※本記事は、複数のハイパフォーマー(月間成約数トップクラスのエージェント)への取材をもとに、The Agent編集部が一問一答形式で再構成したものです。
Q初回面談の前に、何をどこまで準備していますか?
最低でも15分、重要な候補者なら30分かけます。やることは決まっていて、①経歴の整理、②過去の意思決定の一貫性チェック、③応募先の仮説(PlanA/PlanB)を2社イメージする。の3つです。特に②が肝で、大学の選び方、新卒の入社先、転職のタイミングを並べると、その人の意思決定の癖が見えてきます。人は過去と同じ意思決定をするので、ここが読めていれば面談の的中率がまったく変わります。
Q準備の時間はどう捻出していますか?
正直、生成AIでかなり短縮できるようになりました。経歴情報からの仮説出しはAIに投げて、自分は仮説の取捨選択と「面談で何を検証するか」の設計に時間を使う(このあたりの具体的な使い方はAI活用術【完全版】が近いです)。準備をゼロにするのではなく、考える部分に時間を寄せるのがポイントだと思います。目指す水準は、選考対策の記事にある「自分がその候補者になっても答えられる状態」。面談も同じで、こちらが仮説の正解を持っていないと、聞くだけの面談になります。
Q面談の冒頭で意識していることは?
トーンです。ゆっくり、普段より一段低い声で話す。転職を考えている方は不安を抱えて来られるので、こちらが落ち着いていることがまず大事です(いつでも冷静沈着であれに通じる話です)。それと、早い段階で一度「ラップアップ」を入れます。候補者の話が散らかってきたときに「つまり、◯◯が引っかかっていて、△△なら動きたい、ということですよね」と端的にまとめて返す。これが刺さると、「この人は自分のことを整理してくれる」という信頼が一気に生まれます。
Q実力はどう示しますか?
知識の解像度です。候補者の会社や職種について「◯◯業界だと、この部分が構造的にしんどいですよね」と共通言語で話せるか。事前に口コミサイトまで見ておいて、具体の一言を用意しておく。この一言があるだけで「分かってる人だ」に変わります。だから当メディアの企業ファイルや決算分析のような情報は、そのまま面談の武器になります。
Q建前ではない転職理由は、どう引き出しますか?
2つあって、1つは「面接ではないので、本音ベースで大丈夫ですよ」とエージェントの立ち位置を明確にすること。もう1つは、過去を聞くときに「なぜ?」と聞かないことです。「新卒でなぜこの会社に?」と聞くと、整理された建前が返ってきます。代わりに「就活って、どんなふうに進めていたんですか?」とストーリーで聞く。最初に見ていた業界、途中で消えた選択肢、最後の決め手:事実の並びの中に、本音の判断基準が出てきます。
「新卒で、なぜこの会社に?」
整理された建前が返ってくる「就活って、どんなふうに進めていたんですか?」
最初に見ていた業界、途中で消えた選択肢、最後の決め手。事実の並びに本音が出るQ深掘りを嫌がられることはないですか?
前置きをしないと嫌がられます。「過去の意思決定は足元の選択に紐づくので、提案の精度を高めるために伺ってもいいですか?」と理由を先に伝える。前置きなしの深掘りは尋問、前置きありの深掘りは支援。これは新人にもよく言います。
Q求人紹介の前に、キャリアの話はどこまでしますか?
初回は求人を出さないことすらあります。初回面談のゴールは求人への応募ではなく、「キャリアの軸の合意」だからです。具体的には3点を言語化します。Will(この転職で実現したいこと・5年後にどうなっていたいか)、Can(市場で通用する再現性のある強み)、Must(年収・勤務地・働き方など譲れない条件)。この3点が握れると、提案は「求人を並べる」から「全体像の中でここに行きましょう」に変わります。逆にここを飛ばして求人を出すと、候補者は条件表だけで他社のエージェントと比較して終わります。キャリアの合意があるエージェントだけが、「この人から決めたい」理由を持てるんです。
Q「どうなりたいか」を聞いても、答えられない候補者が多くないですか?
だから「どうなりたいですか」とは聞きません。答えは前章のストーリーの中にすでに出ています。過去の意思決定から判断基準を拾って、「つまり◯◯を大事にされていますよね」と仮説でぶつけて、修正してもらう。ゼロから言語化させるのではなく、こちらの仮説を直してもらう方が、候補者は圧倒的に答えやすい。5年後の話も「5年後、後輩にどんな仕事をしていると自慢したいですか」のように、具体的な場面に落として聞きます。キャリアの原理原則はエージェントが知るべきキャリアの話で体系化されているので、あの3つの円と6つの問いは面談前に読み直す価値があります。
Qそれでも「求人だけください」という候補者には?
「3分だけ、キャリアの軸を一緒に整理させてください」と時間を区切って、Will・Can・Mustの3点だけ確認します。全部やろうとしない。3点あれば提案の精度は段違いになるし、候補者も「この3分は意味があった」と感じてくれます。そしてこの軸は、後工程の資産になります。選考が長引いて意向が揺れたとき、「そもそも今回の転職で実現したかったのは◯◯でしたよね」と立ち返る場所になる:ここは選考対策シリーズの最終回で語られている通りです。軸を握らずに選考へ進めるのは、帰る場所のない航海に出すようなものだと思います。
Q成果が出る人と出ない人の差は、どこに出ますか?
面談の最後です。伸びない人は「求人をお送りするので、ご検討ください」で終わる。これは体のいい失注です。私は必ず、次回のアジェンダをセットにしてその場でアポを取ります。「次回は①軸に合う企業のご紹介、②その先のキャリアパス、③受かるための対策の話をしましょう。来週の◯曜はいかがですか」と。「また話を聞きたい」と思ってもらえたかは、次回アポが取れたかで判定できます。取れなかったら、面談のどこかで信頼を作り損ねているということです。
「求人をお送りするので、ご検討ください」
体のいい失注。次に会う理由がない「次回は①軸に合う企業、②その先のキャリアパス、③受かるための対策の話をしましょう。来週の◯曜はいかがですか」
アジェンダとセットで、その場でアポを取るQ面談後にやっていることはありますか?
24時間以内に、面談のサマリーをテキストで送ります。①今日確認できた軸(Will・Can・Must)、②次回までにこちらがやること、③候補者にお願いしたいこと。の3点だけ。冒頭5分のラップアップの文書版ですね。これが効くのは、候補者が家族や友人に転職の相談をするとき、このサマリーがそのまま「私のエージェント、ここまで整理してくれた」という証拠になるからです。実際、紹介はここから生まれることが多い。紹介が生まれる構造は「紹介はなぜ生まれるのか」に書かれている通りで、意志ではなく仕組みです。
Q最後に、面談に悩む若手へ一言お願いします。
面談の巧さはセンスではなく、準備と型です。うまくいかなかった面談は、録音を聞き返すと必ず「準備で潰せた失点」が見つかります。1件ずつ振り返る人が、半年後に一番遠くにいます。
準備と向き合う姿勢は「本当に価値あるエージェントの7条件」・「いつでも冷静沈着であれ」、キャリアの軸の原理は「エージェントが知るべきキャリアの話」で体系化しています。面談の入口となるスカウトは「1通目」の設計【完全版】、面談後の選考フェーズは選考対策(営業職)シリーズ全5回へ。
記事の内容を前提にして、あなたの状況に合わせた答えをAIに出させます。質問を入れて「ChatGPTで相談」または「Claudeで相談」を押すと、記事の要点と質問がセットになった状態で開きます。