この記事の要点
- エス・エム・エスは2003年、リクルート出身の諸藤周平が高齢化という確実な変化に賭けて創業した。市場が小さいうちに参入して競争を避け、資格者が日常的に使うメディアで集客を内製化。人材を入口に経営支援やシステムへ広げ、高齢社会の情報インフラを築いた。
- 統計は、誰にでも見えていた
- 求人を集める前に、候補者が集まる場所を作った
- 人材を入口に、業界の中へ
- 人口動態を事業に翻訳するということ
エス・エム・エス(SMS)は、高齢化という確実に起きる変化に事業を置いた会社です。2003年、リクルート出身の諸藤周平が創業。当時、介護は成長産業として注目されておらず、人材会社の多くはITとメーカーを見ていました。
諸藤が選んだのは、統計を見れば誰にでも分かる事実でした。日本の高齢者人口は増え続け、介護と医療の従事者は足りなくなる。誰にでも見えているのに、誰も本気で取りに行っていない市場が、そこにありました。
Founded2003年介護が成長産業とされる前
Originリクルート諸藤周平が独立して創業
Model人材 → メディア → 経営支援業界の中に複数の事業を持つ
TIMELINE
エス・エム・エスの歩み
START ─ 統計から始める
2003
エス・エム・エスを設立高齢化という誰にでも見える統計を起点に
初期
介護の求人サイトを立ち上げる求人を集める前に、候補者が集まる場をつくる
EXPAND ─ 業界の中へ
2010年代
介護事業者向けの経営支援へ人材を入口に、業界の中に事業を広げる
その後
アジアへ展開同じ構造の市場に、同じ型を持ち込む
公開情報にもとづく。
Chapter 02創業の背景統計は、誰にでも見えていた
2003年当時、介護保険制度はまだ始まって3年でした。市場は小さく、事業者は零細で、離職率は高い。人材紹介の対象としては、単価も低く、扱いにくい領域です。
しかし人口動態は確実でした。高齢者は増える。介護と医療の従事者は足りなくなる。変化が来るかどうかではなく、いつ来るかだけが問題という市場です。多くの会社が「まだ早い」と判断した時期に、諸藤は先に入りました。
成長市場に後から入ると、既にいる会社と正面から競争することになります。市場が小さいうちに入ることは、競争を避ける最も確実な方法です。
Chapter 03最初の設計求人を集める前に、候補者が集まる場所を作った
人材紹介の最大の制約は、候補者の集客です。求人広告に費用をかけて候補者を集める方法は、競合と同じ土俵で単価を上げ合う構造になります。
SMSが作ったのは、資格者が日常的に使う情報サイトでした。ケアマネジャーや看護師が、仕事の情報を得るために訪れる場所。転職を考えたとき、最初に思い出すのがそのサイトになります。
広告費で候補者を買うのではなく、候補者が日常的に来る場所を作る。集客の内製化は、利益率をそのまま変える。SMSの事業設計から読み取れる構造
この構造は、クイックの「看護roo!」、リクルートのメディア群と同じです。紹介会社の利益率は、集客をどこまで自社で持てるかで決まります。
Chapter 04拡張人材を入口に、業界の中へ
介護事業者と付き合うと、採用以外の課題が見えてきます。人が定着しない、シフトが組めない、経営の数字が見えていない、制度改定への対応が追いつかない。
SMSはそこへ、経営支援や業務システムを提供していきます。人材は入口であって、事業の全部ではないという設計です。プレックス、ビジョナル、ネオキャリアも同じ道筋をたどっており、人材業界における事業拡張の一つの型になっています。
Chapter 05現在地人口動態を事業に翻訳するということ
SMSが示しているのは、確実に起きる変化を、早い段階で事業に翻訳するという方法です。高齢化はニュースで繰り返し語られてきましたが、それを事業の形にした会社は多くありません。
同じことは、今も起きています。労働人口の減少、外国人材の増加、副業の一般化、事業承継の集中。誰にでも見えている変化のうち、まだ事業になっていないものを探すことが、この物語の読み方です。
For Agentsこの物語を、面談でどう使うか
自社の次の領域を考えるとき人口動態は最も予測しやすい変化です。介護・医療で起きたことは、今後は障害福祉、外国人材、事業承継などで起きる可能性があります。
集客の設計を見直すとき広告費で候補者を買う構造から、候補者が日常的に来る場所を持つ構造へ。メディアやコミュニティの内製は、時間はかかるが利益率を恒久的に変えます。
候補者に業界の将来性を説明するとき「成長市場だから」ではなく、人口動態という根拠で説明できます。数字に基づく説明は、候補者の意思決定の質を上げます。
KEY POINTS
この記事のポイント
1創業の背景統計は、誰にでも見えていた2003年当時、介護保険制度はまだ始まって3年でした。市場は小さく、事業者は零細で、離職率は高い。
2最初の設計求人を集める前に、候補者が集まる場所を作った人材紹介の最大の制約は、候補者の集客です。求人広告に費用をかけて候補者を集める方法は、競合と同じ土俵で単価を上げ合う構造になります。
3拡張人材を入口に、業界の中へ介護事業者と付き合うと、採用以外の課題が見えてきます。人が定着しない、シフトが組めない、経営の数字が見えていない、制度改定への対応が追いつかない。
この記事の情報源
- 各社の有価証券報告書・適時開示(沿革、業績、資本構成など)
- 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
- 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
- 新聞・経済メディアの報道
- 官公庁の統計・白書および調査機関の公表資料
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
よくある質問
A2003年にリクルート出身の諸藤周平が創業した、介護・医療領域の人材・情報サービス企業です。人材紹介を入口に、専門メディアや事業者向けの経営支援へ広げています。
A高齢化という人口動態から、介護・医療の人材需要が確実に増えると判断したためです。当時はまだ市場が小さく競合も少ないうちに参入しました。
A広告費で候補者を集める構造は競合と同じ土俵で単価が上がり続けます。資格者が日常的に訪れる情報サイトを持つことで、集客費用を抑え利益率を変えられます。
A顧客企業の採用を支援する立場は、その企業の運営課題を間近で見る立場でもあります。定着・シフト・経営数字などの課題からシステムや経営支援の事業が生まれます。
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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
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株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.20
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