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Founding Story

フューチャーの創業ストーリー「ITで経営を変える」を、コンサルの側から始めた会社

創業ストーリー 2026.09.20
この記事の要点
  • フューチャーは1989年11月、金丸恭文氏が鹿児島市で設立した。社名は「フューチャーシステムコンサルティング」。
  • メーカー系列の下請けが主流だった時代に、業務改革とシステム実装を同じチームで担う独立系として創業した。
  • 2016年に本業を子会社フューチャーアーキテクトへ移して持株会社となり、2017〜2024年に製造業向けSI・セキュリティ・経営コンサルなどを連続して買収した。
  • エージェントにとっては、「作る側から、決める側へ」という軸で、SIer出身者のキャリアを説明する材料になる。

フューチャー(旧フューチャーシステムコンサルティング)は、ITの会社でありながら「コンサルティング」を社名に入れた草分けです。1989年、35歳の金丸恭文氏が創業しました。

「作るべきものを決める」側に立ちながら、作るところも手放さない。この二つを同じ会社で抱えたことが、37年たった今の利益構造にもそのまま表れています。本記事では創業の判断から持株会社化、連続買収までを順に追い、最後に候補者への語り方をまとめます。

Chapter 01|前史会計システムの現場で、​見えていたこと

金丸恭文氏は神戸大学工学部の計測工学科を卒業したあと、会計システムのTKCと、ロジック・システムズ・インターナショナルでシステムの実務を積みました。コンサル会社や大手メーカーではなく、システムを実際に作る側からキャリアを始めた人です。

当時の日本のシステム開発は、コンピュータメーカーの系列と、その下請けが中心でした。業務の要件を考える人と、それを実装する人は別の会社にいて、仕様書を介してやり取りをします。

この分業では、実装する側は「言われたものを作る」ことが仕事になります。しかし経営の課題を解くためのシステムなら、何を作るかこそが本題です。作る現場にいた人が、その上流に関われない構造に疑問を持った。これが創業の出発点になりました。

生年
1954年
学歴
神戸大学 工学部 計測工学科
職歴
TKC → ロジック・システムズ・インターナショナル
創業
1989年11月、35歳で独立

Chapter 02|創業1989年、​鹿児島で「コンサルティング」を​名乗る

1989年11月28日、金丸氏は鹿児島市でフューチャーシステムコンサルティングを設立しました。翌1990年には東京都中央区へ本社を移し、その後も港区、品川区と移転を重ねていきます。

創業時に決めたのは、業務改革とシステムの実装を同じチームが担うという形です。要件を考える人と作る人を分けず、一つのチームで最後まで持つ。今でこそ珍しくない考え方ですが、系列の分業が当たり前だった当時は、それ自体が差別化になりました。

社名に「システム」と「コンサルティング」を並べたのも、この立場を示すためです。システム会社として発注を待つのではなく、経営の相談相手として最初から入る。同社は自らを「日本初のITコンサルティングファーム」と位置づけています。

言われたものを作るか、作るべきものを決める側に回るか。この選択が、単価も、集まる人材も変える。ITサービスの分岐点

Chapter 03|年表フューチャーの​37年

主な出来事を、創業から現在まで並べます。店頭登録から東証一部までが3年、持株会社化から連続買収までが一続きになっている点がポイントです。

1989.11フューチャーシステムコンサルティングを設立鹿児島市で創業。代表は金丸恭文氏(当時35歳)
1990.09本社を東京都中央区へ移転その後、港区(1992年)、品川区(1994年)へ
1997.01米国サンタクルーズに現地法人を設立FutureArchitect, Inc.
1999.06日本証券業協会に店頭登録創業から約10年で株式を公開
2002.06東京証券取引所 市場第一部に上場
2007.01ウッドランドを吸収合併商号をフューチャーアーキテクトに変更
2011.04中堅・中小企業向けERP事業を分割FutureOneとして独立させる
2015.08コードキャンプを買収プログラミング教育の領域へ
2016.04持株会社制へ移行ITコンサル事業を新設のフューチャーアーキテクトへ。本体はフューチャー株式会社に
2017.01ワイ・ディ・シーを横河電機から買収製造業向けのシステム領域を取り込む
2018.09ディアイティを子会社化情報セキュリティの領域へ
2022.04東証プライム市場へ市場区分の再編にともない移行
2024.03リヴァンプを子会社化経営・マーケティングの支援まで守備範囲を広げる
2026谷口友彦氏が社長に金丸氏は代表取締役会長に

Chapter 04|立場系列に属さない、​ということ

日本の大手IT企業の多くは、メーカー系(NEC、富士通、日立など)や通信系、ユーザー系(銀行や商社の情報システム子会社)のグループに属しています。親会社の案件や製品が、安定した仕事の土台になります。

フューチャーはそのどれにも属さない独立系です。特定メーカーの製品を売る制約がないため、顧客に合わせて技術を選べます。その代わり、親会社から回ってくる仕事はありません。提案の中身だけで案件を取るしかなかったのです。

この制約が、会社の性格を決めました。受け身では仕事が来ないので、顧客の経営課題に踏み込んだ提案をする。提案した以上は、自分たちで作って結果を出す。独立系であることが、上流と実装を一体で持つ形を強いたとも言えます。

区分主な例仕事の来方エンジニアの立ち位置
メーカー系NEC・富士通・日立の系列親会社の製品・案件が土台自社製品を前提に設計・構築
ユーザー系銀行・商社などの情報システム子会社親会社のシステムが中心親会社の業務に深く入る
独立系フューチャー、シンプレクスなど提案で一から獲得する技術選定から実装まで自分たちで決める

Chapter 05|上場店頭登録から、​東証一部へ

1999年6月、同社は日本証券業協会に株式を店頭登録しました。創業からおよそ10年です。そこから3年後の2002年6月には、東京証券取引所の市場第一部に上場しています。

2000年代は、組織のかたちを整える時期でした。2004年にイギリスに駐在事務所を置き、2006年には大阪にオフィスを設けます。2007年にはウッドランドを吸収合併して、社名をフューチャーアーキテクトに変えました。

「アーキテクト」は建築家、つまり設計する人です。システムの「コンサルティング」から、企業の仕組み全体を設計する立場へ。社名の変更には、自分たちの役割をより上流に置き直す意図が読み取れます。

2011年には、中堅・中小企業向けのERP(基幹業務パッケージ)事業を切り出してFutureOneに移しました。大企業向けの個別開発と、中堅企業向けのパッケージでは、売り方も体制も違います。事業を性格ごとに分けて持つ考え方は、この頃から見えていました。

Chapter 06|組み替え2016年、​本業を子会社に渡す

2016年4月、同社は大きな組み替えを行います。創業以来の本業であるITコンサルティング事業を、新しく作った子会社フューチャーアーキテクトへ移し、本体は事業を持たない持株会社になりました。社名もフューチャー株式会社に変えています。

持株会社の下には、ITコンサルのフューチャーアーキテクト、ERPのFutureOne、メディアの東京カレンダー、プログラミング教育のコードキャンプといった会社が、機能や業種ごとに並ぶ形になりました。

本業を持つ会社が、別の会社を買って統合するのは難しい。
先に「事業を持たない本体」を作っておけば、買った会社を横に並べるだけで済む。

この順番が、後の連続買収の速さにつながります。本体が一つの事業会社のままだと、買収のたびに組織や制度の統合が必要になります。持株会社にしておけば、買った会社をそのままグループの一員として置けるからです。

Chapter 07|買収8年で、​守備範囲を広げる

持株会社化の翌年から、同社は買収を重ねていきます。2017年には横河電機からワイ・ディ・シー(製造業向けのシステム)を、2018年にはディアイティ(情報セキュリティ)を取得しました。その後もデザインの会社などを加えています。

到達点となったのが、2024年3月のリヴァンプの子会社化です。リヴァンプは企業の経営改革やマーケティングを支援する会社で、取得原価は約255億円。それまでの買収の合計を大きく上回る規模でした。

並べてみると、方向ははっきりしています。ITコンサルを中心に置いたまま、製造業の現場、セキュリティ、デザイン、経営そのものへと、顧客の課題に沿って守備範囲を広げてきました。「システムを作る会社」から「経営を支える会社の集まり」への移行です。

2017ワイ・ディ・シー製造業向けのシステム(横河電機から取得)
2018ディアイティ情報セキュリティ
2023キュリオシティデザイン
2024リヴァンプ経営改革・マーケティング支援(取得原価 約255億円)

Chapter 08|現在地利益は、​いまも創業事業が出している

2025年12月期の連結売上高は約760億円、営業利益は約161億円で、営業利益率は21%台です。連結の従業員数は3,624名になりました。

約760億円連結売上高(2025年12月期)
21.3%営業利益率
3,624名連結従業員数

出所:フューチャー 有価証券報告書(2025年12月期)をもとにした集計。数値は各時点で公表されたもの。

ただし中身を見ると、売上の約9割はITコンサルティング&サービス事業で、利益もほぼこの事業から出ています。買収で広げた領域は、まだ利益の柱にはなっていません。

もう一つ特徴的なのが、原価の低さです。同社の売上原価率は5割強で、同じくシステムを手がける大手SIerの多くより大幅に低い水準にあります。上流の設計から運用までを自社グループで抱え、外注に出す割合を抑えてきたことが、コンサルに近い利益率をシステム開発の事業で成り立たせています。

技術者を社内に抱えることは、固定費を増やすことでもあります。それでも外に出さないのは、創業時の「同じチームが最後まで持つ」という考え方が、そのまま利益の源泉になっているからです。

Chapter 09|比較ベイカレント、​シンプレクスと​並べてみる

日本発の独立系コンサル・IT企業として、候補者からよく比べられる会社を並べます。同じ「独立系」でも、何を武器にしているかは大きく違います。

フューチャーシンプレクスベイカレント
創業1989年1997年1998年
出発点システム実装の現場外資系証券の金融IT小さなIT会社からの転換
強みの軸業務改革と実装を一体で持つ金融のフロント業務×ITワンプール制による大量採用と総合コンサル
実装の扱い自社グループで運用まで持つ上流から開発・運用まで一気通貫戦略・業務改革が中心
向く候補者像技術を手放さずに上流へ行きたい人金融とITの両方を武器にしたい人テーマを限らず幅広く経験したい人

フューチャーの特徴は、「決める」と「作る」の両方を手放していない点です。ベイカレントのように戦略・業務改革に寄せるのでも、シンプレクスのように金融に絞るのでもなく、業界を問わず、設計から実装までを抱えています。

詳しくはベイカレントの創業ストーリー、シンプレクスの創業ストーリーもあわせて読むと、違いが整理しやすくなります。

Chapter 10|実務候補者に、​この来歴をどう語るか

フューチャーを候補者に紹介するとき、「ITコンサルの老舗」と言うだけでは伝わりません。創業の経緯を使うと、なぜこの会社なのかを候補者自身の言葉にしてもらいやすくなります。

SIer出身の候補者に

TALK SCRIPT

「フューチャーは、仕様を受け取って作る側にいた創業者が、何を作るかを決める側に回るために作った会社です。今のあなたの経験は、そのまま入口になります。問われるのは、上流で何を決めたいかです。」

SIerで開発やPMを経験した候補者にとって、同社は技術を捨てずに上流へ行ける数少ない選択肢です。「コンサルに行きたい」という動機を、「決める側に回りたい」「作ったものの結果まで責任を持ちたい」という具体的な言葉に落としてもらうと、志望動機の質が上がります。

コンサル志望の若手に

戦略系や総合系と迷っている候補者には、「作るところまで自分でやるか」を問いかけると判断がつきやすくなります。資料を作って終わる仕事より、システムが動くところまで見届けたい人には合います。逆に、業界やテーマを横断して幅広く経験したい人には、別の選択肢が向くこともあります。

面接で問われやすい論点

創業の経緯と結びつけて準備しておきたいのは、次の三つです。

  • なぜSIerではなくフューチャーなのか:「決める側」と「作る側」の違いを、自分の経験で説明できるか。
  • 技術への関心:上流を志向しても、技術から離れたいわけではないことを示せるか。
  • グループの広がり:買収で広がった領域(製造業、セキュリティ、経営支援)のどこに関心があるか。

あわせて、持株会社と事業会社の違いにも触れておくと親切です。採用の窓口や配属先がフューチャーアーキテクトなどの事業会社になることが多いため、どの会社で何をするのかを候補者と確認しておくと、入社後のずれを防げます。

KEY POINTS
この記事のポイント
1創業作る側から、決める側へTKCなどでシステムを作る現場にいた金丸恭文氏が、1989年に鹿児島で創業。業務改革と実装を同じチームで担う形を選んだ。
2構造独立系が、一体型を強いた系列の後ろ盾がないため、提案の中身で案件を取るしかなかった。その制約が「上流も実装も持つ」形を定着させた。
3現在地持株会社化と連続買収2016年に本業を子会社へ移し、2017〜2024年に買収を重ねた。ただし利益の大半は、今も創業事業のITコンサルが生んでいる。

よくある質問

Q
フューチャーはどんな会社ですか?
A
1989年に金丸恭文氏が創業した独立系のITコンサルティング会社です。現在は持株会社のフューチャー株式会社の下に、ITコンサルのフューチャーアーキテクトなどの事業会社が並ぶグループになっています。
Q
なぜ鹿児島で創業したのですか?
A
設立の登記は鹿児島市で行われましたが、翌1990年には本社を東京都中央区へ移しています。鹿児島を選んだ詳しい経緯は、公開資料では確認できていません。
Q
フューチャーとフューチャーアーキテクトの違いは?
A
フューチャー株式会社はグループの持株会社で、フューチャーアーキテクトはITコンサルティング事業を担う子会社です。2016年の持株会社化で、本業がフューチャーアーキテクトに移りました。
Q
上場はいつですか?
A
1999年6月に日本証券業協会へ店頭登録し、2002年6月に東京証券取引所の市場第一部に上場しました。現在はプライム市場に属しています。
Q
他のITコンサルとの違いは?
A
業務改革の提案だけでなく、システムの設計・実装・運用までを自社グループで持つ点です。外注の比率を抑えてきたことが、高い利益率の源泉になっています。
Q
どんな候補者に向きますか?
A
SIerなどで開発やPMの経験があり、技術を手放さずに上流の意思決定に関わりたい候補者に向いています。
まとめ

フューチャーは1989年、システムを作る現場にいた金丸恭文氏が「作るべきものを決める側」に回るために創業した独立系のITコンサルティング会社である。系列の後ろ盾がないことが、業務改革と実装を一体で持つ形を定着させ、それが今も高い利益率の源泉になっている。2016年の持株会社化と連続買収で守備範囲を広げたが、利益の中心は創業事業のままである。

この記事の情報源

  • フューチャー株式会社「会社概要」(代表取締役の略歴、グループ構成)
  • フューチャー株式会社 有価証券報告書(2025年12月期)の沿革・セグメント情報
  • 同社の適時開示(2016年の持株会社制移行、各社の買収に関するお知らせ)
  • 沿革・業績を整理した公開データベース(The社史 ほか)
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.25
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