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営業職の​全体像​「営業経験​5​年」​の​中身を、​4​つの​軸で​分解する​【2026​年】​

転職ノウハウ 2026.09.10
この記事の要点

「営業経験5年」という言葉は、市場ではほぼ何も伝えていません。ルート営業の5年と新規開拓の5年、有形商材と無形商材、法人と個人。同じ営業でも、求められる能力と市場価値は別物です。この記事は営業を4つの軸で分解し、候補者の経験を正確に読み、正確に翻訳するための地図です。

※年収レンジは転職エージェント各社の調査・求人票の記載に基づく目安です。企業規模・業界・商材・個人の実績により実際の水準は大きく異なります(2026年9月時点)。

  • 営業は①新規か既存か ②有形か無形か ③法人か個人か ④単価と受注期間の4軸で分解して初めて、市場価値が読める。
  • SaaS業界が広めたThe Model型の分業(IS・FS・CS)で、営業という職種そのものが再定義された。
  • 営業の出口は広い。営業企画・マーケティング・人事・カスタマーサクセス・事業開発。いずれも「顧客の一次情報を持つ」経験が武器になる。
Job Structure職種の構造を一枚で

年収レンジ

450〜1,500万円

商材の単価と利益率で天井が決まる

分岐点

新規か既存か

求められる資質が正反対

出口

5方向

企画・マーケ・人事・CS・事業開発

この職種は、誰と何を動かすかお金モノ・サービス人・情報

顧客

課題と予算を持つ

課題・要望・断りの理由
受注(売上)
提案・見積・契約

営業

IS / FS / CS / 一気通貫

顧客の一次情報・失注要因
商品・納品・サポート
給与+インセンティブ

自社(商品・開発・マーケ)

提供する側

営業の担当範囲(求人ベースの概算)
40%
35%
25%
新規開拓 40%既存深耕・ルート 35%IS/CSなど分業型 25%

※年収レンジは転職エージェント各社の調査・求人票に基づく目安、構成比は求人ベースの編集部概算です。企業規模・業界・個人の経験により実際の水準は異なります(2026年9月時点)。

DEFINITION
営業職の分類とは
営業職は「新規開拓か既存深耕か」「有形商材か無形商材か」「法人向けか個人向けか」「単価と商談期間」という4つの軸で分解できる。同じ「法人営業3年」でも、この4軸の組み合わせが違えば、企業が求める経験としては別の職種になる。

「営業経験」を4つの軸で​分解する

営業職の候補者を支援するとき、最初にやるべきは経験の分解です。「営業を何年」では、企業側は何も判断できません。実務上、次の4軸で分解すると解像度が上がります。

商材と顧客で変わる、営業の「型」

軸一方もう一方企業が読み取ること
商材有形(機械・製品・不動産)無形(SaaS・広告・人材・金融)無形は課題を作る力、有形は製品知識と納期管理
顧客法人(BtoB)個人(BtoC)法人は複数の意思決定者を動かした経験があるか
単価数十万円・短期・多件数数千万円・長期・少件数高単価は稟議と役員折衝の経験として評価される
相手の役職担当者部長・役員・経営者誰に会っていたかで、営業の格が判断される

※同じ「営業経験5年」でも、この4軸の組み合わせで企業の評価はまったく変わります。

営業職の4分類。求められる資質と、転職での評価のされ方

分類代表的な仕事求められる資質転職市場での読まれ方
新規開拓(ハンター)テレアポ・飛び込み・イベント断られ続けても動ける胆力、初対面での関係構築業種を超えて需要が高い。SaaS・人材・広告で特に評価
既存深耕(ファーマー)定期訪問・アップセル・課題解決信頼の維持、顧客内の横展開、長期の関係設計カスタマーサクセス・アカウント営業へ接続しやすい
ルート営業決まった顧客への納品・フォロー正確さ、関係維持新規志向の企業には接続しにくい。CS・業務職への転身が現実的
内勤営業(IS)電話・メールでの商談化数をこなす耐性、トークの改善サイクルThe Model型企業の入口。FSへの昇格ルートがある

①新規か、既存か。新規開拓は「断られ続ける環境で、ゼロから関係を作る力」、既存深耕は「関係を維持しながら、取引を広げる力」。求められる資質が正反対で、企業は必ずどちらかを求めています。

②有形か、無形か。有形商材(機械、製品、不動産)は「モノの価値」を説明する営業、無形商材(SaaS、広告、人材、金融)は「課題解決の価値」を説明する営業。無形営業の経験は、業界を超えて評価されやすい傾向があります。

③法人か、個人か。法人営業(BtoB)は組織の意思決定を動かす仕事、個人営業(BtoC)は一人の感情と判断を動かす仕事。プロセスの長さと、必要な提案の型が違います。

④単価と受注期間。数万円の商材を月100件決める営業と、数千万円の案件を年3件決める営業では、日々の動き方も評価軸もまったく違います。高単価・長期の営業経験は、それ自体が希少性になります。

軸一方もう一方市場での読まれ方
①新規/既存新規開拓既存深耕・ルート新規経験者は業種を超えて需要が高い
②有形/無形製品・機械・不動産SaaS・広告・人材・金融無形営業は課題解決型として評価されやすい
③法人/個人BtoBBtoC法人営業は組織の意思決定を動かす経験として評価
④単価/期間低単価・短期・多件数高単価・長期・少件数高単価経験はそれ自体が希少性

The Model型|​営業という職種の再定義

営業職を語るうえで、いま避けて通れないのがThe Model型の分業です。SaaS業界で広まった考え方で、営業プロセスをIS(インサイドセールス)・FS(フィールドセールス)・CS(カスタマーサクセス)に分け、それぞれを専門職として置きます(The Model型組織とは)。

この分業は、営業という職種の定義を変えました。かつては「一人で見込み客を探し、提案し、契約し、フォローする」のが営業でした。いまはどの工程を担ったかが経歴の中身になります。

IS(インサイドセールス)。見込み客を発掘し、商談機会を作る。電話・メール・オンラインが中心で、行動量と初期接点の質が問われます(インサイドセールスの実像)。FS(フィールドセールス)。商談から契約まで。提案力と交渉力の中核です。CS(カスタマーサクセス)。契約後の活用支援と継続・拡大。解約を防ぎ、単価を上げる仕事です。

面談では「一気通貫でやっていたか、分業のどこを担っていたか」を必ず確認します。一気通貫の経験者は中小・ベンチャーで、分業の経験者は同じ分業体制の企業で、それぞれ評価されやすい構造があります。

← 図は横にスクロールできます →
IS 見込み客の発掘・商談機会の創出 STEP 1 FS 商談から契約まで STEP 2 CS 活用支援・継続・拡大 STEP 3 一気通貫 すべてを一人で担う STEP 4
どこを担ったかで、評価される企業が変わる
Tool / THE PROCESS.営業職の実績を、職種別に分解する職種ごとの分解ルールを内蔵。候補者の成果を面接で話せる形にします。無料で使う →

業界別の年収​レンジ|商材が天井を決める

営業の年収は、個人の実力だけでなく扱う商材の単価と利益率で天井が決まります。同じ実力でも、業界を変えるだけで年収レンジが大きく動くのが営業職の特徴です。

特にインセンティブの比率が業界によって大きく異なります。金融・不動産・人材は成果連動の比率が高く、メーカー・SIerは固定給の比率が高い。年収の額面だけでなく、その構成を確認することが支援の基本です(内定承諾書と労働条件の確認)。

業界・商材年収レンジ(目安)特徴
SaaS・IT(無形・法人)500〜1,000万円The Model型が主流。ISから始める入口が多い
人材(無形・法人/個人)450〜1,200万円両面型は高還元。実力差が年収に直結
広告・メディア450〜900万円提案力と業界知識で差がつく
金融(証券・保険)500〜1,500万円成果連動が強く、上下の幅が最も大きい
不動産(売買・投資)450〜1,500万円高単価・成果連動。実力で大きく動く
メーカー(有形・法人)500〜900万円固定給中心で安定。技術理解が武器
SIer・IT機器500〜950万円長期案件。関係構築と提案の型が要る
コンサルティング700〜1,500万円営業専任は少なく、パートナー層が担う(解説)

営業から広がる、5つの出口

営業経験は、キャリアの出口が最も広い職種の一つです。理由は顧客の一次情報を持っているから。顧客が何に困り、何を言い、なぜ買わないかを知っている人材は、あらゆる企画部門で価値があります。

①営業企画。最も地続きの転身。営業の実績を「仕組み」の言葉に翻訳できれば、営業戦略・SFA設計・KPI管理の側に回れます(営業から営業企画へ)。

②マーケティング。顧客の課題を聞き出す経験は、顧客インタビューやペルソナ設計に直結します(営業からマーケティングへ)。

③人事・採用。採用は「候補者を口説く営業」であり、構造が同じです(営業から人事へ)。④カスタマーサクセス。SaaS業界の需要が大きく、既存深耕の経験が直接活きます。⑤事業開発・アライアンス。法人営業で培った意思決定者との対話力が武器になります。

いずれの出口でも鍵になるのは、営業実績を「頑張りました」ではなく「再現できる構造」として語れるかです(営業の再現性を作る・The Process.)。

AI時代に​残る営業、​消える営業

営業職の将来について、正直に整理します。

消えていく営業。情報を届けるだけの営業、定型的な提案を繰り返す営業、顧客が自分で調べれば分かる説明をする営業。これらはWebとの比較検討とAIによる情報提供に置き換わりつつあります。

残る営業。顧客自身が気づいていない課題を見つける営業、複数の意思決定者を動かす営業、信頼によって「この人から買いたい」と思わせる営業。情報の提供ではなく、判断の支援に価値が移っています(AI時代に営業の価値は残るのか)。

エージェントが候補者に伝えるべきは、「営業職がなくなる」のではなく「営業の中身が変わる」という構造です。そして候補者の経験が、消える側なのか残る側なのかを一緒に見極めることが、この職種の支援の核心になります。

面談で聞くべき5つの質問

営業職の候補者の実像を掴む質問を挙げます。

①「新規と既存、比率はどれくらいでしたか」。第1軸の確認。②「商材の単価と、受注までの期間は」。第4軸の確認。数字で答えられるかも見ます。③「見込み客の発掘から契約後のフォローまで、どこを担当していましたか」。The Model型か一気通貫かの確認。

④「達成率ではなく、達成できた理由を教えてください」。再現性の確認。「頑張った」しか出てこない候補者は、翻訳の支援が必要です。⑤「顧客から一番よく言われた不満は何ですか」。顧客の一次情報を持っているかの確認。ここに具体的に答えられる候補者は、企画系への転身も視野に入ります。

この5問で、営業経験の中身はほぼ特定できます。職務経歴書の作成は営業職の職務経歴書ガイド、面接での実績言語化は成果の要因を作るをあわせてご覧ください。

コンサルファームの営業職の具体例はベイカレントの営業職(セールス)で詳しく解説しています。

よくある質問

Q
営業経験は業界を超えて評価されますか?
A
分解の仕方によります。新規開拓の経験は業種を超えて需要が高く、無形商材の営業は課題解決型として評価されやすい傾向があります。一方で既存深耕やルート営業は、同じ構造の業界で評価されやすくなります。
Q
The Model型とは何ですか?
A
営業プロセスをIS(インサイドセールス)・FS(フィールドセールス)・CS(カスタマーサクセス)に分け、それぞれを専門職として置く分業の考え方です。SaaS業界で広まり、営業という職種の定義を変えました。
Q
営業の年収は何で決まりますか?
A
個人の実力に加え、扱う商材の単価と利益率で天井が決まります。金融・不動産・人材は成果連動の比率が高く上下の幅が大きい一方、メーカー・SIerは固定給中心で安定しています。
Q
営業からのキャリアチェンジ先は?
A
営業企画、マーケティング、人事・採用、カスタマーサクセス、事業開発が主な出口です。いずれも顧客の一次情報を持っている経験が武器になり、営業実績を再現できる構造として語れるかが鍵になります。
まとめ

営業経験は新規/既存・有形/無形・法人/個人・単価と期間の4軸で分解して初めて市場価値が読める。The Model型の分業により「どの工程を担ったか」が経歴の中身になり、年収は個人の実力より商材の単価と利益率で天井が決まる。顧客の一次情報を持つ経験は企画・マーケ・人事・CS・事業開発への出口になり、AI時代には情報提供ではなく判断支援に価値が移っている。

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本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
THE
AGENT
執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.05
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