2026年下半期の転職市場は、慢性的な労働力不足を背景に、上半期に引き続き高い水準で推移する見込みです。ただし「全体が良い」わけではありません。4つの潮流。AI活用の浸透、年収アップ目的の相談増、離職防止の強化、少数精鋭化:が、業界・職種によって正反対の影響を与えています。
※出典:doda「転職市場予測2026下半期」、各社の公表資料と、それに基づく編集部の整理です(2026年9月時点)。
2026年下半期の転職市場は、上半期に引き続き高い水準で推移すると予測されています。背景にあるのは一時的な好況ではなく、構造的な要因です。
①少子高齢化。生産年齢人口の減少は止まりません。女性と高齢者の労働参加で就業者数は維持されていますが、その参加率も頭打ちに近づいています(市場が伸びる構造)。
②産業構造の変化。DX、脱炭素、半導体、防衛。国策として投資が向かう領域で、人材需要が集中しています。
③転職の常態化。正社員の転職率7.2%という過去最高水準。動く人が増えれば、市場そのものが大きくなります(転職率7.2%の意味)。
したがって、市場規模の縮小を心配する段階ではありません。心配すべきは「どこが伸びて、どこが縮むか」です。
下半期の市場を動かす4つの潮流と、それぞれの影響を整理します。
| 潮流 | 内容 | 求人が増える領域 | 求人が減る領域 |
|---|---|---|---|
| ① AI活用の浸透 | 企業の7割超が求める人材像を見直し | AI実装・データ基盤・業務設計 | 定型事務・一次分析・資料作成 |
| ② 年収アップ目的の増加 | 物価上昇と市場価値の可視化 | 高単価領域(コンサル・SaaS・金融) | 年収水準の低い業界からの流出 |
| ③ 離職防止の強化 | 採用より引き留めが安い | 組織開発・HRBP・人事制度 | (転職検討層の減少という形で影響) |
| ④ 少数精鋭化 | 人数を絞り単価を上げる | 経験者・専門職 | ジュニア層・定型職 |
具体的に需要が伸びている領域は、次のとおりです。
IT・通信。クラウドエンジニア、データサイエンティスト、AI実装。争奪戦は継続しており、転職求人倍率は6.83倍。
コンサルティング。8.96倍。DX案件の拡大に採用が追いついていません。ただし少数精鋭化の影響で、ジュニア層の採用は絞られつつある(コンサル転職ガイド)。
人材サービス。9.66倍で最も高い。エージェント業界自体が人手不足です。エージェントの転職市場も活況が続きます(エージェント自身の転職市場)。
建設・不動産。施工管理の不足が継続。2024年問題の影響が構造化しています(建設・不動産の職種の全体像)。
製造業(現場DX)。IoT人材、生産技術。工場の自動化を進める人材の需要が急伸しています(物流業界の職種の全体像)。
SaaS営業・カスタマーサクセス。市場拡大を背景に需要が継続(SaaS営業のキャリア)。
市場の方向が見えている以上、後追いではなく先回りが可能です。4つ挙げます。
①担当領域を、伸びる側へ寄せる。定型職を中心に扱っている場合、求人は確実に減ります。いま実績がなくても、伸びる領域の企業開拓を始める。半年後に効いてきます(求人開拓の記事)。
②候補者に「AIで何を変えたか」を聞く。企業の要件が変わった以上、推薦時に伝えるべき情報も変わりました。この質問を面談の標準に入れる(AIが変えた求める人材像)。
③カウンターオファーを前提に、退職交渉を設計する。離職防止の強化は、内定後の辞退として現れます。事前準備が、決定率を守ります(離職防止への投資)。
④企業に選考スピードを握らせる。倍率が高い市場では、速さが採否を決めます。取引開始時に基準を合意しておく(選考スピードの競争)。
市場が良いときに差がつくのは、市場の良さに乗っている人と、次の構造を読んでいる人です。下半期は前者でも数字が出ますが、その次に効いてくるのは後者の準備です。
2026年下半期の転職市場は、少子高齢化・産業構造の変化・転職の常態化という構造的要因により高水準で推移する見込みである。ただし中身は二極化し、AI活用の浸透・年収アップ目的の増加・離職防止の強化・少数精鋭化という4つの潮流が、業界と職種によって正反対の影響を与える。IT・コンサル・人材サービス・建設・製造の現場DX・SaaS営業で求人が伸びる一方、定型事務やジュニア層は縮む。エージェントは担当領域を伸びる側へ寄せ、AI活用の質問を面談に組み込み、カウンターオファーを前提に退職交渉を設計すべきである。
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