この記事の要点
- 三菱地所は1890年、誰も価値を認めなかった丸の内の原野を買うところから始まった。街区を丸ごと持つことで街全体を設計でき、合意形成を中心とする数十年単位の事業を営んでいる。
- 価値がないものを、買う
- 街を、丸ごと持つ
- 世代を、越える事業
- 財閥系デベロッパーという立場
三菱地所の出発点は、1890年の丸の内の土地買収です。政府が陸軍用地を売りに出したとき、三菱の二代目・岩崎弥之助が当時としては巨額の128万円で取得しました。
買った土地は、草が生い茂る原野でした。「三菱ヶ原」と揶揄されます。誰も価値を認めない土地を、日本の中心業務地区に変えるまでに100年以上かかりました。
Buy1890年128万円で原野を取得
Span100年超価値になるまでの時間
Unit街区建物ではなく街が単位
AT A GLANCE
ひと目でわかる
TURNING POINT
1960年代〜
丸の内の高層化
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。
Chapter 01年表三菱地所の歩み
1890三菱が丸の内の土地を取得陸軍用地の払い下げ。約128万円
1894三菱一号館が竣工英国風の煉瓦街「一丁倫敦」の始まり
1937三菱地所を設立三菱合資の不動産部門が独立
1960年代〜丸の内の高層化オフィス街としての再開発
2000年代〜丸の内再構築街区単位の大規模再開発へ
現在丸の内を中核に国内外へ街づくりを事業の単位に
Chapter 02判断価値がないものを、買う
1890年当時、丸の内は買い手のつかない土地でした。政府が売りに出しても誰も手を挙げない。価値がないと判断されていた。
岩崎弥之助がこれを買ったのは、皇居と東京駅(当時はまだない)に近いという立地の意味を読んだからだとされます。今の価値ではなく、将来の位置を見た。
不動産の本質は、価値がまだない場所を、価値がある場所に変えることにある。買った時点の価値で判断する事業ではない。丸の内の取得
Chapter 03構造街を、丸ごと持つ
三菱地所が持っているのは、1棟のビルではなく街区です。これが個別のビルを建てる事業と決定的に違う点です。
デベロッパーの仕事の大半は、建てることではなく合意を作ることです。候補者にこの業界を説明するとき、この点は必ず伝えるべきです。
Chapter 04時間世代を、越える事業
1890年の取得から一丁倫敦まで4年、現在の丸の内の姿まで100年以上。関わった人の大半は、完成を見ていません。
住友林業の植林、東レの炭素繊維、ASMLのEUV。時間軸が個人の在職期間を超える事業は、評価の仕方も報酬の設計も特殊になります。
Chapter 05現在地財閥系デベロッパーという立場
三菱地所も三井不動産も、財閥系として元々土地を持っていた会社です。ゼロから土地を仕入れる事業者とは、出発点が違います。
この違いは仕事の性質に表れます。持っている土地の価値を高める仕事と、土地を仕入れて回転させる仕事。同じ不動産業でも、まったく別の能力が要ります。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
不動産業界の候補者を支援するときデベロッパー・仲介・管理・仕入れ型では仕事がまったく違います。特にデベロッパーの仕事は合意形成が中心です。
長い時間軸の仕事を説明するとき完成を見ずに関わる仕事があります。成果の評価と報酬の設計が特殊になることを伝えてください。
企業の出発点を見るとき元々資産を持っている会社と、ゼロから仕入れる会社では求められる能力が違います。
KEY POINTS
この記事のポイント
1判断価値がないものを、買う1890年当時、丸の内は買い手のつかない土地でした。政府が売りに出しても誰も手を挙げない。
2構造街を、丸ごと持つ三菱地所が持っているのは、1棟のビルではなく 街区 です。これが個別のビルを建てる事業と決定的に違う点です。
3時間世代を、越える事業1890年の取得から一丁倫敦まで4年、現在の丸の内の姿まで100年以上。関わった人の大半は、完成を見ていません 。
この記事の情報源
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A1890年、三菱が政府から丸の内の陸軍用地を約128万円で取得したことです。当時は買い手のつかない原野でした。
A皇居に近いという立地の将来の意味を読んだためとされます。今の価値ではなく将来の位置を見た判断です。
A街区開発は街全体の配置を設計でき時間軸も数十年に及びます。仕事の中心は建てることではなく行政や地権者との合意形成です。
A元々土地を持っているため、持っている土地の価値を高める仕事が中心です。土地を仕入れて回転させる事業者とは能力が異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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