じげんは、求人、住まい、中古車、旅行など、生活に関わる情報サイトを横断して探せるサービスを数多く運営する会社です。人材領域では、求人情報をまとめて検索できるサービスなどを手がけています。
大企業の中で生まれ、経営陣が買い取って独立し、上場した。この珍しい来歴は、社内起業やMBOという選択肢を考える候補者にとって、具体的な参考例になります。
平尾丈氏は1982年、東京に生まれました。慶應義塾大学環境情報学部(SFC)に在学中、2社のITベンチャーを立ち上げ、学生起業家として知られる存在になります。
2005年、平尾氏は起業した会社の1社を経営したまま、リクルートに新卒で入社します。起業家がなぜ大企業に入るのか。平尾氏は、新人として参加した新規事業コンテストで複数入賞するなど、リクルートの中で新しい事業を作る経験を積んでいきました。
2006年、ネット企業のドリコムとリクルートグループが共同で出資し、「ドリコムジェネレーテッドメディア」が設立されます。これがじげんの前身です。平尾氏はリクルートからの出向として立ち上げに参画し、23歳でリクルートグループ最年少の取締役になりました。
2008年1月、平尾氏は25歳で代表取締役社長に就任します。同年3月には転職情報をまとめて検索できるサイト「転職EX」を始め、求人や住まいなど、生活情報のサイトを次々と立ち上げていきました。
2009年9月、社名を「じげん」に変えます。由来は「次元(dimension)」です。時間と空間を超えるメディアを作る、という意図が込められているといいます。
じげんの主力は「ライフメディアプラットフォーム」と呼ばれる事業です。求人サイトや不動産サイトは、それぞれが個別に情報を持っています。利用者は複数のサイトを行き来しなければなりません。
じげんのサービスは、複数のサイトの情報をまとめて検索できるようにします。利用者は一度に多くの選択肢を比べられ、掲載元のサイトは新しい利用者を得られる。企業と個人の間に立つ、BtoBtoCの形です。
| 個別の求人・不動産サイト | じげんの横断型サービス | |
|---|---|---|
| 情報 | 自社で集めた情報のみ | 複数のサイトの情報をまとめる |
| 利用者 | サイトごとに探す | 一度に比べられる |
| 収益 | 掲載する企業から | 送客先のサイトや企業から |
同社は「生活機会(より良く生きるための選択肢)の最大化」をミッションに掲げています。
2010年9月、じげんはMBO(経営陣による買収)で、ドリコムとリクルートグループから独立します。平尾氏は27歳でした。経営に専念するため、学生時代に立ち上げた会社の役員も退いています。
大企業の中で生まれた会社が、経営陣の手で外に出る。親会社の資源を使って立ち上げ、事業が軌道に乗ったところで独立するこの形は、社内起業の一つの出口です。
じげんは創業から長く連続で増収増益を続けたことで知られます。2013年の上場後は、M&Aにも積極的に取り組みました。人材、不動産、中古車、旅行など、生活に関わるさまざまな領域の会社を取り込み、運営するサービスは30以上に広がっています。
買収した会社に、じげんが得意とする集客とサイト運営のノウハウを入れて伸ばす。M&Aと統合(PMI)を成長の柱にしてきたことも、この会社の特徴です。
人材領域では、求人情報の横断検索が事業の出発点です。求職者がどこで求人を探すかという入口を押さえる事業であり、人材紹介の会社にとっても集客の構造を考える材料になります。
「じげんは、リクルートとドリコムの共同出資で生まれ、若手の社長がMBOで独立させた会社です。大企業の中で事業を立ち上げ、育てて外に出る、という道が現実にあることを示しています。」
「いつかは起業したい」という候補者に、すぐの独立だけでなく、大企業の中で新規事業を経験してから外に出るという道筋を示せます。リクルートの新規事業の文化とあわせて説明すると伝わりやすくなります。
じげんのような会社では、集客、サイト運営、M&A後の統合といった仕事の比重が大きくなります。自分が作る側か、束ねて届ける側か、どちらに関心があるかを確認すると、志望の方向がはっきりします。
じげんは2006年、ドリコムとリクルートグループの共同出資で生まれ、リクルートから出向した平尾丈氏が20代で経営を担った会社である。散らばった生活情報を横断して束ねる「ライフメディアプラットフォーム」を育て、2010年にMBOで独立、2013年に上場した。大企業の中で生まれ、育って外に出るという社内起業の一つの出口を示している。