Big4の源流は19世紀ロンドンの鉄道ブームにあります。6つの事務所が合併を重ねてBig8となり、15年で4社に。最後の一歩は合併ではなく、一社の消滅でした。そして日本のBig4コンサルは、成立年も経緯もまったくバラバラです。
Big4の源流は、いずれも19世紀のロンドンと、20世紀初めのアメリカにあります。背景は鉄道投資のブームでした。他人のお金を預かって巨大な設備を作る会社が急に増え、その数字を誰かが検証しなければならなくなった。ここから会計という職業が生まれます。
6つの事務所は、20世紀を通じて国際提携と合併を繰り返し、やがて「Big8」と呼ばれる大手8社にまとまっていきます。
Big8は、わずか15年で4社に絞られました。ただし1987年のKPMG誕生は、Big8の1社とBig8の外の事務所の合併だったため、社数は変わりません。社数を減らしたのは、1989年の二つの合併、1998年の合併、そして2002年の消滅です。
| 年 | 出来事 | 大手の数 |
|---|---|---|
| 1987 | ピート・マーウィックとKMGが合併しKPMG誕生 | Big8のまま |
| 1989 | EYとデロイト&トウシュが誕生 | Big6 |
| 1998 | プライス・ウォーターハウスとクーパース&ライブランドが合併しPwC誕生 | Big5 |
| 2002 | アーサー・アンダーセンが解体 | Big4 |
Big5がBig4になった最後の一歩は、合併ではなく一社の消滅でした。
2001年、米エネルギー大手エンロンの巨額の不正会計が発覚します。監査を担っていたアーサー・アンダーセンは、不正への関与と証拠隠滅を問われて信用を失い、2002年に事実上解体されました。同社のコンサル部門は、その直前に独立してアクセンチュアになっていました。
監査をする会社が、同じ相手にコンサルもする。その危うさを、世界は一つの会社の消滅で知った。
編集部の視点エンロン事件をきっかけに、2002年に米国でサーベンス・オクスレー法(企業改革法)が成立し、会計事務所が自ら監査する企業に監査以外のサービスを提供することが制限されます。監査とコンサルの分離が世界的な原則になり、日本ではこれがアビームの独立につながりました。
現在の4社の売上は、デロイトが705億ドルで最大、PwC、EY、KPMGと続きます。4社の合計は約2,204億ドル、社員は合わせて150万人を超えます。
いずれも監査・税務・コンサル(アドバイザリー)の3つを柱に持ちますが、どの柱が大きいかは会社によって違います。たとえばPwCはアドバイザリーが最大の事業で、EYは監査の比重が大きい会社です。候補者が「Big4」とひとくくりに語るとき、その違いを補ってあげられるとよいでしょう。
日本のBig4コンサルは、グローバルの系譜と日本独自の監査法人の再編が絡み合い、成立の経緯がまったく違います。
| ファーム | 日本法人の成立 | 源流の特徴 |
|---|---|---|
| デロイト トーマツ コンサルティング | 1993年設立/2008年に現名称 | 監査法人トーマツ系。「トーマツ」は日本人会計士・等松農夫蔵に由来 |
| PwCコンサルティング | 2016年2月に合同会社設立 | 旧ベリングポイント日本法人(朝日アーサー・アンダーセン+KPMGコンサル)が源流の一つ |
| KPMGコンサルティング | 2014年7月設立 | 一度なくなった日本のコンサル機能を再構築 |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 2020年10月設立 | Big4コンサルで最も新しい法人。戦略のEY-Parthenonを内包 |
なお、Big4の中でグローバルの名称に日本人の名前が入っているのはデロイトだけです(Deloitte Touche Tohmatsu)。
4社の中で最も入り組んだ経路をたどったのがPwCコンサルティングです。PwCは2002年にコンサル部門をIBMへ売却し、競業避止の期間が明けてから再構築に乗り出しました。
2009年に取得したのが、経営破綻したベリングポイントの日本法人です。そのベリングポイント日本法人自体が、2002年に朝日アーサー・アンダーセンとKPMGコンサルティングの事業統合で生まれた会社でした。つまりアンダーセンとKPMGの日本のコンサル部門が、巡り巡ってPwCになったのです。
グローバルでは2014年に戦略ファームのブーズ・アンド・カンパニーを統合し、「Strategy&」としています。
コンサルの系譜と表裏一体だったのが、日本の監査法人の再編です。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2000 | 太田昭和(EY系)とセンチュリー(KPMG系)が統合し、新日本監査法人に |
| 2003 | KPMG部門が独立し、あずさへ |
| 2004 | 朝日監査法人と(旧)あずさが合併し、現在のあずさ監査法人が成立 |
グローバルの提携関係と国内の組み合わせが食い違う「ねじれ」が解消されるまで、数年を要しました。
180年を並べると、19世紀に生まれ、20世紀に合併を重ね、21世紀の最初の年に一社が消えて4社になったという流れが見えます。日本のコンサル法人の成立は、その後の話です。
この歴史は、転職支援で実利があります。候補者の経歴にある社名がいつの時点の、どの系統を指すのか。それを読み解けなければ、経験の意味を取り違えます。
| 経歴書の記載 | 確認すること |
|---|---|
| デロイト トーマツ コンサルティング | 在籍が2003年以前なら現アビームの系統(アビームの歴史) |
| ベリングポイント | アンダーセンやKPMGのコンサルの流れ。現在のPwCにつながる |
| 朝日アーサー・アンダーセン | 監査かコンサルか。2002年前後で所属先が変わっている可能性 |
| 新日本監査法人 | 現在のEY新日本。2000年の統合前の在籍なら出身母体を確認 |
各社の現在の年収・働き方はコンサルの年収記事、他のファームとの比較は歴史シリーズのハブで扱っています。
Big4は19世紀ロンドンの会計事務所を源流とし、1989年・1998年の合併と2002年のアーサー・アンダーセン解体を経て4社体制になった。エンロン事件は監査とコンサルの分離を世界的な原則にし、日本ではアビームの独立につながった。日本のBig4コンサルは成立年も経緯もバラバラで、特にPwCコンサルはアンダーセンとKPMGの日本部門を源流に持つ。経歴書の社名は、在籍の年と系統を確かめて読む必要がある。
記事の内容を前提にして、あなたの状況に合わせた答えをAIに出させます。質問を入れて「ChatGPTで相談」または「Claudeで相談」を押すと、記事の要点と質問がセットになった状態で開きます。