぜ?」と聞かないことです。「新卒でなぜこの会社に?」と聞くと、整理された建前が返ってきます。代わりに「就活って、どんなふうに進めていたんですか?」とストーリーで聞く。最初に見ていた業界、途中で消えた選択肢、最後の決め手:事実の並びの中に、本音の判断基準が出てきます。

ASK BY STORY
「なぜ」ではなく、​「ストーリー」で聞く
× なぜで聞く

「新卒で、なぜこの会社に?」

整理された建前が返ってくる
○ ストーリーで聞く

「就活って、どんなふうに進めていたんですか?」

最初に見ていた業界、途中で消えた選択肢、最後の決め手。事実の並びに本音が出る
深掘りの前に、理由を一言「過去の意思決定は今の選択につながるので、提案の精度を上げるために伺ってもいいですか?」
前置きなしの深掘りは尋問、前置きありの深掘りは支援。

Q深掘りを嫌がられることはないですか?

前置きをしないと嫌がられます。「過去の意思決定は足元の選択に紐づくので、提案の精度を高めるために伺ってもいいですか?」と理由を先に伝える。前置きなしの深掘りは尋問、前置きありの深掘りは支援。これは新人にもよく言います。

SCENE 04キャリアの話求人の前に「キャリアの軸」を合意する

Q求人紹介の前に、キャリアの話はどこまでしますか?

初回は求人を出さないことすらあります。初回面談のゴールは求人への応募ではなく、「キャリアの軸の合意」だからです。具体的には3点を言語化します。Will(この転職で実現したいこと・5年後にどうなっていたいか)、Can(市場で通用する再現性のある強み)、Must(年収・勤務地・働き方など譲れない条件)。この3点が握れると、提案は「求人を並べる」から「全体像の中でここに行きましょう」に変わります。逆にここを飛ばして求人を出すと、候補者は条件表だけで他社のエージェントと比較して終わります。キャリアの合意があるエージェントだけが、「この人から決めたい」理由を持てるんです。

WILL · CAN · MUST
求人の前に、3つの軸を​合意する
WWillこの転職で実現したいこと。5年後にどうなっていたいか
CCan市場で通用する、再現性のある強み
MMust年収・勤務地・働き方など、譲れない条件
答えにくい人にはゼロから言わせず、過去の話から仮説をぶつけて直してもらう。「求人だけください」という人には「3分だけ、キャリアの軸を一緒に整理させてください」。
握った軸は、選考中に気持ちが揺れたときに立ち返る場所になる。

Q「どうなりたいか」を聞いても、答えられない候補者が多くないですか?

だから「どうなりたいですか」とは聞きません。答えは前章のストーリーの中にすでに出ています。過去の意思決定から判断基準を拾って、「つまり◯◯を大事にされていますよね」と仮説でぶつけて、修正してもらう。ゼロから言語化させるのではなく、こちらの仮説を直してもらう方が、候補者は圧倒的に答えやすい。5年後の話も「5年後、後輩にどんな仕事をしていると自慢したいですか」のように、具体的な場面に落として聞きます。キャリアの原理原則はエージェントが知るべきキャリアの話で体系化されているので、あの3つの円と6つの問いは面談前に読み直す価値があります。

Qそれでも「求人だけください」という候補者には?

「3分だけ、キャリアの軸を一緒に整理させてください」と時間を区切って、Will・Can・Mustの3点だけ確認します。全部やろうとしない。3点あれば提案の精度は段違いになるし、候補者も「この3分は意味があった」と感じてくれます。そしてこの軸は、後工程の資産になります。選考が長引いて意向が揺れたとき、「そもそも今回の転職で実現したかったのは◯◯でしたよね」と立ち返る場所になる:ここは選考対策シリーズの最終回で語られている通りです。軸を握らずに選考へ進めるのは、帰る場所のない航海に出すようなものだと思います。

SCENE 05面談の締めその場で​「次回」を握る

Q成果が出る人と出ない人の差は、どこに出ますか?

面談の最後です。伸びない人は「求人をお送りするので、ご検討ください」で終わる。これは体のいい失注です。私は必ず、次回のアジェンダをセットにしてその場でアポを取ります。「次回は①軸に合う企業のご紹介、②その先のキャリアパス、③受かるための対策の話をしましょう。来週の◯曜はいかがですか」と。「また話を聞きたい」と思ってもらえたかは、次回アポが取れたかで判定できます。取れなかったら、面談のどこかで信頼を作り損ねているということです。

CLOSING
締めの一言で、次が決まる
× 伸びない締め方

「求人をお送りするので、ご検討ください」

体のいい失注。次に会う理由がない
○ 次回を握る締め方

「次回は①軸に合う企業、②その先のキャリアパス、③受かるための対策の話をしましょう。来週の◯曜はいかがですか」

アジェンダとセットで、その場でアポを取る
次回のアポが取れたかどうかで、「また話を聞きたい」と思ってもらえたかが分かる。

SCENE 06面談後24​時間以内の​「サマリー返し」

Q面談後にやっていることはありますか?

24時間以内に、面談のサマリーをテキストで送ります。①今日確認できた軸(Will・Can・Must)、②次回までにこちらがやること、③候補者にお願いしたいこと。の3点だけ。冒頭5分のラップアップの文書版ですね。これが効くのは、候補者が家族や友人に転職の相談をするとき、このサマリーがそのまま「私のエージェント、ここまで整理してくれた」という証拠になるからです。実際、紹介はここから生まれることが多い。紹介が生まれる構造は「紹介はなぜ生まれるのか」に書かれている通りで、意志ではなく仕組みです。

WITHIN 24 HOURS
面談後24時間以内に送る、​サマリーの見本
本日はありがとうございました。今日の内容をまとめます。
1. 確認できた軸Will:評価が見える環境で、マネジメントに挑戦したい/Can:◯◯の立ち上げ経験/Must:年収◯◯万円以上、都内勤務
2. 次回までに私がやること軸に合う企業を3社に絞り、それぞれの選考の特徴を整理します
3. お願いしたいこと職務経歴書の最新版のご共有(◯日まで)
次回は◯月◯日(◯)◯時からです。どうぞよろしくお願いいたします。
ラップアップの文書版。家族や友人に相談するとき、そのまま「ここまで整理してくれた」という証拠になり、紹介が生まれる。見本の中身はイメージです。

Q最後に、面談に悩む若手へ一言お願いします。

面談の巧さはセンスではなく、準備と型です。うまくいかなかった面談は、録音を聞き返すと必ず「準備で潰せた失点」が見つかります。1件ずつ振り返る人が、半年後に一番遠くにいます。

あわせて読みたい|この面談術を支える体系

準備と向き合う姿勢は「本当に価値あるエージェントの7条件」・「いつでも冷静沈着であれ」、キャリアの軸の原理は「エージェントが知るべきキャリアの話」で体系化しています。面談の入口となるスカウトは「1通目」の設計【完全版】、面談後の選考フェーズは選考対策(営業職)シリーズ全5回へ。

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よくある質問​(FAQ)

Q
冒頭5分とは?
A
トーンです。ゆっくり、普段より一段低い声で話す。転職を考えている方は不安を抱えて来られるので、こちらが落ち着いていることがまず大事です(いつでも冷静沈着であれに通じる話です)。それと、早い段階で一度「ラップアップ」を入れます。候補者の話が散らかってきたときに「つまり、◯◯が引っかかっていて、△△なら動きたい、ということですよね」と端的にまとめて返す。これが刺さると、「この人は自分のことを整理してくれる」という信頼が一気に生まれます。
Q
本音の引き出しとは?
A
2つあって、1つは「面接ではないので、本音ベースで大丈夫ですよ」とエージェントの立ち位置を明確にすること。もう1つは、過去を聞くときに「なぜ?」と聞かないことです。「新卒でなぜこの会社に?」と聞くと、整理された建前が返ってきます。代わりに「就活って、どんなふうに進めていたんですか?」とストーリーで聞く。最初に見ていた業界、途中で消えた選択肢、最後の決め手:事実の並びの中に、本音の判断基準が出てきます。
Q
キャリアの話とは?
A
初回は求人を出さないことすらあります。初回面談のゴールは求人への応募ではなく、「キャリアの軸の合意」だからです。具体的には3点を言語化します。Will(この転職で実現したいこと・5年後にどうなっていたいか)、Can(市場で通用する再現性のある強み)、Must(年収・勤務地・働き方など譲れない条件)。この3点が握れると、提案は「求人を並べる」から「全体像の中でここに行きましょう」に変わります。
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  • The Agent編集部が、複数のハイパフォーマーへの取材と実務ナレッジをもとに一問一答形式で再構成しています。発言は趣旨を損なわない範囲で編集しています
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