この記事の要点
- KPMGコンサルティングは2014年7月、KPMGマネジメントコンサルティング、KPMGビジネスアドバイザリー、あずさ監査法人のITアドバイザリー部門を統合して設立された。
- KPMGは日本でも1997年にコンサル会社を作っていたが、エンロン事件後の監査とコンサルの分離の流れでベリングポイントとなり、のちにPwCの傘下に入った。
- つまりKPMGは、日本で一度コンサルの機能を失い、2011年からゼロで作り直した。
- 2014年に数十名で出発した組織は、10年あまりで2,000名を超える規模になった。
KPMGコンサルティングは、世界4大会計事務所(Big4)の一つKPMGの日本におけるコンサルティングファームです。経営戦略、業務改革、リスク管理、ITなどを幅広く支援します。
Big4の中で「若いファーム」と見られがちですが、その背景には、一度コンサル部門を手放し、作り直したという来歴があります。会計事務所とコンサルの関係の歴史を知ると、この会社の立ち位置が見えてきます。
Chapter 01|源流会計事務所の中の、コンサル
KPMGの歴史は、19世紀の英国や米国、オランダの会計事務所にさかのぼります。1987年、ピート・マーウィックと、クラインベルド・メイン・ゲルデラーという2つの会計事務所グループが合併してKPMGが生まれました。日本では、前身の一つが1949年に事務所を開いています。
会計事務所は、監査の仕事を通じて企業の内部をよく知っています。そこから、経営や業務、システムについての助言、つまりコンサルティングの仕事が育っていきました。ちなみに、エグゼクティブサーチのコーン・フェリーの創業者2人も、このピート・マーウィックの出身です。
KPMGの誕生
1987年、2つの会計事務所グループの合併
日本での始まり
前身の一つが1949年に事務所を開設
現在のファーム
2014年7月、KPMGコンサルティングとして設立
設立時の規模
数十名
Chapter 02|分離エンロン事件と、監査とコンサルの分離
日本では1997年、KPMGのメンバーファームとしてKPMGグローバルソリューションが設立され、2000年にKPMGコンサルティングに社名を変えました。
ところが2001年、米エネルギー大手エンロンの不正会計事件が起きます。監査を担当していた会計事務所が、同じ企業にコンサルティングも提供していたことが独立性の問題として厳しく批判されました。監査する相手から多額のコンサル料を受け取っていれば、厳しい監査ができないのではないか、という疑念です。
この流れの中で、会計事務所はコンサル部門を切り離していきます。米国のKPMGコンサルティングはベリングポイントに名前を変え、日本法人も2002年、アンダーセン系のコンサル会社と統合してベリングポイントになりました。
監査する相手に、コンサルも売ってよいのか。
この問いが、Big4のコンサル部門の形を何度も変えてきた。
Chapter 03|消滅日本のKPMGから、コンサルが消える
その後、米ベリングポイントの経営が行き詰まると、日本のベリングポイントは2009年に分離・独立し、PwCのメンバーファームになりました。これが今のPwCコンサルティングの源流の一つです。
こうして、1997年に始まったKPMGのコンサルの流れは、日本のKPMGからは消えました。KPMGが作ったコンサル組織が、結果として競合のPwCの一部になったのです。
自分たちが育てたコンサル部門が、競合の土台になる。Big4の再編は、それほど入り組んでいる。Big4のコンサル再編
Chapter 04|再構築2011年から、ゼロで作り直す
時代は再び変わり、監査とコンサルの分離のルールを守りながら、Big4各社はコンサルティングを強化していきます。KPMGジャパンもコンサル機能の再構築に着手し、2011年にKPMGマネジメントコンサルティング、2012年にKPMGビジネスアドバイザリーを設立しました。
そして2014年7月、この2社に、あずさ監査法人のITアドバイザリー部門を加えて統合し、KPMGコンサルティングが生まれます。出発時の規模は数十名。デロイト、PwC、EYと比べると、明らかに後発でした。
それから10年あまりで、組織は2,000名を超える規模に広がりました。後発だったからこそ、既存の組織の慣習に縛られずに作れた面もあります。
Chapter 05|年表KPMGコンサルティングの歩み
1949KPMGの前身が日本に事務所を開設監査業務から
1987会計事務所グループの合併でKPMGが誕生
1997KPMGグローバルソリューションを設立日本でのコンサル会社
2000KPMGコンサルティングに社名変更
2001エンロン事件監査とコンサルの分離が進む
2002日本法人がベリングポイントにKPMGから離れる
2009ベリングポイント(日本)がPwCの傘下に日本のKPMGからコンサルの流れが消える
2011〜2012コンサル2社を新たに設立再構築の始まり
2014.07KPMGコンサルティングを設立2社とあずさのIT部門を統合。数十名で出発
Chapter 06|比較Big4のコンサルを並べてみる
| KPMGコンサルティング | デロイト トーマツ | PwCコンサルティング |
|---|
| 日本での現体制の起点 | 2014年(再構築) | 監査法人から発展 | ベリングポイントの買収などを経て |
|---|
| 特徴 | 後発で組織が若い | 規模が大きく領域が広い | KPMG・アンダーセン系の流れも含む |
|---|
| 向く候補者像 | 立ち上げ期の組織で役割を広げたい人 | 大規模な案件と幅広い経験 | 戦略から実行まで |
|---|
デロイト トーマツ、PwCコンサルティング、アクセンチュアの創業ストーリーとあわせて読むと、会計事務所とコンサルの関係の歴史が整理できます。
Chapter 07|実務候補者に、この来歴をどう語るか
Big4を比べている候補者に
TALK SCRIPT
「KPMGコンサルティングは、KPMGが一度コンサル部門を失い、2014年に数十名から作り直したファームです。Big4の中では組織が若く、自分で役割を広げていける余地があります。」
Big4の違いは、規模や得意領域で語られがちです。組織の成り立ちの違いを伝えると、候補者は社風や成長の余地をイメージしやすくなります。
確認しておきたいこと
- 配属のユニット:戦略、業務改革、リスク、ITなど、どの領域か。
- 監査法人との関係:監査先企業への支援には独立性のルールがあり、担当できる顧客に制約が出ることがある。
- 組織の成長段階:急拡大中の組織ならではの機会と、仕組みが整いきっていない面の両方。
KEY POINTS
この記事のポイント
1源流会計事務所のコンサルKPMGは1997年に日本でコンサル会社を作ったが、エンロン事件後の監査とコンサルの分離でベリングポイントとなった。
2消滅競合の土台に日本のベリングポイントは2009年にPwCの傘下に入り、KPMGからコンサルの流れが消えた。
3再構築2014年、数十名から2011年から作り直し、2014年に3組織を統合してKPMGコンサルティングを設立した。
よくある質問
ABig4の一つKPMGの日本におけるコンサルティングファームです。経営戦略、業務改革、リスク管理、ITなどを支援しています。
A2014年7月、KPMGマネジメントコンサルティング、KPMGビジネスアドバイザリー、あずさ監査法人のITアドバイザリー部門の統合により設立されました。
Qそれ以前、KPMGにコンサル部門はなかったのですか?
A1997年に日本でKPMGグローバルソリューション(のちのKPMGコンサルティング)が設立されましたが、エンロン事件後の監査とコンサルの分離の流れでベリングポイントとなり、2009年にPwCの傘下に入りました。
Aエンロン事件で、監査を担当する会計事務所が同じ企業にコンサルも提供していたことが独立性の問題として批判されたためです。
A急拡大中の若い組織で、役割を自ら広げていきたい候補者に向いています。
まとめ
KPMGコンサルティングは2014年、KPMGジャパンのコンサル2社とあずさ監査法人のIT部門を統合して生まれたファームである。KPMGは1997年に日本でコンサル会社を作ったが、エンロン事件後の監査とコンサルの分離でベリングポイントとなり、のちにPwCの傘下に入ったため、一度コンサルの機能を失っていた。2011年から作り直し、数十名から2,000名超の組織に育てた。
この記事の情報源
- KPMGコンサルティング 採用サイト「会社を知る」
- コンサルティングファームの沿革をまとめた公開資料
- コンサル業界ニュース(2014年の設立発表)
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営:
株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.25
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