この記事の要点
- estieは、三菱地所出身の平井瑛氏が2018年に創業した商業用不動産のデータ企業である。業界のプロでさえデータで判断できていない現実に気づき、世界有数の市場なのにデータが乏しい領域でデータ基盤を作り、判断の支援へと広げている。
- 三菱地所で見た、データのない判断
- 世界最大級なのに、データは最低水準
- 手も足も頭も、自分が一番動く
- データから、判断の支援へ
- 集めたものの、厚み
estieは、オフィスや物流施設などの商業用不動産のデータを集め、分析できるようにする会社です。
創業者の平井瑛氏は、三菱地所で海外の不動産投資やオフィスの賃貸営業を経験する中で、ある事実に気づきました。業界のプロでさえ、十分なデータにもとづいて判断できていない。その課題が、この会社の出発点です。
Founded2018年12月三菱地所を退職して創業
Market80兆円東京の商業用不動産市場
Buildings8万棟集めた建物の情報
Chapter 01年表|estieの歩み
TIMELINE
estieの歩み
HISTORY ─ 創業から現在まで
2018.12
estieを創業三菱地所を5年で退職
2019
シード資金を調達東京大学系のベンチャーキャピタルから
2020
データ基盤を刷新、追加調達累計の調達は4億円を超える
2021.09
起業家イベントで優勝業界の外からも注目を集める
現在
複数のデータサービスとAI支援大手デベロッパーや投資ファンドが利用
公式発表・報道・経営者インタビューなどの公開情報で確認できたもの。
Chapter 02原点|三菱地所で見た、データのない判断
平井瑛氏は東京大学経済学部を卒業後、三菱地所に入社しました。米国・英国・東南アジアでの不動産投資や運用、東京のオフィスビルの賃貸営業、スタートアップ向けの施設づくりやベンチャーキャピタルへの出資まで経験します。
その中で見えたのは、不動産のプロでさえ、十分なデータにもとづいた客観的な判断ができていないという現実でした。オフィスを借りるテナントの側も、限られた情報の中で決めていました。
業界の中にいたからこそ、その業界がデータを持たずに動いていることに気づけた。内側の人間が、外から変える側に回った。estieの出発点
2018年12月、平井氏は5年勤めた三菱地所を離れ、estieを創業します。
Chapter 03市場|世界最大級なのに、データは最低水準
東京の商業用不動産の市場は約80兆円とされ、国別で見ても米国・中国に次ぐ規模です。オフィスの賃貸だけでも約10兆円の市場があります。
ところが、不動産の基礎データへのアクセスのしやすさは、先進国で最低の水準とされていました。賃料や空室の情報は各社に散らばり、業界全体で共有されていなかったのです。
Chapter 04創業期|手も足も頭も、自分が一番動く
最初の製品は、オフィス賃貸の事業者向けのデータ基盤でした。50以上の不動産会社から情報を集め、全国8万棟・40万フロアの建物情報や、公開されていない賃料の情報を束ねていきます。独自のAIで成約賃料を推定する仕組みも作りました。
三菱地所では部下を持った経験がなく、起業も初めて。平井氏は創業から1年ほど、営業も製品開発も採用も、すべて自分で担いました。創業者が誰よりも手を動かすべきだと考えていたといいます。
Chapter 05現在地|データから、判断の支援へ
estieは今、オフィスに加えて住居、物流施設など複数の分野のデータサービスを持ち、大手デベロッパー、J-REITの運用会社、外資系の投資ファンドに使われています。
さらに、不動産データとAIを使い、専門家が戦略づくりや業務改革まで支援する形へ広がっています。データを集める会社から、判断を支える会社へ。掲げるパーパスは「産業の真価を、さらに拓く。」です。
Chapter 06データ|集めたものの、厚み
estieのデータの強みは、50以上の不動産会社や管理会社、仲介会社から毎日集まる情報です。全国8万棟・40万フロアの建物の情報、日々500万坪分の募集の情報、公開されていない賃料の情報、都心の入居企業の情報まで束ねています。
集めたデータは、そのままでは使えません。収集し、意味を読み取り、欠けを補い、形を整えるという一連の作業に、商業用不動産の知見が生きています。独自のAIで成約賃料を推定する仕組みも、この積み重ねの上にあります。
データそのものより、散らばったデータを業界の文脈で読める形に直すことが難しい。そこに、業界出身の創業者が作った会社の強みがある。estieの競争力
Chapter 07資金|着実に積み上げた調達
FUNDING
主な資金調達(億円)
同社と出資者の発表による。2020年は、シードとプレシリーズAを合わせた累計。
2019年に東京大学系のベンチャーキャピタルからシード資金を集め、2020年にはグロービス・キャピタル・パートナーズなどから約2.5億円を調達して、累計は4億円を超えました。2021年には起業家が集まるイベントで優勝し、2022年のシリーズAでは約10億円を調達しています。
コロナ禍で在宅勤務が広がり、都心のオフィスの空室率が上がったことも、データの需要を押し上げました。空室を埋めるために、客観的な数字で判断したいという声が、ビルの運営に関わる会社から高まったのです。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
不動産業界出身の候補者と話すとき業界の内側にいたからこそ課題に気づき、外から変える側に回った例です。業界経験の生かし方として示せます。
データ系の職種を説明するとき散らばったデータを集め、使える形にすること自体が価値になる市場です。データの仕事の意味を具体的に伝えられます。
大企業からの転職を考える候補者に5年勤めた大手を離れて創業し、最初の1年はすべて自分で担いました。挑戦の現実を伝える材料になります。
KEY POINTS
この記事のポイント
1原点|三菱地所で見た、データのない判断平井瑛氏は東京大学経済学部を卒業後、三菱地所に入社しました。米国・英国・東南アジアでの不動産投資や運用、東京のオフィスビルの賃貸営業、スタートアップ向けの施設づくりやベンチャーキャピタルへの出資まで経験します。
2市場|世界最大級なのに、データは最低水準東京の商業用不動産の市場は約80兆円とされ、国別で見ても米国・中国に次ぐ規模です。オフィスの賃貸だけでも約10兆円の市場があります。
3創業期|手も足も頭も、自分が一番動く最初の製品は、オフィス賃貸の事業者向けのデータ基盤でした。50以上の不動産会社から情報を集め、 全国8万棟・40万フロアの建物情報 や、公開されていない賃料の情報を束ねていきます。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A平井瑛氏です。東京大学経済学部を卒業後、三菱地所で海外不動産投資やオフィス賃貸営業などを経験し、2018年12月にestieを創業しました。
Aオフィスや物流施設などの商業用不動産のデータを集め、分析できるサービスを提供しています。AIを使った賃料の推定や、戦略づくりの支援も行っています。
A東京の商業用不動産は約80兆円の市場なのに、基礎データへのアクセスのしやすさは先進国で最低水準とされ、デジタル化がほとんど進んでいなかったためです。
A大手の不動産デベロッパー、J-REITの運用会社、外資系の投資ファンドなどが中心です。
A全国8万棟・40万フロアの建物の情報、日々の募集の情報、公開されていない賃料の情報、都心の入居企業の情報などを、50以上の不動産会社などから集めています。
A2019年にシード資金、2020年にプレシリーズAで約2.5億円(累計4億円超)、2022年のシリーズAで約10億円を調達しています。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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