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Founding Story

アビームの​創業ストーリー・歴史デロイトから飛び出し、​「アジア発」を​選んだ45年

創業ストーリー 2026.09.21
この記事の要点

日本のコンサル業界で、最も社名がまぎらわしい歴史を持つファームです。「デロイト トーマツ コンサルティング」という同じ社名が、時期によって別の会社を指す。エンロン事件を機にデロイトから飛び出し、NECのもとで「アジア発」を掲げて世界へ出るまでの45年を、系譜から整理します。

  • 起点は1981年、等松・トウシュロス コンサルティング。トーマツ系のIT・業務コンサルだった。
  • エンロン事件とSOX法を機に、2003年にデロイトから世界に先駆けて独立した。
  • ABeam=「Asian Beam」+セーリング用語の二重の意味。ロゴがヨットなのはこのため。
  • 2004年にNECと資本提携、2015年に完全子会社。日系ファームとしてアジアから世界へ。
  • 2025年3月期の連結売上は1,598億円。経歴書の旧社名は、在籍の年で見分ける。

Chapter 01起点|1981年、​トーマツ系のIT会社として

FOUNDED
1981年
トーマツ系のIT会社として
INDEPENDENT
2003年
デロイトから独立
NEC
2015年
NECの完全子会社に
REVENUE
1,598億円
連結売上(2025年3月期)
PEOPLE
8,816名
連結社員(2025年4月)
GLOBAL
32拠点
世界の拠点

アビームの起点は1981年の等松・トウシュロス コンサルティングです。監査法人トーマツ系の、IT・業務コンサルティングの会社でした。

1997年にデロイト トーマツ コンサルティングへ改称し、グローバルのデロイト コンサルティングの一員になります。2001年にはデロイトシステムズ中部(現アビームシステムズ)を設立するなど、グループを広げていきました。

ここで覚えておきたいのは、この時期の「デロイト トーマツ コンサルティング」は、今のアビームの前身だということです。今同じ名前を名乗る会社とは、別の系統です(第4章)。

Chapter 02転機|エンロンとSOX法が、独立を促した

INDEPENDENCE
独立までの、4つの出来事
2002
エンロン事件とSOX法
会計事務所が監査先に監査以外のサービスを提供することが制限される。
2003.01
ブラクストンへ改称
既存のクライアントへの支援を続けるため、監査法人トーマツとの資本関係を解消する。
2003.03
デロイト本体は残る
デロイト コンサルティング本体も分離を検討したが、最終的にデロイトに留まる判断をした。
2003.11
アビームコンサルティングへ
日本法人だけが先に飛び出した形になった。
世界のデロイト コンサルティングのメンバーファームの中で、先駆けて分離独立したのが日本法人だった。

転機は2002年のエンロン事件の余波でした。米国でサーベンス・オクスレー法(企業改革法)が成立し、会計事務所が自ら監査する企業に監査以外のサービスを提供することが制限されます(Big4の歴史)。

同社は既存のクライアントへの支援を続けることを最優先し、監査法人トーマツとの資本関係を解消する道を選びました。2003年1月にブラクストンへ改称し、デロイト コンサルティングのメンバーファームの中で世界に先駆けて分離独立します。

興味深いのは、デロイト コンサルティング本体も同じ分離と改称を検討していたことです。しかし同年3月、本体は最終的にデロイトに留まる判断をしました。日本法人だけが先に飛び出したのです。

Chapter 03社名|ABeamに​込めた、二つの意味

ABEAM
社名に込められた、二つの意味
ASIAN BEAM
アジアの光
「Asian Beam」。アジア発のグローバルファームを目指すという宣言。
ABEAM
横風を、推進力に
セーリング用語で、横風を受けて進む状態。逆風すら力に変えるという意志。ロゴがヨットなのはこのため。

2003年11月1日、社名を「アビームコンサルティング」に改めました。同時にデロイト コンサルティングから台湾のコンサル部門を買収し、アジアでの足場を広げています。

一つは「Asian Beam(アジアの光)」。もう一つは、横風を受けて進む状態を指すセーリング用語の「アビーム」です。独立という逆風の中で生まれた会社が、「横風すら推進力に変える」と名乗ったことになります。

外資の看板を下ろした会社が、最初に選んだ言葉は「アジア」だった。20年以上たった今も、その立ち位置は変わっていない。

編集部の視点

Chapter 04同じ社名|二つの​系統を、​見分ける

TWO LINEAGES
「デロイト トーマツ コンサルティング」は、時期によって別の会社
現アビームの系統
現DTCの系統
1981等松・トウシュロス コンサルティング設立
トーマツ系のIT・業務コンサル
1993法人設立
トーマツ系の経営コンサル
1997デロイト トーマツ コンサルティングへ改称同じ社名
2003ブラクストン → アビームコンサルティングへ
SOX法を機にデロイトから独立
2008デロイト トーマツ コンサルティングへ改称
旧トーマツコンサルティング同じ社名
経歴書に「デロイト トーマツ コンサルティング」とあったら、在籍年を確認する。2003年以前なら現アビームの系統(IT系)、2008年以降なら現DTCの系統(経営系)。
アビームは2004年にNECと資本提携し、2015年に完全子会社となった。

転職支援の実務で、最も注意すべき点です。「デロイト トーマツ コンサルティング」という同じ社名が、時期によって別の会社を指します。

経歴書の在籍時期指している会社系統
1997〜2003年現在のアビームIT・業務コンサル
2008年以降現在のデロイト トーマツ コンサルティング経営コンサル(旧トーマツコンサルティング)

今「デロイト トーマツ コンサルティング」を名乗る会社は、かつてのトーマツ系の経営コンサル(旧トーマツコンサルティング)が2008年に改称したものです。在籍の年を確かめずに読むと、経験の意味を取り違えます。

Chapter 05NEC|​資本提携から、​完全子会社へ

NEC
外資系から日系へ。NECとの関係の深まり
デロイトのメンバーファーム1997〜2003 デロイト系アビームコンサルティング2003 独立・日系ファームにNEC日本の電機大手2004 資本提携資本提携のもとで成長2005〜 中国に開発拠点NECの完全子会社に2015 簡易株式交換日系資本のもとで「アジア発」を掲げ続ける
2004年の資本提携から、2015年の完全子会社化までは11年。独立直後の資本の受け皿となり、アジア展開を支えた。

独立したアビームの資本の受け皿になったのがNECです。2004年に戦略的な資本提携を結び、2015年には簡易株式交換でNECの完全子会社になりました。

外資系のメンバーファームから、日系の大企業グループの一員へ。この資本の変化が、意思決定の基準を変え、日本企業のアジア展開を支えるという立ち位置を選ぶ背景になっています。

Chapter 06アジア|​アジア発から、世界へ

ASIA TO GLOBAL
アジア発から、世界へ
2003
台湾
デロイト コンサルティングから台湾のコンサル部門を買収。
2005〜2012
中国の開発拠点
上海・西安・大連にグローバル・デリバリー・センターを設ける。
2018
ベトナム
オフィスを開き、東南アジアのデータ分析企業も買収する。
2025
米州
欧州のベリングポイントと合弁会社を作り、米州での体制を強める。
2026
インド
チェンナイとハイデラバードにオフィスを開き、開発の拠点を持つ。
NOW
世界32拠点
日本企業の海外展開を支える日系のグローバルファームに。
同社の公式サイトの沿革にもとづく。

「アジア発」という2003年の宣言は、拠点の広げ方にそのまま表れています。台湾から始まり、中国に開発拠点、ベトナム、そして2025年には欧州のベリングポイントと米州で合弁会社を作り、2026年にはインドに開発の拠点を開きました。

日系最大級のコンサルティングファームとして「Real Partner」を掲げ、日本企業の海外展開を支える立場を明確にしています。

Chapter 07成長|3年で、​売上は1.6倍に

REVENUE
連結売上の推移(億円・各年3月期)
991
2022
1,217
2023
1,408
2024
1,598
2025
同社の公表値にもとづく。3年で約1.6倍に伸びた。

連結売上は2025年3月期に1,598億円。3年前の991億円から約1.6倍に伸びました。連結の社員は8,816名(2025年4月)、世界の拠点は32にのぼります。

強みは、製造業や公共、SAPなどの基幹システムの導入、そしてアジアでの支援体制です。構想だけでなく、システムを入れて業務を変えるところまで担う。1981年にIT会社として始まった出自が、今も同社の性格を決めています。

Chapter 08年表|アビームの45年

TIMELINE
アビームの45年
TOHMATSU ─ トーマツ系として
1981
等松・トウシュロス コンサルティング設立監査法人トーマツ系のIT・業務コンサル
1997
デロイト トーマツ コンサルティングへ改称グローバルのデロイト コンサルティングに参加
2001
デロイトシステムズ中部を設立現在のアビームシステムズ
INDEPENDENCE ─ 独立
2002
エンロン事件とSOX法監査とコンサルの分離が求められる
2003
ブラクストン、そしてアビームへ1月に改称、11月にアビームコンサルティングに
NEC ─ 日系資本のもとで
2004
NECと戦略的資本提携
2005〜2012
上海・西安・大連に開発拠点
2015
NECの完全子会社に簡易株式交換による
2018
ベトナムにオフィス
GLOBAL ─ 世界へ
2025
ベリングポイントと米州で合弁連結売上1,598億円(3月期)
2026
インドにオフィスを開くチェンナイ・ハイデラバード
年は同社の公式サイトの沿革、公開資料で確認できたもの。

45年を並べると、トーマツ系として生まれ、デロイトから独立し、NECのもとで日系ファームとして世界へ出たという流れが見えます。

Chapter 09構造|ERPという、主戦場

アビームが強いのは、SAPなどの基幹システムの導入です。会計、生産、販売を一つのシステムで扱う。

この領域は、製品の知識と、業務の理解の両方が必要です。システムを知っているだけでは動かず、業務を知っているだけでは作れない。

候補者にこの領域を勧めるとき、ITと業務のどちらから入るかで必要な準備が変わることを伝える必要があります。

Chapter 10実務|日系と​外資の、​働き方の違い

コンサルティングファームを日系と外資で比べるとき、違いは待遇だけではありません。

外資系日系
評価成果が明確に処遇へプロセスも見られる傾向
昇進速いが、上がらなければ退出圧力段階的
案件グローバル案件がある日系企業が中心
語学必要になる場面が多い案件による
在籍期間数年での転身が前提長期在籍もある

「アップ・オア・アウト」という言葉があります。昇進できなければ退出を促されるという文化です。これが合う人と合わない人がいます。

年収の水準だけで比較すると、この違いが見えません。3年後にどうなっているかまで含めて示すことが、誠実な提示になります。

Chapter 11実務|候補者に、この​来歴をどう語るか

歴史今日の特徴候補者への伝え方
IT会社として始まったSAPなど基幹システムの導入に強いシステムの導入から業務改革まで担いたいか
「アジア発」を掲げた日本企業の海外展開を支える海外案件やアジアに関わりたいか
NECグループの一員日系らしい、腰を据えた支援外資の速さより、日系の粘り強さが合うか

そして何より、経歴書の「デロイト トーマツ コンサルティング」は在籍の年で読むこと。2003年以前なら現アビームの系統、2008年以降なら現DTCの系統です。この判別ができるエージェントは、候補者と企業の両方から信頼されます。

現在の年収・働き方は企業ページ、他のファームとの比較は歴史シリーズのハブで扱っています。

For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
外資系と日系を比較するとき

資本が変わると優先順位が変わります。意思決定がどこで行われるかを確認してください。

ERP領域を支援するとき

製品の知識と業務の理解の両方が必要です。どちらから入るかで準備が変わります。

日系ファームの伸長を説明するとき

単価と成果の釣り合い、そして外資からの人材の流入が背景にあります。

KEY POINTS
この記事のポイント
1起点|1981年、トーマツ系のIT会社として監査法人トーマツ系の、IT・業務コンサルティングの会社でした。1997年に デロイト トーマツ コンサルティング へ改称し、グローバルのデロイト コンサルティングの一員になります。
2転機|エンロンとSOX法が、独立を促した2003.01 ブラクストンへ改称 既存のクライアントへの支援を続けるため、監査法人トーマツとの資本関係を解消する。2003.03 デロイト本体は残る デロイト コンサルティング本体も分離を検討したが、最終的にデロイトに留まる判断をした。
3社名|ABeamに込めた、二つの意味ABEAM 横風を、推進力に セーリング用語で、横風を受けて進む状態。逆風すら力に変えるという意志。

この記事の情報源

  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
アビームの社名の由来は?
A
「Asian Beam(アジアの光線・力)」と、セーリング用語の「アビーム」(横風を受けて進む状態)の二重の意味です。ロゴがヨットをモチーフにしているのはこのためです。
Q
アビームとデロイト トーマツ コンサルティングの関係は?
A
アビームの前身が1997〜2003年に「デロイト トーマツ コンサルティング」を名乗っていました。現在DTCを名乗る会社は旧トーマツコンサルティング(経営系)が2008年に改称したもので、別の系統です。
Q
なぜデロイトから独立したのですか?
A
エンロン事件後の米サーベンス・オクスレー法により、会計事務所が監査先へ監査以外のサービスを提供することが制限されたためです。既存クライアントへの支援継続を優先し、2003年に資本関係を解消しました。
Q
アビームとNECの関係は?
A
2004年にNECと戦略的な資本提携を結び、2015年に簡易株式交換でNECの完全子会社になりました。
Q
アビームの規模はどれくらいですか?
A
2025年3月期の連結売上は1,598億円、連結の社員は8,816名(2025年4月1日時点)で、世界に32の拠点があります。
Q
アビームの海外展開は?
A
2003年の台湾を皮切りに、中国の開発拠点、ベトナムへ広げ、2025年には欧州のベリングポイントと米州で合弁会社を設立、2026年にはインドにオフィスを開きました。
Q
アビームコンサルティングの経緯は?
A
1981年に監査法人系のコンサルとして設立され、2004年にNECと資本提携し、2015年に完全子会社となって日系資本へ転換しました。
Q
資本が変わると何が変わりますか?
A
意思決定が国内で完結する一方、グローバルネットワークの知見は薄くなります。撤退のリスクは下がります。
Q
なぜアジアを掲げるのですか?
A
欧米企業の事例がそのままアジア企業に当てはまらないためです。現地の前提の理解が競争力になります。
まとめ

アビームは1981年に監査法人トーマツ系のIT会社として発足し、1997年にデロイト トーマツ コンサルティングへ改称、エンロン事件後のSOX法を機に2003年に独立してアビームコンサルティングとなった。2004年にNECと資本提携し2015年に完全子会社となり、「アジア発」を掲げて米州・インドまで拠点を広げている。現在のDTCとは別系統であり、経歴書の読解には在籍年の確認が欠かせない。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.21
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