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Founding Story

ウィルグループの​創業​ストーリー​「人材派遣の​会社」​ではなく​「人が​育つ会社」​を​目指す

創業ストーリー 2026.09.21
この記事の要点
  • ウィルグループの源流は1997年、大阪で設立されたセントメディア(テレマーケティング)とビッグエイド(軽作業の請負)の2社。
  • ビッグエイドの立ち上げに加わった池田良介氏が、2000年の合併で32歳にして赤字会社の社長を引き受け、立て直した。
  • リーマン・ショックで本社の社員まで現場に出たことから、社員と派遣スタッフが同じ現場で働く「ハイブリッド派遣」が生まれ、これが競争力になった。
  • いまは有期雇用の派遣中心から、建設技術者などの正社員派遣へ「数から質」への転換を進めている。

ウィルグループは、家電量販店の販売員、コールセンター、食品工場、介護施設、建設現場など、幅広い現場に人材を送る会社です。国内だけでなく、オーストラリアとシンガポールでも人材サービスを展開しています。

リクルートやパーソルに比べると後発で、始まりは大阪の小さな請負会社でした。後発の会社がどうやって各領域で上位に入ったのか。そしてなぜ今、自らのビジネスモデルを作り替えようとしているのか。順に追っていきます。

Chapter 01|前史阪神・淡路大震災と、​3人の会社

池田良介氏は1968年、兵庫県に生まれました。祖父の代から経営者の家系でしたが、父の事業が失敗し、満足な治療を受けられないまま母を亡くしています。「守りたい人を守れる、強い経営者になりたい」という思いは、この経験から生まれたと語られています。

経営には経理の知識が要ると考え、1992年に会計事務所に入りました。転機は1995年の阪神・淡路大震災です。生きているうちに、やりたいことを思い切りやらなければいけない。そう痛感して、起業を決めます。

1997年、大阪で2つの会社が設立されます。テレマーケティングを手がけるセントメディアと、引越やイベント会場の設営など軽作業の短期請負を手がけるビッグエイドです。池田氏は同年10月、ビッグエイドの立ち上げに加わりました。

生年
1968年(兵庫県)
経歴
会計事務所 → 1997年ビッグエイドの立ち上げに参画
社長就任
2000年、セントメディアとの合併時に32歳で
現在
ウィルグループ 代表取締役会長

Chapter 02|創業実績も設備もない、​製造請負から

当時のビッグエイドは、社長と支店長と池田氏の3人だけの会社でした。工場の製造ラインの請負を始めたものの、資金も設備も実績もなく、失敗の連続だったといいます。

それでも、スタッフと一緒に現場を良くしようと逃げずに向き合い続けた結果、ビッグエイドは3年で年商5億円規模になりました。この時期の経験から生まれた言葉が、今も会社のバリューとして掲げられている「Believe in Your Possibility(自らと仲間の可能性を信じよ)」です。

資金も、設備も、実績もない。あったのは、任せてくれた顧客への思いと、それを共有する仲間だけだった。同社の統合報告書が紹介する創業期の姿より要約

Chapter 03|再建32歳、​赤字会社の社長を​引き受ける

2000年、テレマーケティングと業務請負の相乗効果を狙い、セントメディアがビッグエイドを吸収合併します。合併後の会社の社長に選ばれたのが、32歳の池田氏でした。

池田氏の夢は「自分で創業した会社を経営すること」で、雇われ社長には気が進まなかったといいます。一度は断り、「上場するまで」という約束で引き受けました。ところが就任してみると、セントメディアはオフィスの家賃すら滞納している赤字企業でした。

あらゆる手を使って経営を立て直し、約1年で健全化にこぎつけます。そこで浮かび上がったのが、何のための会社なのかという理念がないという課題でした。池田氏が講演で堀場製作所の堀場雅夫氏に相談すると、「目の前の仕事に没頭し、経営を通して見えてきた譲れないことを言葉にすればいい」と返されたといいます。

2003年頃、「個と組織をポジティブに」「チェンジエージェント」といった言葉が生まれ、2006年に現在のミッション・ビジョン・バリューとして定められました。堀場製作所の創業ストーリーとあわせて読むと、言葉の背景が見えてきます。

Chapter 04|年表ウィルグループの​歩み

1997.01セントメディアを大阪市で設立テレマーケティング業から始まる
1997ビッグエイドを設立軽作業の短期請負。同年10月に池田良介氏が参画
2000セントメディアがビッグエイドを吸収合併池田氏が32歳で社長に。製造請負と人材派遣を本格化
2000年代販売員・コールセンターの派遣を広げる家電量販店や携帯ショップ、コールセンター向け
2006.04持株会社ウィルホールディングスを設立この年、現在のミッション・ビジョン・バリューを制定
2011シンガポールに法人を設立海外展開の起点
2012社名をウィルグループに変更
2013.12東証二部に上場
2014.12東証一部に指定替え
2018〜オーストラリアで人材会社の買収を重ねる建設技術者の会社もこの時期に取得
2023生え抜きの角裕一氏が社長に池田氏は会長として経営を支える

後発ながら伸びた背景には、2004年の労働者派遣法改正で製造業への派遣が解禁されたことなど、2000年代の制度変更もありました。市場が立ち上がる時期に、2〜5年の周期で新しい領域へ先手を打ってきたことが、成長につながっています。

Chapter 05|強みリーマン・ショックが​生んだ、​ハイブリッド派遣

同社の競争力として挙げられるのが「ハイブリッド派遣」です。ウィルグループの社員(フィールドサポーター)と派遣スタッフがチームになり、派遣先で一緒に働く形です。

きっかけは、2008年のリーマン・ショックでした。製造業からの発注が激減して業績が大きく悪化し、本社の正社員まで現場に出ざるを得なくなったのです。正社員と派遣スタッフが同じ現場で助け合ったことで、両者の距離が縮まり、このスタイルが定着しました。

一般的な派遣ハイブリッド派遣
スタッフの教育派遣先の企業が行う同社の社員が現場で行う
指揮命令派遣先の担当者から同じ会社の仲間として円滑に
スタッフのフォロー営業担当が時々訪問同じ現場にいる社員が日常的に
効果—定着率と現場の生産性が上がる

販売、コールセンター、工場は、いずれも離職率の高い現場です。同じ会社の社員が隣にいることで、スタッフの心身のフォローができ、定着率が高まる。危機のなかで偶然生まれた形が、他社にない強みになりました。

強みは、計画して作られたとは限らない。
危機のなかで仕方なく取った形が、後から競争力になることがある。

Chapter 06|構造現場の、​幅広さ

国内の事業は、次のような領域に分かれています。どれか一つに依存せず、各領域が売上の1割前後ずつを占める構成です。

領域主な現場特徴
セールス家電量販店のスマホ売り場など通信会社の販売施策に左右される
コールセンター通信・金融・BPO同社調べでオペレーター派遣は業界1位
ファクトリー食品などの工場景気に左右されにくい食品工場が中心
介護介護施設資格取得支援とセットで提供
建設技術者ゼネコン・サブコン施工管理技士の正社員派遣。収益性が高い

領域を分散させると、特定の業界の不況に左右されにくくなります。一方で、それぞれに専門の知識が要るため、組織は複雑になります。プレックスやエス・エム・エスのように一つの領域を深く掘る会社とは、何をリスクと見るかが違います。

Chapter 07|海外オーストラリアと、​シンガポール

比較的早い段階から海外に出たのも、同社の特徴です。2011年のシンガポールでの法人設立を皮切りに、買収で事業を広げ、オーストラリアでは6社を買収しています。

海外事業は2024年3月期に売上の約4割を占めるまでになりました。特徴は、派遣先に政府・行政の比率が高いことです。現地の会社を買収して参入したため、外国企業でありながら行政の案件を取れています。

買収の進め方にも型があります。最初に過半数を取得し、その後1〜3年かけて残りの株式を買い増す。創業者から事業を引き継ぎながら、グループに溶け込ませていく方法です。人口が減る国内だけでは成長に限界がある、という判断が背景にあります。

Chapter 08|転換「数」から「質」へ

ここ数年、同社は国内事業の伸び悩みに直面しています。コロナ禍以降、主力のセールス領域やコールセンター領域が苦戦しました。人材派遣は一人あたりの利ざやがほぼ一定で、規模を大きくしても利益率が上がりにくいという構造的な限界もあります。

そこで掲げたのが、「数」から「質」への転換です。有期雇用の派遣スタッフを中心とした事業から、正社員として雇った人材を送る正社員派遣や人材紹介の比率を高めていく方針です。

その中心が建設技術者の領域です。施工管理技士を正社員として雇い、ゼネコンなどに派遣します。新卒・未経験者を採用して育て、資格を取らせながら単価を上げていく。売上総利益率は20%台後半と、他の領域より高い水準にあります。

約1,382億円売上収益(2024年3月期)
約4割海外事業の売上比率
約2万人稼働人数(2024年3月期末)

出所:同社の開示資料をもとにした証券アナリストのレポート(2024年7月)。数値は各時点で公表されたもの。

ただし、建設技術者の領域ではオープンアップグループなどが先行しており、同社はまだ後発の立場です。採用した技術者の定着率の改善が課題として挙げられています。

Chapter 09|実務候補者に、​この来歴をどう語るか

ウィルグループは、派遣スタッフとして働く人にも、本社や子会社の社員として働く人にも関わる会社です。候補者の立場によって、伝えるポイントが変わります。

人材業界の営業・コーディネーター志望に

TALK SCRIPT

「この会社は、社員が派遣スタッフと同じ現場に入って一緒に働く『ハイブリッド派遣』を強みにしています。マッチングして終わりではなく、現場を一緒に良くする仕事がしたい人に向いています。」

人材業界で働きたい候補者には、マッチングの先まで関わる働き方として紹介できます。生え抜きの社員が支店長や子会社の社長を経てグループの社長になった例もあり、現場から経営に近づく道筋を示す材料になります。

未経験から施工管理をめざす人に

建設技術者の領域では、新卒や未経験者を正社員として採用し、資格取得を支援しながら現場に送り出しています。正社員として給与を得ながら、国家資格と実務経験を積める入口として説明できます。

確認しておきたい論点

  • 雇用形態:有期雇用の派遣スタッフか、無期雇用の正社員か。待機時の収入が変わる。
  • 配属先の領域:セールス・コールセンター・工場・介護・建設のどこか。働き方も身につく技能も違う。
  • キャリアの道筋:資格取得の支援や、社員登用・転籍の制度がどこまであるか。
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業3人の請負会社から1997年、大阪で3人から始まった請負会社に池田良介氏が参画。2000年の合併で32歳で赤字会社の社長を引き受け、1年で立て直した。
2強み危機が生んだハイブリッド派遣リーマン・ショックで本社の社員まで現場に出たことから、社員と派遣スタッフが一緒に働く形が定着し、定着率を支える強みになった。
3現在地「数」から「質」へ有期雇用の派遣中心から、建設技術者などの正社員派遣へと事業の重心を移している。

よくある質問

Q
ウィルグループはどんな会社ですか?
A
販売員、コールセンター、工場、介護、建設技術者などの人材派遣・紹介・業務請負を手がける人材サービス企業です。国内のほか、オーストラリアとシンガポールでも事業を展開しています。
Q
創業者は誰ですか?
A
源流は1997年に大阪で設立されたセントメディアとビッグエイドで、ビッグエイドの立ち上げに参画した池田良介氏が、2000年の合併後に社長となりグループを率いてきました。現在は会長です。
Q
ハイブリッド派遣とは何ですか?
A
同社の社員と派遣スタッフがチームになって派遣先で一緒に働く形です。社員が現場でスタッフを教育・フォローするため、定着率や生産性が上がるとされています。
Q
上場はいつですか?
A
2013年12月に東証二部に上場し、2014年12月に東証一部に指定替えとなりました。現在はプライム市場に属しています。
Q
いま力を入れている領域は?
A
施工管理技士などの建設技術者を正社員として雇い派遣する領域です。有期雇用の派遣より収益性が高く、「数」から「質」への転換の中心に位置づけられています。
Q
どんな候補者に向きますか?
A
人材業界で現場に深く関わる仕事がしたい人や、未経験から正社員として施工管理などの技術職をめざしたい人に向いています。
まとめ

ウィルグループは1997年、大阪で3人から始まった請負会社を源流に、池田良介氏が32歳で引き受けた赤字会社を立て直して成長した人材サービス企業である。リーマン・ショックの危機から生まれたハイブリッド派遣を強みに各領域で上位に入り、海外にも広がった。いまは有期雇用の派遣から、建設技術者などの正社員派遣へと「数から質」への転換を進めている。

この記事の情報源

  • ウィルグループ 統合報告書2023「ウィルグループのあゆみ」
  • ウィルグループ 有価証券報告書・適時開示(沿革、業績)
  • 同社を分析した証券アナリストのレポート(ストラテジー・アドバイザーズ、2024年7月)
  • 創業者・池田良介氏のプロフィールおよび公開インタビュー
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。

よくある質問

Q
ウィルグループはどのような会社ですか?
A
1997年設立の人材企業で、販売・コールセンター・製造・介護など現場の仕事全般に人材を供給しています。
Q
社内起業制度とは?
A
社員が新規事業を提案し、承認されれば子会社の経営者になれる仕組みです。独立が多い業界での一つの答え方です。
Q
幅広い領域を扱う利点は?
A
特定の業界の不況に左右されにくくなることです。一方でそれぞれに専門知識が必要で組織は複雑になります。
Q
現在の課題は?
A
販売・介護・製造はいずれも人が集まりにくい領域であり、集客そのものが事業の中核になっていることです。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.25
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