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人材紹介の​基本契約書の​読み方返金規定​・​手数料​・​直接雇用禁止、​RA​が​最初に​確認すべき​9​条項

RA・法人営業 2026.09.11
この記事の要点

基本契約書は「法務が確認するもの」と思われがちですが、RAが読めないと、決定後の返金や手数料の争いで必ず損をします。確認すべきは9条項。そのうち手数料の定義・返金規定・直接採用禁止の3つは、RAが交渉で動かせる範囲を知っておくべき条項です。

※本記事は一般的な契約実務の解説であり、個別の契約に対する法的助言ではありません。契約締結の判断は弁護士等の専門家にご確認ください。

  • 最重要は①手数料の定義(理論年収に何を含むか) ②返金規定(期間と率) ③直接採用禁止(紹介後1〜2年)の3条項。
  • 企業側のひな形には「返金期間が長い」「理論年収から賞与を除く」「直接採用の手数料条項がない」といった不利な条件が潜む。
  • 交渉で動かせるのは料率・支払期日・返金の段階設定。動かせないのは法令上の義務(手数料表・労働条件明示)。

なぜRAが​契約書を​読む必要があるのか

人材紹介の基本契約書は、企業と紹介会社が取引開始時に一度だけ結ぶ契約です。個別の求人ごとに結び直すことは少なく、最初の契約が数年にわたって適用されます。

つまり、契約時の一つの条項が、その後の全決定に効きます。返金期間が3か月か6か月か、理論年収に賞与を含むか含まないか。この差は、年間で数百万円の粗利の差になります。

多くの会社では法務や管理部門が契約を確認しますが、企業と交渉するのはRAです。「この条項は当社では受けられない」「代わりにこの条件なら可能」と言えるかどうかは、RAが条項の意味を理解しているかにかかっています(基本契約の記事もあわせてどうぞ)。

9条項の全体像

基本契約書で確認すべき条項を9つに整理します。順番は、実務上の重要度です。

#条項確認すべき内容交渉余地
1手数料の定義理論年収の範囲(基本給・賞与・手当・みなし残業)、料率、消費税あり(料率・範囲)
2支払期日入社日起算か請求書起算か、何日以内かあり
3返金規定対象期間(1/3/6か月)、返金率、自己都合/会社都合の区別あり(段階設定)
4直接採用禁止紹介後に企業が直接採用した場合の手数料、期間(1〜2年)あり(期間)
5免責入社後の能力・勤務態度について紹介会社は保証しない原則あり
6個人情報・秘密保持候補者情報の目的外利用禁止、選考情報の管理法令に沿う
7契約期間・解除自動更新の有無、解除の予告期間あり
8反社会的勢力の排除表明保証と解除標準条項
9管轄裁判所紛争時の裁判所(企業の本店所在地が多い)小さい

条項①手数料の定義|​「理論年収」に何を含むか

手数料は通常「理論年収 × 料率」で定義されます。争点は理論年収の範囲です。

紹介会社側の標準は、基本給+諸手当+賞与(標準支給額)+みなし残業代を含めた「入社後1年間に支払われる見込みの総額」。一方、企業側のひな形では「基本給×12か月」のみと定義されていることがあり、この場合、賞与4か月分の企業なら手数料が25%減ります。

また、入社後に年収が変わった場合(内定時より高い条件で入社した、入社後すぐ昇給した)の扱いも確認が必要です。「内定通知書の条件で確定」とするのが一般的ですが、明記がないと争いになります。

料率は届け出た手数料表の範囲内で、企業ごとに設定できます。標準は30〜35%ですが、採用難易度によって40%以上を提示する交渉は可能です(手数料交渉の記事)。消費税が内税か外税かも明記させます。

条項③返金規定|期間と率の設計が粗利を決める

返金規定は、紹介した人が早期に退職した場合、手数料の一部を企業に返す取り決めです。RAにとって最も損益に直結する条項です。

一般的な設計は、退職時期に応じた段階的な返金率です。例えば「入社後1か月以内の退職:80%返金 / 3か月以内:50% / 6か月以内:20% / それ以降:返金なし」。紹介会社側は期間を短く・率を低く、企業側は期間を長く・率を高くしたい。ここが交渉の中心です。

確認する点が3つあります。自己都合退職のみか、会社都合(解雇・退職勧奨)も含むか。会社都合まで返金対象にする契約は、紹介会社に一方的に不利です。「退職」の定義は、退職の意思表示日か、退職日か。そして、返金ではなく「補充紹介」で代替できるか。返金の代わりに別の候補者を無償で紹介する選択肢があると、現金流出を避けられます。

企業側のひな形で「1年以内の退職は全額返金」という条項を見ることがあります。これは業界標準から大きく外れており、受けてはいけません。「当社の標準は6か月・段階制です」と提示し、それでも譲れない企業とは、取引の是非を判断することになります(求人の優先順位設計)。

← 図は横にスクロールできます →
1か月以内の退職 返金率80%(例) 3か月以内 50% 6か月以内 20% 6か月超 返金なし
期間と率の設計が、年間の粗利を左右する

条項④直接採用禁止|​紹介した候補者を​「直接」​採られないために

紹介会社が推薦した候補者を、企業がその時は見送り、後で直接採用する。これが起きると、紹介会社の手数料はゼロになります。これを防ぐのが直接採用(直接雇用)に関する条項です。

標準的な内容は、「紹介から1年(または2年)以内に、企業が当該候補者を直接または他の経路で採用した場合、紹介会社に所定の手数料を支払う」。期間は1〜2年が相場で、企業側は短く、紹介会社側は長くしたい。

企業側のひな形にはこの条項自体がないことがあります。ない場合は追加を求めてください。また、グループ会社や関連会社による採用も対象に含めるかを確認してください。

実務では、この条項を発動する場面は多くありませんが、あることが抑止力になります。「紹介した候補者は、ちゃんと手数料が発生する」という前提が企業側にあるかどうかで、選考の進め方が変わります。

企業側ひな形に潜む、​不利な条件の​見つけ方

企業から「当社のひな形で」と契約書を渡された場合、次の点を最初にチェックします。

理論年収の定義が基本給のみになっていないか。返金期間が6か月を超えていないか、会社都合退職まで返金対象になっていないか。直接採用禁止条項があるか。支払期日が「入社日から60日以内」など長すぎないか。そして、紹介会社が候補者の能力を保証するかのような、免責条項の欠落がないか。この5点です。

このうち最初の3点のどれかに問題があれば、自社のひな形を対案として出すのが実務的です。「御社のひな形は確認しました。当社の標準と異なる点が3点あるので、当社のひな形をベースに調整させていただけますか」。この提案を、RAが自分の言葉でできるかどうかです。

最後に、契約書は法務に任せる部分と、RAが理解すべき部分に分かれます。反社条項・管轄・秘密保持は法務の領域。手数料・返金・直接採用禁止はRAの領域です。この3条項を読めないRAは、企業との交渉で常に不利な立場に立つことになります(採用要件の再定義・他社と比較されたときの戦い方)。

よくある質問

Q
返金規定の標準はどれくらいですか?
A
入社後の退職時期に応じた段階制が一般的で、例えば1か月以内80%・3か月以内50%・6か月以内20%・それ以降は返金なし、といった設計です。1年以内全額返金といった条件は業界標準から大きく外れており、受けるべきではありません。
Q
理論年収には何を含めますか?
A
紹介会社側の標準は、基本給・諸手当・賞与(標準支給額)・みなし残業代を含めた入社後1年間の支給見込み総額です。企業側のひな形で「基本給×12か月」のみとされている場合、手数料が大きく減るため確認が必要です。
Q
直接採用禁止条項とは何ですか?
A
紹介した候補者を企業が一度見送った後に直接採用した場合、紹介会社に手数料を支払う取り決めです。期間は紹介後1〜2年が相場で、企業側のひな形にこの条項がない場合は追加を求めてください。
Q
RAは契約書のどこまで理解すべきですか?
A
反社条項・管轄・秘密保持は法務の領域ですが、手数料の定義・返金規定・直接採用禁止の3条項はRAが理解し、企業と交渉できるべき領域です。この3つを読めないと、交渉で常に不利な立場に立ちます。
まとめ

人材紹介の基本契約書は取引開始時に一度結ばれ、その後の全決定に適用される。確認すべき9条項のうち、手数料の定義(理論年収の範囲)・返金規定(期間と率)・直接採用禁止の3つはRAが交渉で動かせる領域であり、企業側のひな形には理論年収を基本給のみとする、返金期間が長い、直接採用禁止条項がないといった不利な条件が潜む。自社のひな形を対案として提示できるかが、RAの交渉力を決める。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.05
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