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Founding Story

ラクスの​創業​ストーリー創業者​・​中村崇則、​米国撤退を​決めた年に​上場、​そこから株価は​40​倍以上に

創業ストーリー 2026.09.07
この記事の要点

ラクスは2000年に大阪で創業した、日本では珍しい「老舗SaaS企業」です。創業者は2015年にシリコンバレーからの撤退を決断し、日本国内に全力投球することを選びました。同年12月に上場し、そこから株価は40倍以上に上昇しています。

※本記事は当該企業の公式サイト(沿革・創業ストーリー)、有価証券報告書、Wikipedia日本語版・英語版、経営者インタビュー記事等の公開情報をもとに編集部が構成しました(2026年9月時点)。年次は資料により差異がある項目があり、複数の出典で確認できた年を採用しています。

  • 創業は2000年11月、中村崇則。NTT出身で、前に立ち上げた会社を楽天に売却した資金を元手に大阪で設立した。
  • 設計の妙はSaaSとIT人材事業の二本柱。人月で稼ぐ現金収入が、立ち上がりに時間のかかる月額課金サービスを育てた。
  • 2015年に米国撤退を決断し、同年12月に上場。選択と集中が奏功し、楽楽精算は国内を代表するSaaSになった。
Founded2000年
Founder中村崇則
CategoryIT・SaaS
この記事は創業ストーリーのシリーズです。

Chapter 01NTTを辞め、楽天に会社を売り、​また作る

中村崇則は1973年、山口県生まれ。1996年に神戸大学経営学部を卒業してNTT(NTT西日本)へ入社します。しかしインターネット・バブルの只中の1997年、大学の同期らと無料メーリングリストに広告を付ける事業で会社を共同創業。「協調性がなく大企業ではあまり活躍できない」と感じ、1998年にNTTを退社しました。

2000年1月、株式会社インフォキャストを共同設立。そして同年10月、この会社を楽天に売却します。

その売却資金を元手に、2000年11月、大阪市都島区で株式会社アイティーブースト(現・ラクス)を設立。創業地に大阪を選んだのは、本人の地縁に加え、IT人材の採用競合が東京より緩いという判断からでした。この選択が、大阪本社・東京補完という同社独自の二都体制の原点になります。

Chapter 02二本柱という設計SaaSを​育てるための現金

創業時の主力はITエンジニアスクールでしたが、市場規模が小さく労働集約的で、長く続けるのは難しいと判断します。そこでスクール事業で得た利益を投下し、事業の軸足を移していきました。

2001年4月、問い合わせメール共有システム「メールディーラー」を月額課金で発売。今日でいうSaaSです。しかし当時、月額課金モデルは立ち上がりに時間がかかり、先行投資を支える原資が必要でした。

そこで同社が採ったのが二本柱の設計です。2002年5月からエンジニアを常駐派遣するIT人材事業を開始し、人月で稼ぐ現金収入でSaaSの育成を支える構造を、創業から1年ほどで固めました。「稼ぐ事業」と「育てる事業」を分けて持つという判断が、日本でSaaSがまだ言葉として存在しない時代の生存戦略でした。

1998

NTTを退社

大企業では活躍しきれないと感じ、インターネット黎明期に独立の道を選びました。

2000.01

インフォキャストを共同設立

同年10月に楽天へ売却し、その資金が次の創業の元手になりました。

2000.11

アイティーブーストを設立

大阪市都島区で創業。IT人材の採用競合が東京より緩い環境を狙った選択でした。

2001.04

メールディーラーを月額課金で発売

問い合わせメール共有システムで、今日のSaaS事業の原型です。

2002.05

IT人材事業を開始

人月で稼ぐ現金収入がSaaSの育成を支える二本柱の構造を固めました。

2010

社名をラクスへ変更

「楽」を届けるという事業の性格を社名に込めました。

2015

シリコンバレーから撤退

米国事業の不振を受けて撤退を決断し、日本国内へ経営資源を集中しました。

2015.12

東証マザーズに上場

撤退を決めた同じ年の上場でした。以降、株価は大きく上昇しています。

2021

東証一部へ市場変更

楽楽精算が国内を代表するSaaSへ成長しました。

ラクスの主な沿革

Chapter 03撤退を​決めた年に、​上場した

2010年に社名をラクスへ変更。「楽」を届けるという事業の性格を社名に込めています。

同社の歴史で最も重要な判断が2015年に訪れました。進出していた米シリコンバレーで、モバイルマーケティングソフトウェアの売れ行きが思わしくない。中村は撤退を決断し、日本国内の事業に全力投球することを選びます。

そして同年12月、東証マザーズに上場。撤退と上場が同じ年に起きたことになります。この選択と集中は結果的に正しく、その後株価は4,800%余り、つまり40倍以上に上昇しました。主力の経費精算システム「楽楽精算」は累計導入1万社を超え、国内を代表するSaaSになっています。

Founder's Words

「食べるものと住むところさえあれば、どうにかなる」

中村崇則

大企業を離れて起業した判断について、後年こう振り返っています。この気軽さと、SaaSを育てるためにIT人材事業で現金を稼ぐという緻密な設計が同居しているのが、同社の経営の特徴です。

Chapter 04エージェントがこの​物語から読み取るべきこと

ラクスの創業は、「稼ぐ事業」と「育てる事業」を同時に持つという経営設計の好例です。人材紹介でも、既存領域で稼ぎながら新領域を育てる構造を作れるかどうかが、事業の寿命を決めます(チャネル設計の記事)。

そして撤退の決断です。米国から引くと決めた年に上場した。この事実は、撤退が後退ではなく資源の再配分であることを示しています。SaaS業界への転職支援では、SaaS転職ガイドとあわせて、この会社が「日本の老舗SaaS」と呼ばれる理由を語れると説得力が増します。

KEY POINTS
この記事のポイント
1NTTを辞め、楽天に会社を売り、また作る中村崇則は1973年、山口県生まれ。採用も育成も、入口だけを整えても続きません。入った後に活躍する条件まで一緒に考えることが、支援の質になります。
2二本柱という設計SaaSを育てるための現金創業時の主力はITエンジニアスクールでしたが、市場規模が小さく労働集約的で、長く続けるのは難しいと判断します。人数や時間が限られるほど、やらないことを決めることが成果を左右します。担当数を絞る判断はここに当たります。
3撤退を決めた年に、上場した2010年に社名を ラクス へ変更。候補者との関係も、決定した瞬間ではなくその後も続くかどうかで価値が決まります。紹介は関係の結果として生まれます。

よくある質問

Q
ラクスの創業者は誰ですか?
A
中村崇則です。1973年山口県生まれ、神戸大学卒業後にNTTへ入社し、1998年に退社。2000年に共同設立したインフォキャストを楽天へ売却し、その資金で同年11月にアイティーブースト(現ラクス)を設立しました。
Q
なぜ大阪で創業したのですか?
A
創業者の地縁に加え、IT人材の採用競合が東京より緩い市場環境を狙ったためです。これが大阪本社・東京補完という同社独自の二都体制の原点になりました。
Q
SaaSとIT人材事業の二本柱にした理由は?
A
月額課金のSaaSは立ち上がりに時間を要し、先行投資を支える原資が必要だったためです。人月で稼ぐIT人材事業の現金収入でSaaSを育てる構造を、創業から1年ほどで固めました。
まとめ

ラクスは2000年、NTTを辞めて前の会社を楽天に売却した中村崇則が大阪で創業した。月額課金のSaaSは立ち上がりに時間がかかるため、IT人材事業の現金収入で育てる二本柱の構造を作った。2015年にシリコンバレーからの撤退を決断し、同年に上場。選択と集中が奏功して株価は40倍以上に上昇している。

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この記事の情報源

  • 各社の有価証券報告書・適時開示(沿革、業績、資本構成など)
  • 企業の公式サイト(沿革、会社概要、代表メッセージ)
  • 創業者・経営者が登場した公開インタビューおよび寄稿
  • 新聞・経済メディアの報道
確かめられていないこと創業当時の社内の詳しい経緯や、公表されていない数値については、一次資料で裏づけられないため記載していません。本文中の「〜と語られる」「〜とされる」という表現は、関係者の証言や報道にもとづくもので、公式に確認されたものではありません。
記事中の数値は、各時点で公表されていたものです。最新の状況は各社の開示をご確認ください。本サイトの方針は免責事項およびポリシーに記載しています。
本記事は編集部の支援実務の経験に基づく見解です。個別の状況により最適な進め方は異なります。
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執筆・編集: THE AGENT 編集部
運営: 株式会社Sync Ascent(事業立ち上げ・採用コンサルティング)。数千名規模のキャリア支援と人材紹介事業立ち上げの実務経験に基づき、現場で使える情報だけをお届けします。|最終更新: 2026.09.05
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