ゴールドマン・サックスは、1869年にニューヨークで創業した投資銀行です。日本には1974年に進出し、東京オフィスは外資系投資銀行の中で最大級の規模と歴史を持ちます。M&Aアドバイザリー、株式・債券の引受、トレーディング、資産運用。資本市場のあらゆる機能を担い、日本の大型M&Aや上場案件の多くに関わってきました。
非上場の日本法人のため年収は公開されていませんが、アナリスト(新卒〜3年目)で1,300〜1,800万円、アソシエイトで2,000〜3,000万円、VP以上で3,000万円超が目安です。日系証券の総合職(900〜1,500万円)とは報酬の桁が異なります。
この記事では、部門構造とそれぞれの仕事、報酬の実態、外資IBD特有の選考、Up or Outとアルムナイ、そして「日系ではなく外資を選ぶ」ことの意味をエージェント視点で整理します。
ゴールドマン・サックスの東京オフィスは、大きくフロント部門とミドル・バック部門に分かれます。フロントは収益を直接生む部門、ミドル・バックはそれを支える部門です。
投資銀行部門(IBD)。M&Aアドバイザリー、株式・債券の引受。企業の資本戦略に関わる、最も「投資銀行らしい」部門です。グローバル・マーケッツ。株式・債券・為替のセールス&トレーディング。機関投資家との取引を担います。アセット&ウェルス・マネジメント。機関投資家・富裕層の資産運用。リサーチ。企業・市場の調査分析。
オペレーション、エンジニアリング、コンプライアンス、リスク、ファイナンス。ミドル・バック部門も規模が大きく、特にエンジニアリング(テクノロジー)は近年採用を強化しています。「ゴールドマンに入る」と言っても、どの部門かで仕事も年収も選考もまったく違う。この理解が出発点です(投資銀行への転職)。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1869年 | ニューヨークで創業 |
| 1974年 | 東京オフィスを開設 |
| 1999年 | NY証券取引所に上場(本社) |
| 2000年代 | 日本の大型M&A・IPOで主幹事を多数務める |
| 2010年代 | テクノロジー部門を強化。エンジニア採用を拡大 |
| 2020年代 | 日本でウェルス・マネジメント、アセットマネジメントを拡大 |
外資投資銀行の報酬は、基本給+賞与で構成され、賞与の比率が極めて高いのが特徴です。フロント部門では賞与が基本給と同額か、それ以上になることも珍しくありません。
職位はアナリスト → アソシエイト → ヴァイス・プレジデント(VP) → マネージング・ディレクター(MD) → パートナー。アナリストで1,300〜1,800万円、アソシエイトで2,000〜3,000万円、VPで3,000〜5,000万円、MDは1億円超も。日系証券の総合職とは桁が違います。
ただし、この報酬は労働時間と成果への要求と引き換えです。特にIBDのジュニア層は長時間労働が常態化し、Up or Outの文化で数年ごとに人が入れ替わります。ミドル・バック部門は報酬水準がフロントより低い一方、働き方は比較的落ち着いています。
| 階層 | 年収レンジ(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| アナリスト(1〜3年目) | 1,300〜1,800万円 | 新卒・若手中途の入口 |
| アソシエイト | 2,000〜3,000万円 | MBA・中途の主戦場 |
| VP | 3,000〜5,000万円 | 案件責任者 |
| MD以上 | 1億円〜 | 上限なし |
| ミドル・バック部門 | 800〜2,000万円 | 部門・職位により幅 |
日本進出
1974年
外資IB最大級
職位
5階層
アナリスト→パートナー
報酬
賞与比率が高い
フロントは基本給と同額以上
企業・発行体
M&A・資金調達
IBD・マーケッツ・運用
機関投資家・富裕層
株式・債券・運用商品
※数値は有価証券報告書・決算資料・採用ページなどの公表値と、転職エージェント各社の調査に基づく概算です。非上場企業の年収は公開情報・口コミをもとにした目安です(2026年9月時点)。
収益はアドバイザリーフィー(M&A)、引受手数料(IPO・増資・社債)、トレーディング収益、運用報酬から成ります。日本では、企業のM&A活発化、コーポレートガバナンス改革による資本市場の動き、PEファンドの拡大が追い風です。
近年の変化はウェルス・マネジメントとアセットマネジメントの拡大です。富裕層向けの資産運用、機関投資家向けの運用商品を日本で強化しており、フロント部門の採用もこの領域で増えています。
テクノロジーへの投資も大きく、エンジニアリング部門はグローバルで数千人規模。日本でも、トレーディングシステム、リスク管理、データ基盤を担うエンジニアの採用が続いています。「投資銀行=金融の人」というイメージは、すでに実態とずれています。
外資投資銀行の選考は「スーパーデー」と呼ばれる形式が一般的です。1日に複数の面接官(5〜8人)が連続で面接し、部門のメンバーがそれぞれの視点で候補者を評価します。
IBD。財務モデリング、バリュエーション(DCF・マルチプル)、M&Aプロセスの理解が問われます。日系証券のIBD、FAS、戦略コンサル、PE出身者が中心です。マーケッツ。市場観、数字への強さ、プレッシャー下での判断。エンジニアリング。コーディング、システム設計、金融への関心。
共通して見られるのは英語力(グローバルの上司・同僚と日常的に働く)とプレッシャー耐性です。エージェントとして伝えるべきは、「日系ではなく外資を選ぶ」ことの意味。報酬は桁違いだが、労働時間・Up or Out・グローバルの組織再編リスクも桁違い。この両面を理解した候補者だけを送り出すべきです(外資系企業への転職)。
IBD:「DCFで企業価値を算定してください」「このM&Aの妥当性をどう評価するか」。マーケッツ:「今の市場をどう見るか」。全部門:「なぜゴールドマンか」「プレッシャー下でどう動いたか」。英語での面接があります。
推薦しやすいのは、①日系証券・銀行のIBD・マーケッツ経験者 ②FAS・戦略コンサル・PE出身者 ③金融システム・クオンツのエンジニア ④MBA取得者。
候補者に伝えるべきは、「どの部門か」で仕事も年収も選考も違うことと、報酬の高さは労働時間・Up or Out・組織再編リスクとセットだということです。日系証券との比較で、何を得て何を失うかを整理しておく必要があります。
日系証券の野村・大和、投資銀行のキャリアは投資銀行への転職、外資系全般は外資系企業への転職もあわせてご覧ください。
「どの部門か」を特定し、報酬と引き換えにするものを理解した候補者だけを送り出してください。
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