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Founding Story

アーサー・D・リトルの創業ストーリー世界最初の経営コンサルティング会社

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • アーサー・D・リトル(ADL)は1886年、ボストンで化学者アーサー・デホン・リトルとロジャー・グリフィンが始めた。
  • 最初の仕事は化学分析と製紙の研究。科学の知見を産業の課題に応用する「契約による専門サービス」を切り開き、世界最初のコンサルティング会社とされる。
  • 技術と経営をつなぐ仕事で名を上げたが、1970〜80年代に競合の台頭で存在感を失い、2002年に経営破綻した。
  • コンサル部門は仏アルトランの傘下を経て、2011年に経営陣が買い戻して独立。今も「技術×経営」を強みにする。

アーサー・D・リトル(ADL)は、技術とイノベーションを軸にした経営コンサルティングで知られるファームです。「世界最初のコンサルティング会社」と呼ばれ、日本にも拠点を持ちます。

化学の実験室から始まった会社が、なぜ経営の相談相手になったのか。そして一度破綻したファームが、どう再出発したのか。マッキンゼーより40年早い、コンサルという職業の原点を追います。

Chapter 01|創業1886年、​ボストンの化学分析所

アーサー・デホン・リトルは1863年、ボストンに生まれました。MITで化学を学びましたが、経済的な事情で卒業せずに学校を離れ、製紙工場で化学者として働きます。そこで知り合ったのが、同僚のロジャー・B・グリフィンでした。

1886年、2人はボストンで「Griffin & Little, Chemical Engineers」を始めます。仕事は化学分析や試験、そして製紙についての助言でした。当時、化学者は経済の世界であまり評価されていませんでしたが、2人は科学の知見を産業の改善に役立てる仕事に市場があると信じていました。

創業
1886年、ボストン
創業者
アーサー・デホン・リトル、ロジャー・B・グリフィン(ともに化学者)
最初の仕事
化学分析・試験、製紙の研究と助言
法人化
1909年、Arthur D. Little, Inc.

Chapter 02|苦難共同創業者を、​事故で失う

事業は、決して豊かではありませんでした。仕事の多くは定型の分析で、いくつかの製紙会社の顧客が会社を支えていました。それでも評判は少しずつ高まり、2人は製紙の化学をまとめた本の執筆を進めます。

1893年、グリフィンが実験室の事故で亡くなります。本はまだ完成していませんでした。リトルは一人で事業を続け、1894年に刊行された『The Chemistry of Paper-making』は、長く製紙の分野の標準的な参考書になりました。

一つの分野で誰もが参照する知識を作ることが、
そのまま最初の顧客基盤と評判になった。

Chapter 03|概念「他人の困りごとが、​私たちの仕事」

リトルたちが手がけたのは、「工程の改善と製品の完成のための調査」でした。企業から依頼を受け、契約にもとづいて専門家が課題を調べ、答えを出す。今では当たり前のこの形を、ADLは早い時期に仕事として確立しました。

1907年には「他人の困りごとが、私たちの仕事(Other people's troubles are our business)」という標語が生まれ、1909年に Arthur D. Little, Inc. として法人化されます。ゼネラル・モーターズの最初の研究所の立ち上げを手伝うなど、技術を産業の成長に結びつける仕事で名を上げていきました。

その後も、事業戦略、オペレーションズ・リサーチ、航空会社の予約システムなど、多くの分野の発展に関わったとされます。戦略論で知られる「ADLマトリクス」も、このファームから生まれました。

Chapter 04|年表アーサー・D・リトルの​歩み

1886ボストンで創業Griffin & Little, Chemical Engineers
1893共同創業者グリフィンが事故で死去
1894『The Chemistry of Paper-making』を刊行製紙の標準的な参考書に
1907標語「他人の困りごとが、私たちの仕事」
1909Arthur D. Little, Inc. として法人化
1935創業者リトルが死去
1970〜80年代競合の台頭で存在感が低下経営コンサルへの転換が遅れる
2002経営破綻コンサル部門は仏アルトランの傘下に
2011経営陣による買い戻しで独立本社は現在ブリュッセル

Chapter 05|停滞技術の会社が、​取り残される

1970年代から80年代にかけて、ADLは難しい時期を迎えます。技術に強いコンサルティング会社は、もはやADLだけではありませんでした。マッキンゼーやBCGなどが戦略コンサルティングで存在感を増し、1990年代には業務改革(リエンジニアリング)の需要が高まります。

ADLは、需要が伸びる経営コンサルティングの領域への転換で後れを取ったとされます。技術の知見という強みが、かえって変化への対応を遅らせました。1990年代にはアジアへの展開で成長を取り戻そうとしましたが、2002年に経営破綻に至ります。

最初に市場を作った会社が、その市場で勝ち続けるとは限らない。ADLの来歴が示すこと

Chapter 06|再出発2011年、​経営陣が買い戻す

破綻後、ADLのコンサルティング部門はフランスのエンジニアリング会社アルトランの傘下に入りました。そして2011年、経営陣が株式を買い戻して独立します。現在は、パートナーが所有する独立したファームとして、ブリュッセルを本社に世界各地で活動しています。

今のADLも、技術・イノベーションと経営をつなぐことを強みに掲げています。製造業、エネルギー、通信、自動車など、技術が事業を左右する業界の相談に強いファームです。

一度は時代に取り残された「技術の会社」という特徴が、デジタル化や脱炭素のように技術が経営の中心課題になった時代に、再び意味を持つようになりました。

Chapter 07|実務候補者に、​この来歴をどう語るか

理系出身でコンサルを志望する人に

TALK SCRIPT

「ADLは、化学者が作った世界最初のコンサルティング会社です。今も技術と経営をつなぐことを強みにしています。研究やエンジニアリングの経験を、経営の課題に活かしたい人に向いています。」

研究職やエンジニアからコンサルへの転身を考える候補者に、技術の知見がそのまま武器になるファームとして紹介できます。

戦略ファームを比べるときに

ADLマッキンゼーBCG
創業1886年1926年1963年
出発点化学分析と製紙の研究会計学の教授による経営の助言後発として「考え方」を売る
強み技術×経営経営全般・組織戦略のフレームワーク
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業化学者が始めた最初のコンサル1886年、化学者のリトルとグリフィンが化学分析と製紙の研究から始め、契約による専門サービスを切り開いた。
2停滞市場を作った会社が取り残される技術に強みを持つがゆえに経営コンサルへの転換が遅れ、2002年に経営破綻した。
3再出発経営陣の買い戻しアルトラン傘下を経て2011年に経営陣が買い戻し、技術×経営のファームとして再出発した。

よくある質問

Q
アーサー・D・リトルはどんな会社ですか?
A
1886年にボストンで創業した経営コンサルティングファームで、世界最初のコンサルティング会社とされます。技術・イノベーションと経営をつなぐことを強みにしています。
Q
創業者はどんな人ですか?
A
MITで化学を学んだアーサー・デホン・リトルと、製紙工場の同僚だったロジャー・B・グリフィンです。2人で化学分析と製紙の研究から事業を始めました。
Q
なぜ「世界最初のコンサルティング会社」なのですか?
A
企業の依頼を受けて契約にもとづき専門家が課題を調べ答えを出す、という専門サービスの形を、1886年という早い時期に事業として確立したためです。
Q
経営破綻したのですか?
A
はい。1970〜80年代に経営コンサルへの転換が遅れて存在感を失い、2002年に経営破綻しました。コンサル部門はアルトランの傘下を経て、2011年に経営陣が買い戻して独立しています。
Q
どんな候補者に向きますか?
A
研究やエンジニアリングの経験を持ち、技術の知見を経営の課題に活かしたい候補者に向いています。
まとめ

アーサー・D・リトルは1886年、化学者のリトルとグリフィンが化学分析と製紙の研究から始めた、世界最初のコンサルティング会社とされるファームである。技術を産業の成長に結びつける仕事で名を上げたが、経営コンサルへの転換が遅れて2002年に破綻した。2011年に経営陣が買い戻して独立し、技術が経営の中心課題になった時代に「技術×経営」の強みを再び打ち出している。

この記事の情報源

  • Arthur D. Little「Timeline」
  • MIT Libraries「Arthur D. Little, Inc. records」
  • 同社の沿革をまとめた企業史の資料(Encyclopedia of Company Histories ほか)
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.25
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