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Founding Story

ASML​の​創業​ストーリーオランダの​合弁会社が、​半導体の​「光」​を​独占するまで

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • ASMLは1984年設立、20年以上をかけてEUV露光装置を実用化した。顧客が出資する形で長期投資を支え、競合が撤退した結果として世界で1社という地位を得た。時間でしか作れない参入障壁の最も強い例である。
  • 20年、回収できない技術
  • ニコンとキヤノンは、なぜ降りたのか
  • 1社しかないと、何が起きるか
  • 参入障壁の、最も強い形

ASMLは、世界で1社しか作れない機械を持つ会社です。1984年、オランダのフィリップスとASMインターナショナルの合弁として設立されました。

作っているのは露光装置——半導体の表面に回路を焼き付ける機械です。特に最先端のEUV(極端紫外線)装置は、この会社以外に作れる企業が存在しません。

Founded1984年合弁として
Investment20年超EUVの開発期間
Position世界で1社代替が存在しない
AT A GLANCE
ひと目でわかる
FOUNDED
1984
フィリップスとASMの合弁で設立
TURNING POINT
2010年代
ニコン・キヤノンがEUVを断念
TODAY
現在
各国の政策の対象に
記事中の事実を要約したものです。出典は本文末の「この記事の情報源」をご覧ください。

Chapter 01年表ASMLの歩み

1984フィリップスとASMの合弁で設立オランダ・フェルトホーフェン
1990年代露光装置で存在感ニコン・キヤノンと競合
2000年代EUVの開発に着手20年以上と数兆円規模の投資
2010年代ニコン・キヤノンがEUVを断念投資の負担から撤退
2010年代後半EUV装置を実用化最先端半導体に不可欠な存在に
現在各国の政策の対象に輸出管理が国際的な論点

Chapter 02投資20年、​回収できない技術

EUVは、極めて短い波長の光を使って、より細かい回路を焼き付ける技術です。開発には物理の限界に近い精度が要求され、着手から実用化まで20年以上かかりました。

この間、売上はほぼゼロです。通常の企業なら途中で断念します。ASMLが続けられたのは、顧客であるインテル・TSMC・サムスンが出資したからでした。

回収に20年かかる投資は、一社では背負えない。それを必要とする側が出資するという形でしか成立しない。EUV開発の構造

東レの炭素繊維が40年、住友林業の植林が数十年。時間軸の長い事業には、それを支える構造が必要です。

Chapter 03撤退ニコンと​キヤノンは、​なぜ降りたのか

1990年代、露光装置の市場ではニコンとキヤノンが強い立場にありました。しかしEUVへの移行段階で、両社は投資を断念します。

投資を続ける投資を断念する
短期の財務巨額の赤字健全
成功の確率不確実—
長期の結果独占の可能性市場からの退出

降りる判断も経営です。当時の財務状況では合理的だったかもしれない。しかし結果として、市場そのものを失いました。

撤退すべき事業と、耐えるべき事業をどう見分けるか。Intelのメモリ撤退は正解で、ニコンのEUV撤退は結果的に痛手だった。同じ「捨てる」でも結果が違います。

Chapter 04構造1社しかないと、何が​起きるか

ASMLの装置がなければ、最先端の半導体は作れません。つまりこの1社が、世界の半導体産業の速度を決めている。

この立場は経済の問題を超えます。どの国にこの装置を輸出するかが、国際政治の論点になる。企業の判断が、国家間の問題に直結する状態です。

民間企業でありながら公共的な性格を持つ点で、三菱重工やINPEXと似た位置にあります。

Chapter 05教訓参入障壁の、最も強い形

ASMLの参入障壁は、特許でも規模でもありません。20年の蓄積そのものです。今から始めても、追いつくまでに20年かかる。

時間は買えません。時間でしか作れない障壁が、最も強い。エージェントにとっても、ある業界で10年支援してきた実績は、資金では買えない資産です。

For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
長期の事業を評価するとき

回収に時間がかかる事業は、それを支える構造(顧客の出資、他事業の収益)があるかを見てください。

撤退の判断を考えるとき

捨てるべき事業と耐えるべき事業の見分けは難しい。短期の財務だけで判断すると市場ごと失うことがあります。

自社の参入障壁を考えるとき

時間でしか作れない障壁が最も強い。ある業界での長年の実績は、資金では買えない資産です。

KEY POINTS
この記事のポイント
1投資20年、回収できない技術EUVは、極めて短い波長の光を使って、より細かい回路を焼き付ける技術です。開発には物理の限界に近い精度が要求され、 着手から実用化まで20年以上 かかりました。
2撤退ニコンとキヤノンは、なぜ降りたのか1990年代、露光装置の市場では ニコン と キヤノン が強い立場にありました。しかしEUVへの移行段階で、両社は投資を断念します。
3構造1社しかないと、何が起きるかASMLの装置がなければ、最先端の半導体は作れません。つまり この1社が、世界の半導体産業の速度を決めている 。

この記事の情報源

  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
ASMLはどのような会社ですか?
A
1984年にオランダで設立された半導体製造装置メーカーです。回路を焼き付ける露光装置を作り、最先端のEUV装置は世界で同社しか製造できません。
Q
EUVの開発にはどれくらいかかりましたか?
A
着手から実用化まで20年以上、数兆円規模の投資が必要でした。この間、顧客であるインテル・TSMC・サムスンが出資して支えました。
Q
なぜニコンとキヤノンは撤退したのですか?
A
EUVへの投資負担が大きく不確実性も高かったためです。短期の財務としては合理的でしたが、結果として市場そのものを失いました。
Q
ASMLの参入障壁は何ですか?
A
20年にわたる技術の蓄積そのものです。特許や規模ではなく時間でしか作れない障壁であるため、追随が極めて困難です。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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