学情は、学生と20代の若手社会人に特化した就職・転職情報の会社です。新卒向けのダイレクトリクルーティングサイトと、20代向けの転職サイト「Re就活」を主力にしています。
大企業の陰に隠れがちな中堅・中小企業と、若い人材をどう出会わせるか。広告代理店から始まったこの会社は、その問いに答え続けてきました。
中井清和氏は1948年、大阪府に生まれました。新聞奨学生として働きながら近畿大学法学部を卒業し、1972年に広告会社に入ります。営業職として、部署の売上のほぼ半分を一人で稼ぐほどだったといいます。
ところが勤め先が経営危機に陥り、大幅な人員削減が行われます。20代だった中井氏は対象外でしたが、会社の現実を目の当たりにして、そこに自分の将来を託す気にはなれなかったと語っています。1976年、28歳で退職し、元部下とともに大阪で独立しました。
石油ショック後の不況のなかでの船出でしたが、会社は初年度から黒字でした。その後も赤字を出したのは、2009年のリーマン・ショックのときの一度だけだといいます。
広告代理店の事業は、思ったほど利益が出ませんでした。そこで中井氏は1981年、就職情報事業に進出します。「学生就職情報センター」を設立し、就職情報誌「学生就職ガイド」を刊行しました。
当時、学生の就職活動は、自宅に届く就職情報誌を見て企業に応募する形でした。しかし学生に名前を知られていない中堅・中小企業は、学生との接点を持てずに苦戦していました。
それなら、学生と企業が直接出会う場を作ればいい。学情は日本初の合同企業説明会「就職博」を開催します。多くの企業が一つの会場にブースを並べ、学生が回って話を聞く形は、今では新卒採用の定番になっています。
学情は1995年、日本初のインターネット就職情報サイトを始めたとしています。まだインターネットが一般に普及する前のことです。就職情報誌の会社が、自らの主力媒体を置き換えかねない領域に早く踏み出しました。
2013年には朝日新聞社・朝日学生新聞社と資本業務提携し、新卒向けサイト「あさがくナビ」を展開します。一括エントリーを排除し、学生と企業のマッチングを促す仕組みを取り入れ、のちにダイレクトリクルーティングサイト(企業が学生に直接声をかける形)として会員数で首位を獲得したと発表しています。
学情のもう一つの柱が、20代向けの転職サイト「Re就活」です。新卒で入社して数年以内に辞めた「第二新卒」や、社会人経験の浅い若手は、かつて転職市場で扱いにくい層とされていました。経験が浅く、紹介の手数料も取りにくいからです。
学情はこの層に正面から向き合い、20代に特化した転職サイトを育てました。会員数は200万人を超え、20代の女性向け、20代のITエンジニア向けのサービスにも広げています。
| 一般的な転職市場 | 学情が向き合う市場 | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 経験を積んだ30代以上が中心 | 学生と20代の若手 |
| 企業側 | 即戦力を求める | ポテンシャルで採りたい中堅・中小も多い |
| 出会い方 | 経験・スキルでの検索 | 合同説明会、スカウト、動画など |
新卒と中途の間にいる若手を、新卒採用のノウハウで支える。これが学情の立ち位置です。
2022年、中井清和氏は会長となり、長男の中井大志氏が社長に就きました。同じ年、東証の市場再編でプライム市場に移り、パーパス「つくるのは、未来の選択肢」を定めています。
縦型の就活動画サービスや、活躍する社員へのインタビュー動画など、若い世代の情報の受け取り方に合わせたサービスも増やしています。創業から50年近く、若い人と企業の出会い方を作り替え続けてきた会社です。
「学情は、知名度の低い中堅・中小企業と若い人が出会う場を作ってきた会社です。大手だけでなく、名前を知らない良い会社にも目を向けると、選択肢が大きく広がります。」
20代の候補者は、知っている会社の名前だけで選びがちです。知名度と働きやすさは別物であることを伝えるとき、合同企業説明会が生まれた背景は良い材料になります。
学情の来歴は、集客の場を作る側の仕事の例です。求人広告、合同説明会、スカウト、動画。企業と人の出会い方そのものを設計する仕事に関心があるかを聞くと、紹介と媒体のどちらに向くかが見えてきます。
学情は1976年、勤め先の人員削減を見て28歳で独立した中井清和氏が大阪で創業した広告代理店が起点である。1981年に就職情報へ進出し、日本初の合同企業説明会で知名度の低い企業と学生の出会いの場を作った。インターネットへの早い移行と20代向けの「Re就活」で、若手の就職・転職市場を開いてきた。