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Firm History

Big4​の​歴史1845​年​ロンドンから、​なぜ​4​社になったのか

業界・制度 2026.09.07
この記事の要点

Big4の源流は19世紀ロンドンの鉄道ブームにあります。6つの事務所が合併を重ねてBig8となり、15年で4社に。最後の一歩は合併ではなく、一社の消滅でした。そして日本のBig4コンサルは、成立年も経緯もまったくバラバラです。

  • 源流は1845年のデロイトをはじめ、19世紀から20世紀初めの6つの事務所。
  • 1987年KPMG→1989年EY・デロイト&トウシュ→1998年PwC→2002年アンダーセン解体で、Big8はBig4になった。
  • エンロン事件とSOX法で、監査とコンサルの分離が世界的な原則になった。
  • いまの売上はデロイト705億ドルが最大。4社合計で約2,204億ドル(2025年度)。
  • 日本のコンサル法人はDTC1993年/KPMG2014年/PwC2016年/EYSC2020年と成立年がバラバラ。
この記事はコンサルティングファームの歴史(全11ファーム)のシリーズです。

Chapter 01源流|19世紀ロンドンの、​鉄道ブームから

OLDEST
1845年
最も古い源流・デロイト
BIG EIGHT
8社
かつての大手8事務所
YEARS
15年
8社が4社になるまで
COLLAPSE
2002年
アンダーセンが解体
REVENUE
2,204億ドル
4社の売上合計(2025年度)
JAPAN
1993年
日本で最も古いBig4コンサル

Big4の源流は、いずれも19世紀のロンドンと、20世紀初めのアメリカにあります。背景は鉄道投資のブームでした。他人のお金を預かって巨大な設備を作る会社が急に増え、その数字を誰かが検証しなければならなくなった。ここから会計という職業が生まれます。

SIX ROOTS
6つの源流は、すべて19世紀から20世紀初めに
1845 LONDON
デロイト
ウィリアム・ウェルチ・デロイトがロンドンで事務所を開く。
1849 LONDON
プライス(のちのPwC)
サミュエル・L・プライスの事務所。
1854 LONDON
クーパー(のちのPwC)
ウィリアム・クーパーの事務所。1998年にプライス系と合流する。
1870 LONDON
KPMGの源流
ロンドンで設立された事務所。
1903 USA
アーンスト(のちのEY)
A.C.アーンストが兄と開いた事務所。
1906 USA
ヤング(のちのEY)
アーサー・ヤングの事務所。1989年にアーンスト系と合流する。
背景にあったのは鉄道投資のブーム。他人のお金で巨大な設備を作る会社が増え、その数字を検証する仕事が生まれた。

6つの事務所は、20世紀を通じて国際提携と合併を繰り返し、やがて「Big8」と呼ばれる大手8社にまとまっていきます。

Chapter 02合併|8社が4社になった15年

MERGERS
Big8がBig4になるまで(1987〜2002年)
Big8→Big6→Big5→Big4
1987
ピート・マーウィック
KMG(Big8外の事務所)
→
KPMG
1989
アーンスト&ウィニー
アーサー・ヤング
→
EY
1989
デロイト・ハスキンズ&セルズ
トウシュ・ロス
→
デロイト
1998
プライス・ウォーターハウス
クーパース&ライブランド
→
PwC
2002
アーサー・アンダーセン
→
解体
1987年のKPMG誕生は、Big8の1社(ピート・マーウィック)とBig8外の事務所の合併のため、社数は変わらない。社数が減ったのは1989年の2つの合併、1998年の合併、そして2002年のアーサー・アンダーセンの消滅による。

Big8は、わずか15年で4社に絞られました。ただし1987年のKPMG誕生は、Big8の1社とBig8の外の事務所の合併だったため、社数は変わりません。社数を減らしたのは、1989年の二つの合併、1998年の合併、そして2002年の消滅です。

年出来事大手の数
1987ピート・マーウィックとKMGが合併しKPMG誕生Big8のまま
1989EYとデロイト&トウシュが誕生Big6
1998プライス・ウォーターハウスとクーパース&ライブランドが合併しPwC誕生Big5
2002アーサー・アンダーセンが解体Big4

Chapter 03消滅|最後の​一歩は、​合併ではなかった

Big5がBig4になった最後の一歩は、合併ではなく一社の消滅でした。

2001年、米エネルギー大手エンロンの巨額の不正会計が発覚します。監査を担っていたアーサー・アンダーセンは、不正への関与と証拠隠滅を問われて信用を失い、2002年に事実上解体されました。同社のコンサル部門は、その直前に独立してアクセンチュアになっていました。

監査をする会社が、同じ相手にコンサルもする。その危うさを、世界は一つの会社の消滅で知った。

編集部の視点

エンロン事件をきっかけに、2002年に米国でサーベンス・オクスレー法(企業改革法)が成立し、会計事務所が自ら監査する企業に監査以外のサービスを提供することが制限されます。監査とコンサルの分離が世界的な原則になり、日本ではこれがアビームの独立につながりました。

Chapter 04規模|いまの4社を、比べる

REVENUE
いまの4社の売上(億ドル・2025年度)
デロイト705
PwC569
EY532
KPMG398
各社の発表による。決算期はデロイトが5月、PwCとEYが6月、KPMGが9月。4社の合計は約2,204億ドル。

現在の4社の売上は、デロイトが705億ドルで最大、PwC、EY、KPMGと続きます。4社の合計は約2,204億ドル、社員は合わせて150万人を超えます。

いずれも監査・税務・コンサル(アドバイザリー)の3つを柱に持ちますが、どの柱が大きいかは会社によって違います。たとえばPwCはアドバイザリーが最大の事業で、EYは監査の比重が大きい会社です。候補者が「Big4」とひとくくりに語るとき、その違いを補ってあげられるとよいでしょう。

Chapter 05日本|成立年が、​バラバラな4社

JAPAN
日本のBig4コンサル、いまの法人ができた年
デロイト トーマツ コンサルティング1993年〜
KPMGコンサルティング2014年〜
PwCコンサルティング2016年〜
EYストラテジー・アンド・コンサルティング2020年〜
棒の長さは、2026年時点での法人の年数。DTCは1993年設立の法人が2008年に現在の名称になった。

日本のBig4コンサルは、グローバルの系譜と日本独自の監査法人の再編が絡み合い、成立の経緯がまったく違います。

ファーム日本法人の成立源流の特徴
デロイト トーマツ コンサルティング1993年設立/2008年に現名称監査法人トーマツ系。「トーマツ」は日本人会計士・等松農夫蔵に由来
PwCコンサルティング2016年2月に合同会社設立旧ベリングポイント日本法人(朝日アーサー・アンダーセン+KPMGコンサル)が源流の一つ
KPMGコンサルティング2014年7月設立一度なくなった日本のコンサル機能を再構築
EYストラテジー・アンド・コンサルティング2020年10月設立Big4コンサルで最も新しい法人。戦略のEY-Parthenonを内包

なお、Big4の中でグローバルの名称に日本人の名前が入っているのはデロイトだけです(Deloitte Touche Tohmatsu)。

Chapter 06PwC|最も​数奇な、日本の系譜

PWC JAPAN
アンダーセンとKPMGの日本部門が、巡り巡ってPwCに
朝日アーサー・アンダーセンアンダーセン系KPMGコンサルティングKPMG系ベリングポイント日本法人2002 二つの事業が統合PwCが取得2009 経営破綻の後にPwCコンサルティング2016年2月 合同会社を設立
PwCは2002年に自らのコンサル部門をIBMへ売却しており、競業避止の期間を経て、日本ではこの経路でコンサルを再構築した。

4社の中で最も入り組んだ経路をたどったのがPwCコンサルティングです。PwCは2002年にコンサル部門をIBMへ売却し、競業避止の期間が明けてから再構築に乗り出しました。

2009年に取得したのが、経営破綻したベリングポイントの日本法人です。そのベリングポイント日本法人自体が、2002年に朝日アーサー・アンダーセンとKPMGコンサルティングの事業統合で生まれた会社でした。つまりアンダーセンとKPMGの日本のコンサル部門が、巡り巡ってPwCになったのです。

グローバルでは2014年に戦略ファームのブーズ・アンド・カンパニーを統合し、「Strategy&」としています。

Chapter 07再編|監査法人側の、ねじれ

コンサルの系譜と表裏一体だったのが、日本の監査法人の再編です。

年出来事
2000太田昭和(EY系)とセンチュリー(KPMG系)が統合し、新日本監査法人に
2003KPMG部門が独立し、あずさへ
2004朝日監査法人と(旧)あずさが合併し、現在のあずさ監査法人が成立

グローバルの提携関係と国内の組み合わせが食い違う「ねじれ」が解消されるまで、数年を要しました。

Chapter 08年表|Big4の180年

TIMELINE
Big4の180年
ROOTS ─ 19世紀ロンドン
1845
デロイトが創業鉄道投資ブームの中で
1849/1854
プライス、クーパーが創業のちにPwCとなる二つの源流
1870
KPMGの源流が設立
1903/1906
アーンスト、ヤングが創業のちにEYとなる二つの源流
MERGERS ─ Big8からBig4へ
1987
KPMGが誕生Big8の再編が始まる
1989
EYとデロイト&トウシュが誕生Big6に
1998
PwCが誕生Big5に
2002
アーサー・アンダーセンが解体エンロン事件。Big4体制に
JAPAN ─ 日本のコンサル
2008
デロイト トーマツ コンサルティングが現名称に1993年設立の法人が起点
2009
PwCがベリングポイント日本法人を取得
2014
KPMGコンサルティングが誕生
2016
PwCコンサルティング合同会社を設立
2020
EYストラテジー・アンド・コンサルティングを設立Big4コンサルで最も新しい法人
年は各社の公式サイトと公開資料で確認できたもの。

180年を並べると、19世紀に生まれ、20世紀に合併を重ね、21世紀の最初の年に一社が消えて4社になったという流れが見えます。日本のコンサル法人の成立は、その後の話です。

Chapter 09実務|経歴書の​社名を、​正しく読む

この歴史は、転職支援で実利があります。候補者の経歴にある社名がいつの時点の、どの系統を指すのか。それを読み解けなければ、経験の意味を取り違えます。

経歴書の記載確認すること
デロイト トーマツ コンサルティング在籍が2003年以前なら現アビームの系統(アビームの歴史)
ベリングポイントアンダーセンやKPMGのコンサルの流れ。現在のPwCにつながる
朝日アーサー・アンダーセン監査かコンサルか。2002年前後で所属先が変わっている可能性
新日本監査法人現在のEY新日本。2000年の統合前の在籍なら出身母体を確認

各社の現在の年収・働き方はコンサルの年収記事、他のファームとの比較は歴史シリーズのハブで扱っています。

よくある質問

Q
なぜBig4は4社なのですか?
A
かつてBig8と呼ばれた8事務所が、1989年のEY誕生とデロイト&トウシュ誕生、1998年のPwC誕生という合併で5社になり、2002年のアーサー・アンダーセン解体で4社になりました。最後の一歩だけは合併ではなく消滅です。
Q
Big4の中で最も売上が大きいのは?
A
2025年度はデロイトが705億ドルで最大です。PwCが569億ドル、EYが532億ドル、KPMGが398億ドルと続きます。
Q
デロイトの「トーマツ」とは何ですか?
A
日本人会計士の等松農夫蔵に由来します。Big4の中でグローバル名称に日本人の名前が入っているのはデロイトだけです。
Q
PwCコンサルティングの源流は?
A
2009年にPwCが取得したベリングポイント日本法人が源流の一つで、同社は2002年に朝日アーサー・アンダーセンとKPMGコンサルティングの事業統合で生まれた会社でした。2016年2月に現在のPwCコンサルティング合同会社が設立されています。
Q
日本で最も新しいBig4コンサルはどこですか?
A
2020年10月に設立されたEYストラテジー・アンド・コンサルティングです。KPMGコンサルティングは2014年、PwCコンサルティングは2016年に現在の法人ができました。
Q
エンロン事件はBig4にどう影響しましたか?
A
監査を担っていたアーサー・アンダーセンが2002年に事実上解体され、Big5がBig4になりました。さらに米国でサーベンス・オクスレー法が成立し、監査とコンサルの分離が世界的な原則になりました。
まとめ

Big4は19世紀ロンドンの会計事務所を源流とし、1989年・1998年の合併と2002年のアーサー・アンダーセン解体を経て4社体制になった。エンロン事件は監査とコンサルの分離を世界的な原則にし、日本ではアビームの独立につながった。日本のBig4コンサルは成立年も経緯もバラバラで、特にPwCコンサルはアンダーセンとKPMGの日本部門を源流に持つ。経歴書の社名は、在籍の年と系統を確かめて読む必要がある。

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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.05
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